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元暗殺者現執事  作者: 夕霧
奪還作戦
25/31

覚醒は唐突に

物語強制進行!

自分の気分が変にハイになってるうちに更新!

7/6

0820hrs

フェルザーノ王立学院正門

いつも通り、高級車がロータリーを埋め尽くす朝の光景。

そしてその中で、他の高級車が脇に寄せるほどの車が入ってくるのもいつもの光景。出てくるのは、この学院の生徒会長にして、才色兼備で大陸を魔術界で知らぬ者は居ないリュミエール・イルミナルが降りて、朝の挨拶をする。

しかしここでおかしいことが起きた。

まずいつも嫌みのない綺麗なオーラを放つ彼女が今日はどことなく暗く、そして目の下にクマみたいなものがある。

異常はまだある。いつもなら必ず隣には、この学院の子息令嬢付執事の中で間違いなく一番強いチェーニでなく、運転手係のフェンが付いてきているのだ。更に学長のお付がそのままリュミエールを学長室方面に連れて行ってしまった。

今まで登校日には絶対に隣に居るはずの人物がいない。そして学長の呼び出し、このうわさは生徒会長という肩書きも相まってしばらく広がるのだった。

「なんで今日はチェーニが居ないんでしょう。風邪?いやあの人がそんなにやわかなぁ、取材しようにもネティさんならともかくフェンさんはどう切り込めば分からないからなぁ」

「あなたも懲りないわね」

「あ・・・ああっ!」

木の陰からいつも通り襲撃しようとしていた、週刊報のレンは、後ろに突如現れたセネルを確認すると驚く。

「セネル先輩、噂はいろいろ聞いています」

「あまりいい噂ではないと思うけどね」

「ええ・・・まあ」

「否定することも覚えなさい」

「お言葉ながら、先輩は圧倒的に「美人でもサボリ魔」でなぜ成績がいいのか先生は疑ってますし、どこぞではファンクラブというのには形容しがたい、なんというのでしょう。いじめられるのを渇望する人々に崇拝されてますし・・・否定がしにくいです」

「本当に正直者ね。心の中の言葉全部外に出している。よく記者続けられてるわね」

セネルは内面も外も変わらないレンに苦笑する。それさえも絵になるのだから反則である。

「仕事の時は違います。どうせ嘘ついても見破るあなたには意味ないと思いましたから、で、何か御用ですか?」

レンはとりあえず聞いてみる。

「まあね、生徒会長、随分と動揺と激情けがある。そして学長呼び出し、気にならない?」

「気にはなりますが・・・・学長室は基本立ち入れない、まさか盗聴?]

「そのまさか、面白そうじゃない、例え狙いとは違うことでも朝から呼び出しくらう件なんてよっぽどよ。非公式で盗聴道具ぐらいあるでしょう?」

「学長の心は」

「読めない。対自白防止暗示きつくかかってる」

「バレたら大変で済みますかね?」

「週刊報は真実を追求するお姉さんが所属するダーリア・クロニクルを目指しているのでしょ?ならばやるべきよ」

「ああ言えばこう言う・・・自分に利益ありますか、それよりなぜお姉ちゃんを?!」

セネルは華の夜会前にチェーニから討伐を頼まれたときに近くに居たので知っている。

「少し会ったことあるの、話戻すけど、あの生徒会長様が動揺しているということは絶対チェーニ絡みね」

「心読んだんですか?」

「これは私の中での常識よ。残念ながら」

セネルはつまらなそうに返す。ああ、レンも少し勘付いた

「塔での逢引と交際などのゴシップのうわさは聞きましたが、片思いながらまだ想うとは・・・案外純情一途なんですね。あの二人ですから絶対に離れませんよ」

「分かってるわよ、それにあなたには言われたくない」

「はい?」

セネルはレンの耳元まで近寄り

「彼にすすめられてシークレットブーツを5cm縮ませたのね」

「なっ・・・」

レンの顔は真っ赤になる。

「先輩・・・・」

「ふふっ、で、本当に引き下がっちゃうの?」

セネルの挑発的な笑み・・・レンは

「あああもう!初めてのサボリだわ。行きましょう、道具は仲間に取りに行かせます」

「決まりね、行きましょう」

二人は歩き出す。


0840hrs

学長室

ノックの音がする。

「入れ」

学長であるジャニストが許可する。扉は開き

「失礼します」

入るのは生徒会長である、リュミナール、チェーニが居なくなったのは話には聞いている、しかし懸案事項があるので先にする、いやすぐにチェーニが絡む。

「なにかご用でしょうか?」

「ああ、厄介な事が起きた、学院でまた闘争が起きそうだ・・・さらにクラーリアが武力介入でさっき鎮圧された。彼らの怒りをコントロールして仲介を頼む」

「・・・了解しました」

彼女はうなずくが、いつもの自信の欠片もない、というかなんか怒りも感じるが、それはまた自分と別人に向けてる感じ・・・どこまで依存させてしまったんだあの野郎!

学院闘争、自由結婚と迫害で伝統主義陣営以外での一般人はもちろん、貴族階級まで魔術師の数は激減している。そしてこのような状況を憂いて、毎年学院祭1~2か月前のこの時期になると各国にある魔術学院の魔術師優勢論者、選民思想を持つ生徒、教師が暴走を始めてしまう。

今年は苛烈を極め、西のもっとも魔術から離れてる先進科学陣営に存在するベネディクト共和国の国立クラーリア魔術大学、及び付属学院が時代遅れの不採算国立学校法人として援助金カット、魔術協会の介入拒否と、事実上の閉鎖準備を受けて暴動、まだ力のある人間の子女など簡単に手出しできない警察に対して攻撃を加え犠牲者を出したために、2週間にわたる行動のち、先ほど警察が報復を込めて怒涛の総攻撃を実施、2時間ほどで鎮圧。学院はしばらく閉鎖とさらなる重い決定が下る可能性ある。

これにうちの学院の主導派が学生の無差別攻撃として、警察殺人を棚上げして抗議を始めようとしている。

10年前に選民思想派の中核が抜けてからは、学院闘争は大分穏やかになったが、それでも3年以上前までは、会長もたじたじにされて、授業ボイコットも少なからず起きた事件もある。

しかし、リュミエールが生徒会長になってからは、上手い折衷案を出したり、穏健派との仲介はこれ以上になくスムーズに動いた。

何の手助けもなくても彼女なら仲介できる、しかしもう一人、彼女の働きを最大限に効果にまわすあいつ、チェーニも裏で相当の工作を働いていた。リュミエールの仲介の助言でなく、それを邪魔する要素を一切排除、決して褒め称えられることのない地下の仕事を奴は嬉しそうにやっていた。

今年は難しい、チェーニが居ないと仲介の彼女は危険に陥る可能性も否定はできない。フェンやネティも十二分に一線級の人間だが、あいつは格段に違うからな・・・。

さて・・・どうやってチェーニについて聞こうか

そんなことを考えていた時

「学長、質問よろしいでしょうか」

彼女の方から声がかかる。珍しい

「どうぞ」

「チェーニは・・・どこに拉致されたかご存知でしょうか?」

まさかリュミエールからの持ってくるとは

ジャニストは首を横に振る。

「いや・・・公安、警察、軍憲兵に当たったが見当たらなかった。事態は一筋縄ではいかないそうだ・・・すまないな」

「え・・・」

ジャニストが謝罪する。リュミエールは驚く。

「私は公安の存在を知っていた。夜会の事件できな臭いことも・・・しかし公安だけならと情報を精査せず甘く見て送り出してしまった。私はあいつが嫌いだ、しかし君とこの学院に必要な人材であることは間違いない、結果論ではあるがあの時忠告や反対をすればよかった・・・申し訳ない」

「いえ・・・・いや謝るのは私ではなく本人にしてください」

「なんだと?」

今度はジャニストが驚く。さっきまでの覇気のない彼女が何かを決心したようだ

「迷っていましたが・・・今度は私が守る番です。学院闘争は何とかします。その前に私に時間をください。それとチェーニさんが今までかかわった事件の情報、そして過去も知るためにギルドのある人を呼びたいんです」

いきなりの宣言・・・やばいぞ、チェーニの拉致でリュミエールはある意味で覚醒したのかもしれない・・・。

「チェーニがギルド出身は聞いたのか?」

「本人からではありません、手紙を届けた人間が居ます。宛名にはカール・セイズと」

「・・・それはギルドでも超大物だ。簡単に来るかはわからんが・・・わかった問い合わせよう。君の名前を使ってでも」

「ありがとうございます」

「だが、私たちだけでは手が足りん。そう思うだろ?」

いきなり窓に話しかけるジャニスト

「今なら協力すれば無罪にしてやる。リュミエール、10分後に会議再開だ。それまで休憩だ」

「は・・はい」

ジャニストの言葉に彼女は小首を傾げた。

ここからリュミエールの反撃と、チェーニの過去が明らかになる。


そして学長室ある棟の対角線に上にある本館屋上

「あら~、さすがは大陸でも有数の魔術師、最新式の奴でもダメだったようね」

「なんかちゃっかり頭数に入ってますけど!しかも手伝ったら無罪で有罪は・・・」

「楽しいことになるでしょうね」

「なりませんよ!」

室内の声は微かながら振動し、窓にも振動が伝わる。その振動を拾うレーザーを当てて、振動を含んで窓を反射したレーザーを受信機が受け取ると音に変換する画期的なアイテムだ。

「まっ、逃げれないし、あの聡明な箱入りお嬢様が本格的に学院外のことを戦おうとする姿を見ながらチェーニを救う、素敵じゃない?」

「それは掻き立てられますが・・・やらなきゃいけないんですよね・・・取材が思わぬ形で壮絶な社会科見学に変わっちゃったよぉ」

レンは珍しく泣き言めいたことを言う。

「でもあなたのお姉さんみたいにダーリア・クロニクルもこんなことすると予測して予習しようか」

「最後に神様にお祈りを!」

「はい終了、時間ないし行くわよ、機材は仲間さんに回収任せてね」

「ああもう!」

セネルに引きずられるレンは声を上げてから

「こうなったらもうとことんやってやる!敵がなんだ!もう怖くない!」

「その意気、その意気」

セネルはチェーニ以外では滅多に、いや皆無の本当に楽しそうな笑顔を浮かべ、レンはひきずりから解放されてから、決意を込めて拳を高く突きあげた。

ここにチェーニ奪還作戦が始まる。








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