表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
仮面少女と騎士さま。  作者: 小椿 千冬
一章 目が覚めると、そこは異世界でした。
10/29

第九話

「どうだ!驚いたか・・・って、ちっとは反応してくれよ」


思わず、ため息が漏れた。

ちら、と盗み見た彼女の表情は見えないが、特に取り乱した様子もない。

突然連れてこられ不平不満どころか、不安な様子一つ見せない彼女に内心、驚愕していた。


「・・・・そう言われても・・」


彼女は、そっと呟いた。

そもそも、剣が喋り始めた時点で諦めはついていたのだが。

驚けと言われて、はいそうですか、とできるものでもない。感性の問題だ、こればっかりは仕方ないのだ。


納得でき、彼女は満足げに頷く。しかし、彼はそうではないようだった。

案の定、抗議の声が飛んでくる。


「俺のせいかよ!・・・てか、ふつーさ、もっとあるだろ。ワタシは今からどうなるのーとか、早く元の世界に戻りたいーとか、黒髪堅物野郎がうぜぇー、とか!」



「・・・ラグナ、うるさいぞ」


低く、嗜める声。

ぎぃ、と扉が開く音と共に数人分の足音が室内に入ってくる。


黒髪の青年の姿を見るやいなや、ラグナと呼ばれた剣は、げっ、と蛙が潰れたような声を出した。


「嫌なヤツがきたぜ」


彼は片眉をあげて、素直過ぎる感想を述べる剣を睨んでいた。

そして、ふとこちらに視線を向けると、何かを言おうと---した。


しかし。


「きゃああああっ!」


悲鳴に近い叫び声。

目の前にいた彼を押しのけると、どん、という衝撃と共に胸に柔らかいものが押し当てられた。

背中に回された腕の感触。伝わってくる熱。

抱きしめられている、ということに気づき、顔に熱が集まってくるのを感じた。


「やめろ、ロゼティア」


強い口調でやめろと言われ、渋々回された腕が解かれた。

はらり、と肩にかかっていた銀の髪が揺れる。


「邪魔しないでよ」


形の良い唇から、不機嫌な言葉が漏れる。

銀の髪に、紅い瞳。

女性らしい、丸みを帯びた体つき。

瞳と同じ色をしたドレスは、色白でスタイルの良い彼女によく似合う。

すっと通った鼻筋と意思の強そうな切れ長の瞳は、ただ美しいばかりでなく気高さを感じさせた。


美しい女性は、くるりとこちらを向き直ると手を取りにっこりと微笑んだ。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ