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プロローグ
もし世界を例えるならば、大きな仮面舞踏会の会場だ。
仮面の向こうの素顔を隠し、
誰しもが取り繕った姿で踊る。
薄ら黒い影を気取られぬ様に。
歪んだ本性を悟られぬ様に。
そして、踊り疲れた彼らは仮面を外す。
否。外さずにはいられない。
世界が美しいとは限らない。
でも、それを通して見える世界は、酷く歪んで見えるのだから。
ーー深みに嵌った私はそれを外せない。
信じてる「私」という人間はどこにも存在しない。
所詮、私は「私」という人間を演じているだけなのだから。
誰も私のことを知らない。
私でさえ「私」のことが理解らない。
ーーそれでいい。
「盾」は私のことを守ってくれる。
知らなければ、傷つかなくて済む。
ーー嘘を重ねる。
このセカイで生きていくために。
自身を守るために。
だから。
私は、「ココロ」にそっと蓋をしたんだーーー。