No.58 【祭典のレクイエム 銀灰色と死者】 Act1 フェリックスの怒り
「どんな理由か知らねえが、1日中動き回りやがって。お陰で祭典の日になっち待ったじゃねえか。儀式が終わり奴が戻って来る前に、お前を殺して大金を俺の物にする。覚悟しろよ。アレゼル! 闇魔法発動【銀の毛針】。スキル発動【闇駆】」
(不味い。攻撃を仕掛けて来るとは、アレゼル少年。ここは私が対象を…)
「まだ日中出しだよ……ギエナさんがここで出てきて魔法を使ったら、魔獣と勘違いされて討伐されちゃうよ。ここはボクに任せて。どのみちボクの話なんか聞いてくれなさそうだし、フェリックスとの歪んだ関係もここで終わらせるよ! 土魔法発動【銀の針】スキル発動【暗脚】」
「ハハハ! 何をブツブツ独り言を言ってやがる。アレゼル! 俺と殺り合うからビビってんのか? 裏切り野郎! 全身串刺しになりやがれ」
フェリックスとか言う白髪騒男はアレゼル少年に向けて銀色の針状の何かを投げ飛ばした。
「嫌だ……ボクは貴方に対して何も悪いことをしていない。ただの勘違いで殺されてるなんてたまったもんじゃないよ」
それに対抗する様にアレゼル少年は飛んで来る針に向かって土魔法で出現させた針を放ち、向かって来る銀針を打ち落としていく。
「相変わらず。反応速度が遅いんだよ。アレゼル! その喉元に銀毛をぶっ刺してやるよ。スキル発動【闇突】」
「つっ!……スキル発動【暗飛】」
アレゼル少年と白髪騒男は、互いに自身の身体速度を上げるスキルを発動したのだろう。
お互いの距離を一気に詰め、違うスキルを発動させた。白髪騒男は右手に銀色の針を束ねた武器をアレゼル少年の喉元へと攻撃を仕掛けた。
それに対抗してアレゼル少年は身体を急速反転させて回避した。
「師匠に瓜二つの動きをしやがって。お前を見ているとムカつくぜ。どこからの来たかもわかんねえガキに、高位の暗殺者なんてジョブを教え込むなんてよう。師匠も何を考えてやがるんだ」
「止めてくれるかな……ボクの前でミラ先生を悪くいうのは許さないよ」
「あん? 俺がいつ師匠を馬鹿にした? 全部、ムカつくテメエに言ってんだぞ! 俺が与えた任務もろくにこなせねえ。穀潰し野郎がよおぉ! 闇魔法発動【銀毛の覆い】」
白髪騒男の被るフードの中から、大量の銀色の針がアレゼル少年に向かって押し寄せて来る。
(これは…アレゼル少年。この量の攻撃は単騎戦特化の君では対象仕切れない。ここは潔く王都へと逃げてしまおう)
「で、でも。ボク、まだ変装もしてないし……このままの姿で王都に出たら、この国に居る事がバレちゃうよ」
(バレる? よく分からないが。仕方がないか。アレゼル少年。悪いが恩人の君をこんな場所でみすみす殺させる事は出来ないのでね。私も参戦させてもらうぞ)
昇華スキル発動……〖蓮蕾睡蓮〗
「何だ?───花弁と香水の匂いだと? 俺の銀毛が大量の花弁に阻まれ始めやがった。可笑しい…アレゼルにこんな特殊なスキルがある筈がねえよな? 何か隠してやがるのか? スキル発動【闇足】」
「これは……ギエナさん。もしかしてスキルを使ちゃったの? そんな事したら、王都の騎士団に見つかっちゃうよ。それに…」
(……君にはここで多大な恩を受けた。私はそれを返したのだよ。アレゼル少年)
「あの人の嗅覚は異常に良いから。スキルを使ったら感ずかれちゃうんだ」
「ハハハ! やっぱりか! 居るなそのフードの中によう。変な気配の生き物が。どれ俺に見せてみろ。アレゼル! 闇魔法発動【銀の鋭殺……何だ? 鼻腔から入る匂いで身体が痺れ始めやがる?」
(ギエナさん……フェリックスさんの身体に何をしたの? 何でいきなり動きが鈍くなって)
(昇華スキル〖蓮蕾睡蓮〗は、相手に幻覚を見せ、身体の動きを鈍感する作用があるスキルなのだよ。さあ、今のうちにラテルの扉を潜り、王都へと出るんだ)
「う、うん……分かった」
「ま、待て……逃げんじゃねえ! アレゼル! くそっ! 頭の中が霞がかった様になってやがる! しょうがねえ。なるかあの姿によう───憤怒の権能……【銀浪毛狽】」
アレゼル少年はラテルの扉に向かっているので、後ろを見ていなかった。
だが、私は見ていた。
白髪騒男が、人の姿から巨大な銀色の狼牙へと変化していく姿を。
あれは何だ? 先程とは全く違う生き物ではないか。
『ウォオオオ!! おいおい。祭典の最中の王都何かに逃げるじゃねえぞ。アレゼル! 闇魔法発動【銀毛の掴み】』
不味い! 白髪騒男が自身の体毛をアレゼル少年に伸ばし捕まえ様としている。間に合いたまえよ。
木属性魔法発動……【宿り木】
『ハハハ! 何だ? このか細い蔦は? そのフードの中に隠れてる野郎の仕業か?』
「ギエナさん……もうちょっとで王都に出られ…ガァ?!」
アレゼル少年と私は迫って来た大量の銀毛に捕まりながら、ラテルの扉を潜る事になった。
◇
《王都 ラビリンス サン・コクマー大聖堂大通り》
「がぁああ?! い、痛い!」
『ハハハ! ようやく捕まえたぞ。アレゼル。このまま絞め殺して…』
EXスキル発動……【臨淵羨魚】
『ブオオオオオ!!!』
『クソがぁ……何だ? 何故、ここに地下水路の主が現れやがる?』
私は白髪騒男に捕まってしまったアレゼル少年を助ける為に、【臨淵羨魚】を発動し、巨大鯰主を出現させた。
「ケホケホ……ギエナさん。何でボクを助けて……このままじゃあ、ギエナさんが討伐されちゃうのに」
〈そうなったとしても。目の前で恩人であり、私の友でもある君をみすみす殺すなど今の私には出来ないさ。アレゼル少年……銀浪魔獣よ。悪いがここからは私が君の相手をする。アレゼル少年の未来の為に死んでくれたまえよ〉
『銀色の果実だぁ?……テメエか。さっきから変な違和感の正体は、こそこそ動きを周りやがって踏み潰して果汁に変えてやるぞ。銀果実の化物』
〈やれるものならやれば良いさ。この数日で急激に強くなった私をやれるならばね───〉
◇◇◇
ギエナ・セフィロ
幻草種・白金林檎LV8
スキル【吸収】【鑑定】LV6【収納】LV5【痕邸】LV3【結晶】LV2【地図】LV1
EXスキル【枯樹生華】【臨淵羨魚】
水属性系統スキル【溶解】【水練】
魔法 【空間系統魔法】LV-8
空魔法【籠の鳥】
水魔法【水の泡】
雷魔法【雷の光】
称号【緑蛇神の眼】【水路の権力者】
権能【三種の無】【緑の初典】
現在、魔法、スキル、称号、権能を空白の書に纏め中
◇◇◇
《王都 ラビリンス郊外》
「何だ? 何だ? 王都に着てみりゃあ。化物共が現れて闘い始めてんのかい? 治安が悪いねぇセフィラは……おっと他人事じゃねえのかい。感じるねぇ。あの化物のどちかにナヘマちゃんの気配をさあ」




