No.69 砂漠と荒野の地下空洞
現在、私は砂漠の中を疾走している。いや、疾走している乗り物に運ばれていると言った方が良いのだろうか?
全長10メートル程はあるであろらう乗り物が、空中に浮きながら砂漠の海を飛行している。確か一度目の人生時、友人が見せてくれた飛行機なる絵に似ている気がする。
凄まじい移動速度だ。砂漠で暴れまわる巨大生物達が、一匹たりともフード少女の存在に気づいていない。
その原因はやはりフード少女が操る乗り物に秘密があると思われる。いや、乗り物だけではないフード少女の着る服にも何かが付いて入る。
先程、発動させた【鑑定】スキルには、精霊使いと言う言葉が出てきが……これだけでは何の事なのか意味不明だが。
おそらく聖霊使いとは、何かしらの職業スキルの事なのだろう。
そのスキルによってこれ程までに危険地帯を安全かつ迅速に移動出来るとは思えない。
「フゥー、しかし砂漠側は本当に暑いですね~、地下とは本当に環境が違い過ぎます。え? そんな感想は良いから早く戻って来いですか? そんな~、酷いですよ。お師匠様。せっかく綺麗なお土産も拾ったていうのに」
……フード少女が誰かと会話を始めたのだろうか? 先程、まで前方をずっと見ていたと思えばいきなり話し始めたが。
「はい? それはこんばんのご飯になるのかですか? いえいえ絶対になりませんよ。さっき、私が拾った物は金色の宝石ですから」
いったい何の会話をしているのだろうか? まさか私を食べる気なのか?
全く何を考えているのだろうか。トリストメギストス魔道書店のルミナ嬢に身体を噛られたトラウマが甦ってきたじゃないか。
「えー! そんな物よりも食料を見つけて来いですか? でもでもこんな不毛な砂漠の海じゃあ何もありませんよ。この砂漠と荒野一帯の資源は殆んど大型魔獣の身体の中にあるんですから」
大型魔獣の身体の中にある?……どういう事だろうか? しばらくフード少女の話に聞き耳を立ておこう。
「……はい。荒砂海ルアマリアを超えて北の水湖まで行くには、荒野のルアと砂漠のマリアを越えないと行けないのは分かっています。ですがそれには《白蝎の嬢王》と対峙する事になりますが……え? だからこちらも仲間を探す旅をしているいるんだろう。ですか?……ですが旅を初めて2ヶ月経ってもその仲間には1人も会えていませんけど」
───荒砂海ルアマリアの貴重な情報が、こんなに程、聞けるとは思わなかったものだ。成る程、砂漠の北側を目指して行けば、水湖なる場所まで辿り着ける事ができるが。白蝎の嬢王という存在がそれを阻止してくるという事の様だ。
「はぁ、そんな事より。妙な魔力の正体は分かったのか。ですか? いえ。それが探索途中で変な長耳兎に追い掛け回されまして、調査は途中で諦めました。はい……そろそろイゾル荒野に入ります。お師匠様。はい、素早く洞窟の中へは入ります。魔獣に見つからないようにですね。はい……」
どうやらフード少女は何者かと話は終えた様だ。
これは私の推測でしかないのだが、フード少女はアンテラリエ闇市時にアレゼル少年が、使用していた念話に似たスキルを使っていたのではないだろうか? もしくは風系統のま……ん? この反応は地中のしたからだろうか?
「シュアアア!!」
「つっ! 砂青蛇! お師匠様との会話に夢中で急接近してる事に気づけなかったです」
フード少女が操縦する乗り物と同じ程の大きさをした青色の蛇の魔獣が地中から飛び出して来た。
そして、この青蛇の魔獣は驚いた事に浮いている。頭頂部の薄い皮膚を広げ、砂風を利用しながらバランスを保ちながら地面へと落ちずに宙へと浮き続けている。なんとも珍しい生物だろうか、どれ【鑑定】スキルでステータスを暴いてみよう。
スキル発動【鑑定】LV7
「キシャアアアア!!」
◇
砂青蛇
スキル【砂蛇】【砂浮】【闇目】【砂潜】
称号【欺く蛇】
◇
ほう……これはなかなか優秀なスキルを持っている魔獣だ。是非とも欲しいものだが。どうしたものだろうか。今の私はただの金色の宝石の振りをした状態でフード少女のポケットの中に入っていて身動きが取れないでいるのだが。
〖 ギエナ様。スキルポイント10000ポイントを消費する事で取得出来る【恢復魔法】の取得を推奨します。この魔法を取得すれば、吸収装飾館内にあります。治療室が強化され、こちらで作りました協力な劇薬を砂青蛇の真上へと出現させられます〗
ほう。それは良い作戦ではあるが。貴重なスキルポイントの10000ポイントのここで消費してしますのは少し待つべきではないだろうか? ハロエ嬢よ。ここは大人しく状況を静観しながら少し待って……
〖畏まりました。良い作戦という事は採用されるという事ですね……スキルポイント10000ポイントを消費します……消費を確認。【恢復魔法】取得しました。続いて私の専用の治療室の拡張をします……拡張完了しました。〗
……ハロエ嬢。さっきからなにをしているのかね? まさか私が良い作戦だと考えただけでスキルポイント10000を使用してはいないのだろう?
〖いえ。既に【恢復魔法】取得の為にスキルポイントは使用されました。おめでとうございます〗
……いやいや。ハエロ嬢、少し待ちたまえよ。スキルポイント10000は今どこにあるんだね?
〖はい。ギエナ様。スキルポイント10000を使用し、無事に【恢復魔法】の取得に成功しました。これにより治療室は以前とは、比べものにならない医療と治癒の場に変化しました。また。この私、ハエロはこの治療室をとても気に入った為、治療室専属の世界観測として所属する事に決めました。今後共よろしくお願いいたします〗
───ハエロ嬢の長い説明が終わった。その間に砂青蛇の頭上に何かの液体が水滴が飛来した。その水滴は砂漠の暑さで蒸発もせず、砂青蛇の身体へと落ち、一瞬で砂青蛇の身体の半分を溶かした。
「キシャアア……」
青蛇の魔獣はフード少女に向かって口から毒液の様な液体を吐いたが。謎の水滴のダメージが大きかった様で、上手く飛ばせていない。
「砂青蛇の身体が溶けてるんですか? よく分かりませんが、これはチャンスですね。風魔法発動【風の切傷】」
「ギシャア?!……ァァ」
スパンッという音と共に砂青蛇の身体がズタズタに切り裂かれる。
〖瞬時にスキル【吸収】を発動し。砂青蛇の身体を回収します……回収完了しました。続いて解析を行います……解析完了しました。幻樹種・輝金種子のLVが4から7へと上昇しました。新たにスキル【砂蛇】【砂浮】【闇目】【砂潜】称号【欺く蛇】を取得しました。おめでとうございます。ギエナ様〗
い、いや。待ちたまえよ。ハエロ嬢、仕事が早いのは助かるのだが。先程の恢復魔法の取得だが。
〖はい。私はアレゼル様とソフィア様の、治癒術と解毒術のレベルの高さに深い感銘を受けました。なので今後は治療室で待機しておりますので、何かあれば及び下さい。ギエナ様、では私はアレゼル様と共に新薬の調合がありますので失礼したします……ブツンッ〗
…………ああ。そうか、根本的な事を私は忘れていたな。あのいつもの世界観測の上司はハエロ嬢だ。あのポン娘を教育をしたのも、多分、ハエロ嬢なのだろう。
こちらの話を一切聞いていないのが瓜二つとは。私のスキルポイント10000。一瞬で消えてしまったぞ。世界観測。早く帰って来たまえ。でなければ、ハエロ嬢にスキルポイントを好き勝手使われてしまうのでな。
私は心の中でそう強く願った。
「あれ?……砂青蛇の姿が、どこにもありません。さっきの長耳兎と一緒ですね。何ででしょう?……ですが今はお師匠様の元へ向かう方を優先しなくちゃです……風魔法発動【砂塵の扉】」
現在、フード少女が居る場所は砂漠と荒野の丁度中間位置に居たのだろう。フード少女が魔法を発動した瞬間。砂塵が大量に舞い始め、地中から小さな洞窟が姿を現した。
「ビンゴでした。今、向かいます。お師匠様……」
そうして、私が居る事に全く気づいていないフード少女は、洞窟の中へと静かに入って行った。
◇◇◇
荒砂海ルアマリアのステータス
ギエナ・セフィロ幻樹種・輝金種子のLV7
魔法 【恢復魔法】
木属性魔法【蕾の開花】
スキル【毒蠍】【毒針】【殻鋏【砂蛇】【砂浮】【闇目】【砂潜】【蟻地漠】【砂底】【小顎】【長耳兎】【速兎】【脚力】
称号【飢えた虫】【素早き獣】【欺く蛇】【緑蛇神の眼】
権能【三種の無】【緑の初典】
◇◇◇




