No.33 【高貴なる暗殺者 アレゼル】Act1 可能性
EXスキル【草神】発動……【再生・〖曼陀羅華】【共鳴】
私はEXスキル【草神】の【再生】で《 曼陀羅華》へと実体化した。その後、周囲に聴覚障害や聴覚被害を及ぼす、【共鳴】スキルを発動した。
〈シルよ! ソフィア嬢をシャーロット騎士の元へと連れて行け。ここは危険になるのでな〉
「ギュイ!」(ボインッ! ボインッ!)
「ちょっと待って下さい! ヘルナさん。何で私だけ逃げないといけないんですか! 私も戦えます!」
〈ソフィア様。この耳長少年は君を捕まえ、とある物品との交換材料に使う気なのだよ〉
「はい? とある物品ですか?……てっ! シルちゃん! 離して下さい! そして、痩せて下さい!」
「ギュギュイ!!」(ボインッ! ボインッ!)
私の眷属、シル事、幸運兎・シルヴァ・フェリーは物理的に進化した。
「ギュイイ!!」(ボインッ! ボインッ!)
……肥えてしまったのだ。今回の《セフィラ王国》へ向けての旅の期間での通常の食事に加え、休憩時の騎士団達による度重なる餌付けによる結果。新たなスキル【肥満】【肥大】【巨体】を覚えてしまった。
この三つの新たなスキルを併用すれば、耳長少年との最初の戦いで出現させた月狩熊よりも、倍はでかく成る事が出来る様になったのだ。
「ギュイイイイ!!」(ボインッ! ボインッ!)
「シルちゃん! 待って下さい!!」
「緑の光が《 曼陀羅華》になって、デブ兎が聖女を加えて何処かに連れてっちゃった……痛っ! 耳が?!」
〈ハハハ……《フラマ》の世界のエルフ族と同じで長耳は弱点の様だな。耳長少年よ〉
私が喋るだけで耳長少年は耳を抑えて、苦しそうな表情を浮かべた。
「つっ!……《 曼陀羅華》が喋るなんて…まさか伝説級の特種個体)ユニークモンスター)?……何で? 土魔法発動【銀の真針】+盗賊スキル発動【暗針】」
耳長少年は、5ミリ程の大きさの銀色に輝く針を私に向かって投げつけた。
〈暗器かね? 懐かしい物だな。一度目の人生では良く暗殺者に命を狙われていたから、見慣れているぞ。スキル発動【吸収】〉
……ズズズ!!
「そんな……ボクの針が消えた?」
〈消えたのではない。【吸収】したのだよ。そして、お返ししよう。君の針を……状態異常を付与してな〉
EXスキル【草神】発動……【麻痺】【眠気】
「花の中から何で?……スキル発動【現影】」
長耳少年はスキルで一人分の残像を作り出した。すると【吸収】で返した少年の針はその残像に吸い込まれる様に向かって行った。
〈起動を誘導するスキルか? 面白い。だいいちの人生では称号が、第二の人生での《アリーナ》ではスキルという概念は無かった。この第三の人生にはその両方があるとは、何とも面白いものだな。この世界での戦闘というのは……発想と戦い方次第で最弱の力も輝く力となっ!〉
私は自身の手《蔓》に持っていた【銀の真針】とやらを耳長少年へと投げた。
その瞬間称号【草の理】の効果が発動した。この世界の自然の力に対して、物理的強制干渉を可能にする力。草の意を知り、自然の力をねじ曲げる効果。
━━━私が投げた1本の暗器は耳長少年に強制的に必中する。
シュン……プスリッ!
「痛っ……何で? 【現影】スキルは必ず回避出来る筈のスキルなのに……それにこの針には…麻痺?……それに眠気が……」
長耳少年はふらつき始めたーーーとてもわざとらしくだ。
演技が下手なエルフだ。確かエルフ族は状態異常や回復効果が効きにくく、生命力が他種族よりも高い。
〈そうか。ならば……追撃させてもらおうか〉
EXスキル【幻草】発動……【月熊】【黒狼】
「ガアアァア!!」「ルオオオオ!!」
「月狩熊と黒狼……そんなのあり得ないよ。幾ら特種個体とはいえ、他の魔獣を付き従えるなんて……」
私が【傀儡】で出現させた月狩熊と黒狼の2体を見た。
その瞬間、耳長少年は下手な演技を止め、困惑した表情を浮かべ始める。
〈戦い方には他法的な戦い方。戦略や戦術がある。あるがだ……私も人外で戦うのにはまだまだ不馴れでな。この未知で奇怪な力を色々と試させてほしいのだよ。この最弱から成り上がる為の【吸収】から始まった私の人生の新たな可能性をな。耳長少年よ〉
私は目の前長耳少年を挑発する様に煽ったのだった。
「何も背負ってないくせに……特種個体が何を言っているんだよ……つっ!……耳が痛い……」
そして、私が言葉を発する度に長耳を抑え苦しそうな表情を浮かべた。




