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No.26 その草霊は新たな知り合いを作る


 昨夜は盗賊の襲来を受けた。それを無力化し生き残った者達は騎士達に捕縛された様だ。


 その後は騎士達による尋問が行われた。


 盗賊達が何故、セフィラ王国の聖女捜索隊を襲ったのか聞き出したとの事だ。


 ……だがその尋問の時に事は起こった。


 その翌日の朝、捕まえた盗賊達の全員が自身の舌を噛み千切(ちぎ)り死んでいたと、ソフィア嬢から教えられた。


 何らかの操作系魔法にでもかかっていたのだろうか?

 そう行動する様に(まじな)いの様なものをかけられていたのかもしれないと、ソフィア嬢は暗い顔で言っていた。


 その後、死んだ盗賊達の遺体を焼却し、夜営していた場所から少し離れた場所に埋葬した。


 何でも遺体を焼かずに埋葬しただけでは、屍人(アンデット)化し、近くの農村を襲うのだとか。


 それ等の屍人(アンデット)は人を襲い、得スキルや称号得て経験値を積み進化するらしく、果ては屍術師(ネクロマンサー)にまで到達するものもいるとの事だ。


 それをシャーロット騎士から聞かされている今、本当なら私も草ではなく、屍人(アンデット)で転生していればと思ってしまった。屍人(アンデット)ならば、最終的な進化の先は人型になるからな。


 草の霊として退化し、浮霊体として今までよりも自由に動ける様にはなったが、どこまで行っても草は草だ。人ではない。今後の成長の過程でどうにか、人型への進化が出来ないか模索するのも必要かもしれないな。


 そして、セフィラ王国に向かう馬車の中で、私の事についてソフィア嬢がシャーロット騎士に説明し、昨夜の出来事や私の存在についての情報を伝えていた。


「━━ですから先程の様に埋葬後は聖女様……ソフィア様に浄化の詠唱をして頂いていたのです。ギエナ殿」


〈いや、私はギエナだ……いや、合っているか。済まない。つい、いつもソフィア嬢に間違いを指摘しているもので、反射的に反応してしまった〉


「いえ、大丈夫です。それよりも昨夜は突然、気絶してしまい申し訳ありませんでした。まさか魔草(リトルグラス)が二足歩行でスキルを使っている光景など見た事がなかったので」


〈まあ、そうだろうな。私も今の身体をソフィア嬢以外には、見せる気が無かったのだが……〉


「もう! ヘルナさん。何で《精霊体》とか言うのになっちゃうんですか。せっかく新しい鉢植えを用意したんのに。早く魔草(リトルグラス)になって下さい」

「キュイ! キュイ!」


 プンスカと怒り頬を膨らませたソフィア嬢はそう告げると。私を新しく拘束する為の鉢植えを、私に見せてきた。シルはシルで後ろ足を蹴りながら、早く、布団(土)をかけて拘束してあげると言っているな。馬鹿者。誰がかかるか。


 精霊体化していれば、ソフィア嬢が私に触れられず無力化される事が無いと、昨夜の騒動の中で発覚した。ならばこの旅の時は常時、精霊体化しているのが無難だ。あんな狭き鉢植えなどに再び拘束るわけにもいかないしな。


〈そんな。小さい場所に入ってたまるものか。ソフィア嬢。それよりも君はもっと私の話に耳を傾けてだな〉


「ヘルナさんが私の忠告を無視して、ケガをした身体で危険な場所に行こうとしているのが悪いんじゃないですか! もう!」


「……緑色の光球が喋っている。やはり、それがギエナ殿なのでね」


〈ああ、私だ。その話はもう3回目だ。シャーロット騎士。ようやく目の前の精霊体が私であると認識してくれたのだな〉


「ええ、未だに貴方の存在には疑問が幾つも残りますがね。意思がある草木……しかも実体化と霊体化に自由に変化可能な身体ですか。そして、遠隔で幾つものスキルを操り、制圧出来る力も持ち合わせた植物種がソフィア様を救って頂き。ソフィア様に守護者として使役され、その幸運兎(ラックラビット)と共に」


「はい! ヘルナさんは私の恩人なんです!」

「キュイッ!」


〈……違う。私は使役などされていない。それにセフィラ王国の旅が終わった後は、私はまた進化し強くなる為に《新緑の樹海》に帰りだな〉


「《新緑の樹海》に帰る? ギエナ殿。貴方はいったい……」


 シャーロット騎士が私に何か質問をし使用とした時だった。


「シャーロット騎士長! 敵襲! 敵襲です!」


「……つっ! こんな時にですか。今、行きます! また盗賊ですか? それとも暗殺団ですか?」


「い、いえ、それが馬車の目の前に突然……短剣を持ったエルフの子供たった一人です」


「エルフの子供? ソフィア様は馬車の中で待機を……」

〈フム。では私は付いていこう。この世界のエルフと言う者がどんな者なのか興味があるしな〉

「ヘルナさんが行くなら私も行きます。ねえ? シルちゃん」

「キュイ!」

 

「ハァー……ソフィア様。少し活発になられましたね。」


 シャーロット騎士は不思議そうな顔で馬車から降り、私とソフィア嬢もそれに付いて行く事にした。




《北のとある国の館》


 雪に覆われた中、ある館が赤き炎に包まれていた。


先代キムラヌートのお婆さんよう。ナヘマちゃんの気配が消えたんだわ。忽然とさあ」


「がぁ…ぐあぁ……だからなんだい。ナヘマはここに居ると思ったのかい?」


「番外個体の《知識》を消して浮かれていたのかね?……色んなモノを端折(はしょ)って《美》を殺しに行くとはね。流石、呑気な娘だわ」


「ぐっ……それを止めにあんたが来たっていうのかい? リリト」


「気安く俺の名前を呼ぶなよ。婆さん……《キムラヌート》を何処かにやった婆さんよう。消えな」


ザスッ!


「がぁ?!ーーーこのスラムの成り上がりの分際で……(あたし)を……」ドサッ!


「老害風情が何を言ってんだ。大人しく眠りな。先代さん……ナヘマちゃんの気配はセフィラ王国側か。面倒いが、追いかけてあれだけでも回収しないといけねえよな。あの娘の身体を……【唯物】をよう」

〖揺動のリリト〗

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