晩酌
戦闘回と書きましたが、チェ―ニの昔話を多くする為に、後回しにして、今は主要キャラを全員登場させます。
女性が多めですが、後に男性も追加します。
2300hrs
イルミナル邸
深夜になり、周りの木々は少し強い風でざわめく。
お嬢様は最初はまた生徒会のお仕事をするつもりでしたが、遂に力尽きさっき就寝しました。
お嬢様の寝顔もいいです。ええ。
しかし留意する事項が二つ。
一つは朝に感じた敵の残り2人からの襲撃は無かったこと。
気配からして一人はかなりの手練れ、逃げたとは考えられず、日を改めてくるかもしれない。
警戒は必要だな…。
そしてもう一つはあの副会長。
とりあえず次ふざけた真似したら潰す。
さて、私でもお嬢様の愛しさよりは足下に及びませんが楽しみはあります。
え?意外?心外な。
食堂の隣、料理部屋にある机に酒と菓子類が用意されている。
「よっ、来たな」
少し赤が混じった金髪で姉御肌的なサバサバした妙齢の女性が片手を上げて待っている。
「待たせました、ルノーさん」
彼女はメイドのユウの直属上司で侍従長のルノー・ハイネさんである。
私が来た三年前から既に侍従長で、私に執事の作法を叩き込んでくれた恩師であるので敬意を持って、さん付けをしている。
本来なら当主あたりに付いていくが、家の留守を預かりたいと志願して、ここに居て我らの姐さんにもなってもらっている。
ちなみにシェフは近くの村から来てるので既に帰り、運転手のフェンは酒が飲めないからいつもこの晩酌の時は愛銃持って屋上で警戒してくれる。彼も元王国軍で戦闘員としても優秀である。代わりにお嬢様が学院の休みの日は私が警戒します。
「気にしてないさ、ウィスキー行く?」
「ハ―フで」
「あいよ」
彼女は慣れた手つきで氷を入れて1:1で作る。
「心行くまで飲め!」
「あざっす、でもその前に」
「そうだな、忘れかけてた」
笑いながら彼女はストレートにして、互いにグラスを持ち
「「お疲れ様です」」
チン、と音を響かせてから飲む。
やはり瓶でも、未調整のタイプで、アルコール度数60だから水で割っても強い。しかし
「ふう…うまい」
「ストレートで良く半分飲めますね…」
グラスにあった分がかなり無くなっている。
「まあ、このくらいのお酒から私をピリッとさせてくれるのよね、ビ―ルや果実酒、調整されたウィスキーは刺激が足りないのよ」
「そうですか」
彼女の酒に対する強さに驚き通り越して凄いの感想しかない。
「そういえば…今日は目標を一人始末したと聞いたけど?」
ナッツを食べながら彼女が聞いてくる。
この人は私の前歴が暗殺者と知り、気軽にそういう話が出来る少ない人の一人だ
私もナッツを貰いながら
「三人組の恐らくは一番下手な奴ですね。光学迷彩みたいな高級品を持ちながら、メリットデメリットを理解してませんでしたし。多分捨て駒の様子見。一番の手練れ、恐らくはリ―ダ―は結構やりますね。あとはどの位のレベルかが気になり、いつ来るか…」
「誘っておいてなんだけど、今お酒飲んで大丈夫」
「ホント今更ですね」
私は思わず苦笑してから
「大丈夫です。この程度なら酒に強い自分にとってはむしろ高揚効果ありますし、照準はブレません。それに、基本的にこの時間帯で奇襲するのは余程の自信が無ければ出来ません」
「へえ、どこの教訓」
「自分が暗殺者ならと考えてです」
もしこの執事をクビになり、また暗殺者に落ちた時に、お嬢様を暗殺しろなんて言われたらそのクライアントを殺しますけどね。とりあえず灰も残しません。
彼女はクスクス笑ってから
「あなたがリュミエ―ル様を暗殺なんて、失敗するとしか思えない。例え初対面でも取り込まれそう」
「同感です」
私も笑ってウィスキーを口に含む。
そのとき、はたと気づく
「ふむ、そういえばユウを見かけないな…」
「ん?ああ、あの子ならフェンの所にココア持ってかせたのよ」
へえ、確かにフェンは甘党だし、ユウはココアや紅茶などを淹れる技術だけは一級品だからな
「でも遅いな、あいつなら無事故達成宣言する為にわざわざ戻ってくる奴なのに」
「そんな宣言よりも、彼の近くに居たいんでしょ」
「?、どういうことだ?」
「鈍いね〜、あの2人はまだ告白してないけど、普通に恋人同士だよ」
「!」
驚きで固まった。本当に気づいてなかったんだね〜と、彼女は微笑しながら
「私もつい最近見つけたけど、朝の食堂のテ―ブルセッティングや、他にもあなたが学院で行動してる時なんか結構イチャイチャしてるわよ。だからさっきフェンにココア持って行き言ったら、ちゃっかり2人分持って行ってるのよ」
私は意外なものを感じた。あのしっかりのフェンと食器の破壊神ユウがか…互いに真逆に惹かれたのか?
「まっ、こういう初々しい話は私結構好きだから、応援するけどね」
「本当に好きなんですね…」
目が輝いていますよ…。
「あなたも少しはリュミエ―ル様以外にも興味示したら?」
「だが断る」
「即答ね」
お嬢様以外を愛でろと?何を言うんだ。それよりも、
「ルノーさんこそ、そろそろ彼氏でも…」
「……ふふっ、チェ―ニ君?」
あっ、地雷踏んでしまった?いやわざとだけど
ウィスキーを最後は一気してから
「では、ご馳走様でした」
「あ!こら!」
私は部屋から緊急待避さ!
さて、良い話聞いた事だし、あとでフェンをからかおうかな。
少しイタズラめいた笑みを浮かべながら私は廊下を歩く。
ルノー視点
チェ―ニが足早に去ったあと、私は最後の一口を飲みきり、刺激と風味を楽しんだあと
「お嬢様の話し相手になり、出来の悪くても可愛くて仕方ない部下を見て、その子とまじめ君の恋愛模様が見れて、そしてあんたと晩酌が楽しめれば十分幸せなのよ、チェ―ニ」
今は居ない奴に向けてそう呟いた。