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No.99 【貪欲なる白き嬢王】Act5 死せる金種と白金蠍の嬢王


 水銀マーキュリーが対処困難な金属物質ならばその元々の使用者に能力が戻れば。その能力を奪い返しその能力を使用不可能にしてしまえばいい。


 私とマリアはその結論に行き着き実行した。その結果がこの状況に辿たどり着いたのだ。


『お前等……よくも私から側近を奪っただけではなく能力を奪ってくれたな。殺してやる……絶体に殺してやるぞ。外来種……ルアマリアッ!!』


「〖白銀聖水〗は私の元々の力。それを奪って悪用していた貴女に返せなんて言われる筋合いはないわ。アドラ」


『この……母胎にも成れずに私にみにくく身体をバラバラにされて負けた8番目が偉そうに言ってんじゃねえぞぉお!』


〈本当に口が悪いな。君は………〉


 ハロエ嬢。この状況をどう見るかね? 私の意見としてはこのアドラはまだ自身の真の姿や力も使用していない様に見えるのだが。


〖………おっしゃりづらいですが。それが6割正解だと思われます。私達にマリア様を復活させたのもおそらくは〗


〈再び。自身の手でマリアを殺し。今度はマリアの全ての力を自身の物にする算段かね? アドラ〉


 スキル発動……【透明蜥蜴】

 EXスキル発動……【螺旋戒断らせんかいだん

 権能発動……【地の真典】【蝗災こうさい飛蝗螽老グースベリー・エンペラー

 昇華スキル発動……【節即魔獣メガネウラ】 


透明蜥蜴インビシブル・リザードよ。マリアを隠し安全な場所へと移動したまえよ。蜈蚣不死プレウラ飛蝗螽老グースベリー・エンペラー節即魔獣メガネウラはマリアが逃げる時間を稼ぐ様に〉


「「「オオオォオ!!!」」」


 私は再び出現させた元側近達を一斉にアドラへと向かわせ。マリアをアドラから遠ざけ始めた。


「ちょっと待ってっ! ギエナちゃん。私も一緒に戦うわ」


〈それがアドラの罠なのだよ。マリア〉


「罠? 何を言ってるのよ。もう少しでアドラを倒せる筈じゃあ」


〈あぁ、嬢王はまだまだ力を温存しているのだよ。本当の戦いはこれから始まる。そして、君は君でアドラを本当に倒す為の準備を始めたまえよ。マリア〉


「準備って……まさかここにあの方を呼び出す気なの? ギエナちゃん」



「「「オオオォオ!!」」」


『あの外来種……本当に感が鋭いわね。弱った所を見せて油断したところを一気に狩るつもりが台無しだわ────EXスキル発動【雌蠍母胎セルケト】』


 小さな弱りきていた様に見えたアドラが徐々に肥大化していく。


 その身体の色は白金色で妖艶ようえんに見えた。


 その2つのはさみは切れ味鋭くどんな硬い生き物も一刀両断する爪に見えた。


 その神々しい鋭利過ぎる尾はどんな頑強な身体にも穴を空け、傷付け。その傷口から大量の毒を送り込むイヤらしい尻尾に見えた。


 その雌蠍めすさそりの顔部分にはみにくい女性の表情が張り付く様に存在し。その化物の醜く過ぎる正解が具現化した様な表情に見えた。


【………ザッザッザッ……アドラ様。そのお姿で私を使用すれば完璧な勝利を掴めます。どうか良きご決断をして頂きますよう……】


『黙れ。ケムダー、お前の見え透いた魂胆こんたんなど今の私が簡単に乗ると思うなよ』


「「「オオオォオ!!」」」


『……五月蝿い塵共。荒廃魔法【砂塵の毒乱】』


 ズパンッ!!


 逃げる私とマリアの後ろでとてつもない速度の何かを両断し細切れにした音が聴こえて来た。


 その状況を確認すべく私はアドラの方へと意識を強く向けた。


〈成る程。これはハロエ嬢の判断が正しかった。再び出現させた飛蝗螽老グースベリー・エンペラー達が一瞬で敗れるとはな。透明蜥蜴インビシブル・リザードよ。マリアを安全なフリューゲルの元へと連れて行くのだ〉


「シュルル~!」


「ギエナちゃんはどうするの? 私があの方をお呼びするまで時間がかかっちゃう。その間ずっとあんな化物アドラに相手をするなんて」


〈ああ、勿論するとも。それが荒砂海ルアマリアを彼等に託され私の使命になったのだから〉


 権能発動……【蝗災こうさい】【地の真典】


 私はこれまで荒砂海ルアマリアで戦い蓄積してきた経験値《彼等》をありったけ出現させ。異質な蠍の化物と化したアドラへと一斉に特攻させていく。そこに策などない。とある時間稼ぎの為の無謀な特攻である。


『哀れだな外来種。才能かスキルか分からないが。その良すぎるのせいで本来の私の力を見ただけで結論付けられるのだから。荒廃魔法発動【白金切輪沈】スキル発動【毒蠍】【鋭断】』


 アドラがスキルを付与した魔法を一振すると一瞬で数千の味方がなぎ払われ消滅した。 


 そう。アドラがあの姿になって見た瞬間から勝敗は決していた。


 アドラは2000年という膨大な自分の時間を使い。自身の力を最大限に研ぎ澄まし研鑽けんさんしている事など。あの美しくも妖艶な雌蠍の姿を見て瞬時に分かった。


 今回の敵対者アドラは何の慢心もしていなかった。最初に闘ったナヘマとは違い。自分の才能に胡座あぐらをかいていなかったのだ。


〈………まあ、それで私が負けるという結末になるとは思っていないがね〉


『ああ、お前。そこに紛れ込んでいたわけ? さっさと死になさい。外来種。土魔法発動【白金鋭利】』


〈何? いつの間に私との間を?!〉


パキンッ!……恢復かいふく魔法発動


 ズズズ……!


『チッ! 幻樹種お得意の生存のみに特化した戦術 《種隠れ》か……なら広範囲攻撃で一気に吹き飛ばす。荒廃魔法発動【毒尻尾輪舞曲】EXスキル発動【尻尾霍乱しっぽかくらん】【無軌道蠍】』 



ボコッ!

〈……まさか一刀で私の身体を正確に両断してくるとは。凄まじい力の差で笑うしかなくなるものだ……〉


 アドラの白金の尻尾が極大化し。それをアドラは縦横無尽に振り回し始めた。


 恢復かいふく魔法発動……パキンッ!


 恢復かいふく魔法発動……バキンッ!


 恢復かいふく魔法発動……ガキンッ!


 こんなやり取りが永遠の様に続き。1056万回目の時に私の現在の魔力は底をつき欠けた時、アドラの嵐の様な猛攻が終わった。


 恢復かいふく魔法発動


〈………くっ! まさかあれ程あった私の魔力を枯渇させて身動きを取れなくするとは思いもしなかったぞ〉


『………みっともねえ………本当にみっともねえ姿ねえ。外来種』


〈……何だと?〉


『みすぼらし姿って事だ……どこから生えてきたのか知らないが。ぽっと出の奴が2000年以上生きる存在に太刀打ち出来るとおごるのも腹立たしく思える。だがそれもこれで終わる。外来種。お前を殺してね』


〈最後まで口が悪い嬢王なのだな。君は……〉


『黙れ。塵《外来種》。それ以上喋ればお前のその豆粒の様な身体を真っ二つに両断して……』


『させぬよ。本物の外来種アドラよ。この我がここにやって来たのだからな』


 突然現れたその人物は褐色の肌に頭にはターバンを巻いていた。そして、どこからどう見ても少年の様な姿をしている。


『お前は冠位グランド……ベル=アー・イスカンダル?! 無機物の化物として生きる事しか許されなくなったお前が何故人の過ぎたでここにいる?』


『貴様を倒しに来たとは言いたいがその役目はその大恩人に譲る事にする……じゃから我の相手は……』


 ベル=アーと名乗る人物は一瞬地面を蹴り上げたと思えば。アドラが最初の頃にやって来た神殿らしき場所まで瞬時に移動していたのだ。


『何? お前では何をしにここへとやって……いない?』


《荒砂海ルアマリア北方 ルア・シンベル神殿》


『この南へと通ずる水脈の移動邪魔をする神殿ダムが相手じゃ。冠位グランドスキル発動【王者凱旋】』


 ドゴオォォンン!!っという爆発に似た騒音が聴こえて来たと同時に遠くに見える神殿らしき建物が崩壊……大量の内陸部の水が私とアドラが対陣している南側へとまるで津波にの様に押し寄せて来た。


『……ベル=アー・イスカンダル。貴様まさか?……破壊したのか? 私の大切な神殿ををを破壊した?!』


 今だ。この絶対的強者が油断しているこの一瞬で決める。


〈ハロエ嬢。アドラの全ての眷属に体内に仕込んでいるのかね?〉


〖はい、ギエナ様。いつでもいけます〗


〈ならば急いで発動しこの絶体絶命の危機を脱しよう〉


 合掌スキル発動……【王水アクアレギア


 残った全ての魔力を注ぎ込み。アドラの全眷属の体内に仕込んだ【王水アクアレギア】を一斉に発動させ。アドラに向かっても彼の毒尾に【王水アクアレギア】を仕込み向かわせる。


《フリューゲルサイド》


「ギギギ?!」「ギチギチ……」「ギガギ……?」


『何だ? 大量の魔獣蠍達が生き絶えていく? それにあのルア・シンベル神殿の方に奴はまさか?』


「お師匠様~! 何か勝手に敵さん死んでってますよ~!」



 今、現在でなおも北側から流れる水の勢いは止まる事がなく流れ続けている。


『おのれ……おのれ……ベル=アー・イスカンダル』


〈アドラはなお放心状態だ。【毒蠍ポイズ・ピオン】。君の尻尾には【王水アクアレギア】を付与している。思う存分怨みを晴らしたまえよ。スコーとやら〉


「ギギギ……!」


『そんな……まさか。私の城がこんな』

「ギチギチ……!」

『……!……この声?! まさか近くにいるの? スコー……さ』ドスッ!


 それは一瞬の出来事だった。一瞬でアドラの醜い表情のひたいへと【王水アクアレギア】が付与された毒尻尾が突き刺さり………


「ぎがぁ?!……そんな何でここに私の婚約者のスコーが居るのよ……」


 アドラは絶命した。そしてアドラを倒した事でアドラ本人の経験値とその眷属の経験値が一気に私の中へと入って来た。


〈よしっ! アドラの眷属の大量の経験値が入ってきた。ハロエ嬢よ。この莫大な経験値を持って私の次なる進化を一瞬で終わらせたまえよ〉


〖相変わらすの無茶振りですが。仕方ありません。幻樹種・百合可憐フルール・ド・リスレベル10を幻樹種・王妃雷神アガベ・ポタトルムを一瞬で進化させます。そして、この進化で得られる昇華スキルは【金触角の覚醒】になります〗


〈ああ。よろしく頼む〉


 私は珍しく焦り始めていたアドラは死んだが身体にはまだ生気が残っている。この後、おそらくリリトの時と同様な事が起こりえる。


【……お前。また変な動きをしているな。何をする気だ? 今、止めを刺して……いや。その前にアドラの身体を制御しなくては……】


〖進化工程終了致しました。これにより百合可憐フルール・ド・リスレベル10は幻樹種・王妃雷神アガベ・ポタトルムへと進化し。【金触角の覚醒】を取得しました。これによりギエナ様は……〗


〈ああ、後でその話はゆっくり聴かせてもらおうか。ハロエ嬢……今は目の前の真なる敵の討伐が先なのでね。さぁ、始めようか。ケムダーとやら。最後の足掻きをみせたまえよ〉


【……進化を遂げて怪我と魔力を全快復させただと?……余計な事をしてくれるなよ。ただの種子風情が】


〈やはりアドラの口の悪さは君経由かね? ならば倒して静かになってもらおう。この世界の安らぎの為にも〉


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