車内にて
キリがいいので投稿
次は新キャラと軽い戦闘回
ちなみに現代なのに携帯の類が無いのは、リュミエ―ルはデジタルは電卓以上は苦手設定。
これから先進通信機も出る予定。
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0745hrs
お嬢様を学院に送るために走る車、その車内で私は左頬をふれていた。
昨夜のお嬢様との会話&不意打ちの睡眠魔術で全快になった私は絶好調であるが…
「まだ気になっているんですか?」
「まあな…」
フェンが前を見ながら聞く。
朝に起きた時から何だか左頬が熱いようなむず痒いような…でも不思議と嫌なものでなく、むしろ気持ちよいものである。
更に言えば、この原因が分からないのがとても残念に感じるのは何故だろう?
まあこの感覚は置いておくとして
後ろに居るお嬢様は朝から仕事モードで何かをノートに書き、電卓を叩いている。
お嬢様が息を吐き、計算を止めたのを見計らい
「また何やら忙しいのですか?」
「ええ、昨日理事会がいきなり華の夜会を一年前倒し開催する事を決定して…二週間後の夜、フェルラ副会長の誕生日に併せて」
「それはそれは…」
私はお嬢様の忙しさに心から同情すると同時に疑問も浮かぶ。
「何故前倒しを?」
「来年は魔術師サニスの500周忌だから」
「ああ…」
華の夜会
この学院には各国の王族が入学する。
特にシルバニアの国王子息が12年生、20歳の誕生日を迎えると、この華の夜会が開催されて、本格的に始まる政治への参加を祝福して、同時にこの学院の中から正室を子息自らが決定するのである。
この300年間はこの伝統に則り現国王も先代国王もその前も夜会で決めた学院の級友を選び、恋愛の末に結婚している。
大抵は学院仲の良い女性を選ぶのが多く、簡単に予想がつき、選ばれないと分かる貴族女性は夜会で高位貴族男性に色目を使い、男性は好きな人に近づき、早めにマ―クする。
ちなみにこのような夜会で、貴族男性は自分より階級の低い貴族女性に、結婚を申し込むと女性に拒否権が無い。
拒否すれば、どんな風評被害が自分の家に来るか分からないからだ。
だから下心を感じたり、好きでもないのに結婚して仮面夫婦も何組か完成する為、男尊女卑のこの夜会の悪習を直そう!と叫ぶ者達も居るが、伝統という名の下その声はかき消されている。
まあ仮面夫婦になる女性には同情しますが、私にはそれ以上関係ないので改正されようがされまいが興味ありません。
そしてさっき出た魔術師サニスとは、この王国建国に尽力し、現海した神話の魔物を封印して死んだ英雄として、この国では彼の死後100年ごとに喪に服し、大きな行事を自粛する傾向にある。
学院副会長でありシルバニア国王一子にして王位継承第三位のフェルラが主役のこの夜会がいかに重大かもここで分かる。
まあすぐに国王に頼る甘ちゃんなのは心の奥にしまおう。
「正室の候補は恐らくハルネス先輩ね」
「ハルネス様ですか」
お嬢様の出した名前にすぐに思いつく。
フェルラと同学年で、お嬢様と同じくらいの優秀さと、表のお淑やかと裏の貴族の悪の部分を上手く使い分けて、階級も公爵と申し分ない、ミッドウェ―公爵家が一子、ハルネス・ミッドウェ―様である。
彼女の両親は父親シルバニア王国陸軍元帥にして最高司令官。
母親は王国空軍戦略司令部司令官。
長男は魔術師だが武術の道を選び、陸軍師団長
次男は王室警護官という精鋭
という完全なる軍人一家で、覚醒因子で長女ハルネス様だけこの学院に来ました。
彼女と副会長は仲の良い噂も聞きますし、伝統主義陣営の中で最大勢力で軍事大国と称されるレベルの王国軍の手綱が取りやすくなる利点が大きい。
大陸の魔術師を事実上まとめる魔導院の長は決定的と言われ、結婚すれば裏から王国の意のままに魔導院と魔術師が操れる可能性があるお嬢様と結婚するのも利点はありますが、お嬢様だと、お淑やかでなく積極かつ高潔で正論で思惑が撃破される可能性もありますし、イルミナルの跡継ぎの為に王族が還俗して婿にならないといけないのでメリットが無い。
まあもし求婚してきたら少しお話ししないといけませんね。事故に見せかけて…
階級を考えろ?そんなの関係ありませんよ私には。
まあお嬢様も多感な時期で跡継ぎも必要、もし夜会でもこれからでもお嬢様が相思相愛する相手が出来て居るなら見守りましょう。
しかしその相手が裏切ればその家の将来はありませんよ。
ヤンデレ?何ですそれ?
そうだ…
「今日、執事演習があるので、それと前に出した案は…」
「新しい人を採用したいのですよね、チェ―ニさんの推薦なら問題ないですし」
笑顔で許可くれる。ありがたき幸せ。
今日は執事達の全員参加の訓練日、そして私は一番少数の戦闘執事の訓練。まあ私の無双ですが。
その中で、トラブルでクビになった若い従僕が素晴らしいほど身体能力があったので、弟子にして、費用は学院からの取り締まり謝礼報酬を全て回し、私の技術の全てを叩き込んだ傑作。
後で皆様に紹介しますよ。[作者メタ発言させるな]
そして車は学院に間もなく着く。