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元暗殺者現執事  作者: 夕霧
華の夜会と蠢く陰謀
20/31

陰謀の終わり

お久しぶりです皆様。

何だか久々にポイント見たら、なんか60pt以上跳ね上がってました。本当にありがたいことです。

で、今回もなんか・・・。でも楽しんでいただければ幸いかと。


追記

この話の執筆に際して、報告と計画の全容の回を一部改訂しました。

具体的には学長の紹介と理事会の悪どさを強調する文章を追加です。

6/30

2120hrs

華の夜会会場理事会室

理事会の為に会場一角を仕切り特設された理事会室に居る理事会の人間は和やかに進む夜会を見て苛立ちが隠せないでいた。

いや、それ以上に焦りすら感じている、連絡役に任じた理事会で一番若い奴が席を退出して庸兵団と連絡を取ろうとしている。


なぜ傭兵が来ない・・・


既に会場に傭兵達が乗り込み、会場は悲鳴と恐怖に支配されてもおかしくはない。

しかし現状はどうだ・・・なんら変わりない。


天下りした先が絶対不可侵に母校の学院。最初は他の天下りみたいに夢の年金生活と学院の掌握を野望にしていた。

しかし、美貌と知性を兼ね備えた才女、生徒会長の妨害と、理事会と癒着しない学長ジャニストの毅然とした態度により、完全に自由が無く、不満は膨れるばかりだった。


しかしそんな日々ももう終わり、王室と軍の喧嘩は遂に革命前夜の状況になったのを受けて、軍の暴走を停止させる生贄として、不可侵中立の学院を王国保護の名の下傀儡政権樹立を決定した。

傭兵による学院占拠の自演は理事会もさすがに驚いた。

しかし次に来るのは私達理事会の圧倒的有利な条件、学院の保護は伝統主義陣営の盟主であるシルバニア王国の特権でねじ伏せて国際問題に発展させない。犠牲者が発生してもそれはそれで上手く利用すれば魔術師の魔術使用の条件緩和など、将来に非常に有利な一手になるのは間違いないだろう。


「失敗したのか・・・」

1人の発言で理事会の全員が固まる。

「不吉な事を言うな・・・」

「しかしいくら悪徳の軍隊と言えど約束をここまで違えるのはおかしい・・・」

「身の振り方を考えるか・・・」

彼らの頭の中は素早く最悪なパターンを想定して、いかに保身するか考える。

「と・・・とにかく学長は今は長期出張でいない、ここは穏便に夜会を済ませることも視野に入れよう」

「ほう、そんな世迷言が言えるほど元気とは・・・」

「なっ・・?!」

理事会は声の方に振り返ると、連絡役の若手が震えている。その後ろに居るのは、学長ジャニスト

既に年は50を過ぎているのに顔立ちは若く、そして

「こんな盛大な悪だくみをしているのに気付かなかったのは不覚だった。しかし、ここまでしといて夜会を楽しく終えようなんて思わないよな?」

目が残酷に輝く、元から嫌いな人間に関しては徹底的な粛清を行うのを楽しみにしている。特に力を持つ人間を・・・

理事会の人間はいつもなら言い訳で回る口も、彼の発する威圧と、どんな言葉も言質取られる可能性のある恐怖から閉口する。

「と・・・言ってもな・・・まことに不本意だが」

残酷な顔から今度は眉を下げて本当に残念そうな顔をして

「既に庸兵団は始末されて、王室と軍の痛み分けになった・・・この中間点の終結と、学院の不可侵がしばらくは守られて、真実が表ざたにならないのに理由なき「粛清」するのは少々無理がある。残念ながら君たちには戒告処分で済まされるだろう」

ジャニストの言葉に理事たちは最悪の事態の回避に胸をなでおろす。しかしジャニストは見透かしたように口端を歪め、そして背を向け

「しかし、今後君たちの誰かが呟いたように身の振り方は考えないとな・・・君たちの秘密は私は知っている。そしてそれは私の美味しい餌となり、君たちが苦しむ材料になる。せいぜい私を崩すのを頑張りたまえ」

ククっ、と喉を鳴らしながら退出する。そして理事会の人間は自分たちの犯した愚行と代償に震えが止まらないでいた。



2130hrs

華の夜会会場外

会場の扉の外に出たジャニストはしばらく歩くと

「お疲れ様です、教育総監督・・・いえ、今は学長でしたよね」

闇夜から微笑みながら現れる女性、ジャニストは舌打ちしながら

「ふざけるな、君に学長とも総監督とも言われる筋合いはない、ラン・ヘッドフィル・・・いや、今はシーク・レティアルか、なぜ顔を出した」

「ひどいですね、タレこみと我々の行動で一番安全で理想的な結末にしてあげた人間を褒めるどころか非難するなんて・・・」

「当たり前だろ、むしろ学院の不法侵入を不問にするのを感謝してほしいぐらいだ」

「ふふっ、強がり言っちゃって、本音はこんな一端のジャーナリストに簡単に突破されるこんなやわい警備体制を隠ぺいしたいから不問にするんでしょ?私のせいにしないで下さいよ」

「貴様・・・」

「おっと、これ以上は本当にまずいかな~」

口を掌で覆いながらくすくす笑う。


こんな彼女だが、シークはこんな女性だが、実際は魔術理論作成では非常に優秀で、将来は魔導院の魔術構築分析部門の活躍が期待されていた。

しかし、4年前、皆の期待に反して、大陸中の裏を追うダーリア・クロニクル社のスカウトを受けて忽然と学院から消えた。

当時学長はその情報を掴むと、呼び戻しと慰留を要請したが結局は戻らなかった。学院はこの事実を消して、更に責任を明らかにするため学長は引責辞任、彼女の学籍を抹消。両親も勘当して縁を切った。


そして一昨日、一カ月以上かかる大陸代表魔術師の総会の総仕上げの時期に電話が届く。声の相手は4年前、期待を見事に裏切ってくれたシークからだった。

「まあ、まことに不本意であるが助けられたのは事実だ。感謝だけはしとく」

「ありがたく頂戴します。と、言えばいいですか?」

「本当に忌々しい奴だ・・・、と、もう一人の主役はどこ行った?事後報告、承諾はするなといつも言ってるが」

「彼ですか?ああ、あの人ならもうわき目も振らずに主人の下ですよ」

シークの言葉にジャニストは顔をしかめて

「いつも通りか」

「いつも通りです」

2人同時にため息吐く。


同時刻

夜会会場

「・・・・・・、ルノーさん」

「なんだい?少しといって2時間以上席を開けた忠誠心ない執事さん?」

「それに関しては言い訳のしようがない、で、あれはなんだ?」

「見ての通り・・・」

チェーニは警察をかわし、証拠を消し、そして足がもげるのではというほどのトップスピードでお嬢様待つ会場に戻った瞬間に広がる光景。

それは雑談やダンス、ごますりも、そしてオーケストラの音楽もなく静まりかえる。全員会場真ん中の光景に釘付けだからだ。

1人は愛しのお嬢様。

「あ・・・あの・・今なんと?」

お嬢様は明らかに狼狽している。男性は

「何度でも言います。この会で言うつもりでした。私と婚約してください、リュミエール」

相手はお嬢様より格上の相手、伝統主義陣営の一国、ソーシャ皇国皇帝が一子、ダリウスである。確か11年生、生徒会ではこの学院生徒の意見を取り入れて、生徒会会議に議題提案して可決させる、いわゆる民衆の味方的役割の人間だ。

一方で、自身の容姿と地位、議案強行採決など自信家となんでも手に入る欲望的一面を覗かせる人だ。

周りの女性は噂瞬時にざわめき、そして私は・・・

「殺してやろうか?いや・・・」

いきなりお嬢様の下の名前を呼び捨てにする彼に対しての沸き立つ殺意を抑えてお嬢様の答えを静観する。

相手はどんな性格であれ、他国の皇室の人間。いくらこの国の公爵階級の権限が高くとも拒否権は無いに等しい。大多数は受けることにかけた。

しかしお嬢様は・・・

「申し訳ありません」

「・・・はっ?」

お嬢様が頭を下げる、片膝ついて求婚したダリウスはまさかの言葉に呆ける。周りもこの答えに何とか表面上は淑やかにしてるが内側では驚愕の嵐が吹き荒む。

「私は・・・あなたの伴侶になることはできません」

そして駄目押しでお嬢様ははっきりと拒否を示す。

自分より高位の人間の求婚は拒否出来ない。その夜会数百年の風習が一気に崩される瞬間であった。そして

「よ~し、口実が出来た」

「暴れないでよ」

「善処します」

私はルノーさんの警告を聞き流し、お嬢様の元へ向かう。

次回はどの視点からいきましょ。

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