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元暗殺者現執事  作者: 夕霧
華の夜会と蠢く陰謀
21/31

その鉄則をぶち壊す

二か月待たせてこのクォリティー?

はい、そうです申し訳ありません・・・。


次回は一週間後に投稿します。

夜会の章はあとは消化試合ですね。

色々試行錯誤して終着点が見えにくい状況ですが、何とかまとめて頑張りますので、応援よろしくお願い申し上げます。

6/30

2120hrs

夜会会場

リュミエール視点

今、私の階級より遥かに高位な皇室の一子の求婚を断り、そして周りに波紋を呼んでいる。


あるものは夜会の伝統である高位貴族男子の求婚を断る事に唖然し、またあるものは私の行動を見て好きでない男性の無理やりの求婚をはっきり拒否し、またあるものは伝統を壊したのが学院の生徒会長であることに驚き、口元を隠しながら側近や貴族仲間と悪口を言う


私の発言がきっかけとはいえ、元からごますりや自分を高く見せようと仮面をかぶるこの夜会に嫌悪を持っていたが、さらに居心地が悪くなる。

そして一番呆然としているのは目の前のダリウスである。

「あなたは・・・自分で何を言ったかわかってるのですか?」

「ええ、覚悟の上です」

やっと再起動した彼からの丁寧な言葉は、恥じと怒りで震えている。


ダリウス視点

元から私はは彼女に好意を持たず、むしろ望むままに学院に要求を通せなくなった最大の怨敵である。それは彼女も一緒であると思う。

しかし、政治の話になれば別。彼女の魔力、そして能力は一級品であり、階級も伝統主義陣営盟主国家の次期公爵と申し分ない、ダリウスは皇国繁栄と、未来の強力なパイプにとこの夜会で手に入れることを決めたのだ。

彼女が暗黙の拒否の礼装を着てきたのは予想外だったが、階級はこちらが上、この会場で、しかもど真ん中で堂々と求婚する。さすれば彼女いえども拒否は出来ない。

結婚が成功して初夜を過ぎれば後は仮面夫婦でもなんでも演じきる。幸い自分は二男、さらに次期皇帝の兄上には既に男子が居るので、世継ぎには問題はない。

望むものを手に入れるためならどんな手段を講じる、この作戦の成功も確信していたのに、いきなり第一段階の入り口で崩壊した。

周りの声が段々とぼやけ、すべては自分の嘲笑にも聞こえる。

自分はなんでも望めば手に入る。容姿も整い身分も高い、さらに言えば私はすべての声を聞き入れて戦う人間だぞ・・・。


うまくいかないことと、自尊心を最大限に抉られる醜態を晒したことにより、彼の中で何かが切れる。



リュミエール視点

私はとんでもないことをしでかした。

夜会の主役である、フェルラ王子とハルネス女史よりも目立ち、生徒会長である身分が夜会の伝統である、男性の求婚を拒否し、トドメはそれが他国の皇室の人間であること。

しばらくは私やその周りの人間に対して風当たりが強くなるだろう。

特に私の家は元から魔術教会からは評価されても、この国ではあまり良しとしない貧民救済と現代技術を多用した病院事業と、他の貴族とは違う体質を持つので、もしかしたら親にまで迷惑・・いや、あの両親のこと、多分・・・いや絶対に切り抜けてしまうが、一時の風評被害は必至。

だが彼の求婚に対しての断りに躊躇いはなかった。

それはなぜか、理由を考えるよりも先に口からでてしまったし、自然と最悪のケースを想定して飲み込んで尚且つ覚悟している。

とにかく、プロポーズの姿勢から微動だにしない彼をどかすことが先決だ。これ以上好奇の視線と周囲のざわめきは精神の毒になってしまう。

「ダリウスさん、私ははっきりと断りました。早くここから動きましょう。これでは夜会にししょ「ふざけるな」・・え?」

私は彼を見る。彼の顔は整ったは隠していたすべての感情を映し出し、私に向けている。

「俺の言葉を遮ったくせにお前が指図するな・・・なんでだ・・・なんでなんだ!なぜ断った・・・」

彼の本性がさらけ出され、明らかに癇癪を起している。周りもこの状況に驚き、そして同時にこれからの展開に興味を持っている。

いつ暴発を起こしてもおかしくない状況。


・・・・・もうやだ。


下心丸見えで求婚されて、断ったら地獄、挙句に相手は暴走寸前。救いようがない、ふと横を見ると・・・

[遅い・・・]

そこにいる人物を見た瞬間、少しの怒りと心臓が跳ねる感じ。さっきまで何も感じなかったのに。

彼がいるなら大丈夫。

私は賭けに出た。

彼にさらなる醜態と、そして私の保守のための策を・・・

「いい加減にしなさい、これ以上の議論は無駄です」

「話を変えるな!指図するなあああああ!!」

瞬間、ダリウスは立ち上がり、殴りかかる。

思考内では己の自爆した責任をすべてリュミエールに転嫁して・・・

「・・・・」

私は思わずにやりとした。

刹那、目の前に黒のスーツの人間が割り込む。

一瞬にしてダリウスの拳を右手で受け止め、左腕でリュミエールを優しく後ろに隠す。

「遅い・・・バカ」

思わず仕事モードの仮面を外して彼にいう。

「申し訳ございません、お嬢様、お叱りは後程」

私に向けて優しく微笑む、使用人の中で特に大切な人、チェー二。

ありえない光景に周りもさっき以上にざわめく。

「き・・・貴様、離せ!」

「あなたがいくら階級高くとも、女性に・・・特にお嬢様に殴りかかる時点で私の逆鱗に十分触れるのですよ・・・愚図が」

「ぐああああああ!!ああっ・・・あああ!」

受け止めているように見える右手は恐ろしいほどの握力でダリウスの手を握り潰し、同時にさっきとは真逆の殺戮機械モードクラスの視線を投げつける。

痛みと恐怖で完全に戦意喪失のダリウスはやがてへたり込む。

さらなる一撃を加えようとしようとしたが、

「ダメ、今の引きが一番こちらの被害が少ないわ」

「しかし・・・」

「ダメ」

私が視線を投げると、ふうっ、とチェー二はため息ついてから

「命拾いしたな」

と言いながら手を放す。

ダリウスの方はいろんなものが混ざりきって、怒りの形相から今度は憔悴した表情になる。

「チェーニ、行きましょう、夜会の続行をさせるわ」

「はい、お嬢様」

私は学院内では普通の仕事モードの仮面を再びかぶり、彼に命令する。彼もすでに承知済みで、黙ってついていく。


これで周囲の評価はダリウスの方が悪いという見方になった。

さらに言えば、本性表し殴りかかってきたおかげで、未遂でも、上流階層の紳士としての意識が欠如しているとしてダリウスの威厳は失墜して、私の存在は霞むか、今後あり得るかもしれなかった、彼が私に対しての中傷などの攻撃の大きな牽制となった。

もちろんこれで全部拭えるわけではないが、私の行動に対する代償は大きく減った。

ああ・・・あと

「チェーニ、あとで話があるから」

「了解です」

夜会の後は彼を説教しなきゃ・・もちろん二人きりで・・・。

その時だけは心が躍り、周辺にはわからない程度に顔がふやけていた。



そして後日、周りの人間の評価が変わった。

リュミエール・イルミナルは、純潔な存在に見えて、すべてを壊し体勢を組みなおす大物と・・・。


そして仕事モードのリュミエールに、事務的に淡々と命令を受けていたチェーニは

「やばい・・・はまる・・・」

真面目な顔をしたその水面下で。

命令調の彼女も素晴らしく、体が反応してしまうと悦に浸っている変態になっていた・・・。






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