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No.25 苗木の夜営事情

 

 あの深い眠りから目を覚ました。外は暗く、遠くの視界が全く見えない。どうやら今は夜の様だな。


 辺りを見渡して見る。鉢植えに入れられてしまっている為、上手く身体を動かせないが見える範囲の状況は確認できた。


 あれはテントを建てているのだろうか? それにテントの近くでは焚き火が炊かれていた。鎧に身を包んだ十数人の男女の騎士達が、夜営の準備を行っている。皆、楽しそうに談笑をしながら作業をしているな。


 多分だが、この者達がソフィア嬢が言っていた捜索隊のメンバーなのだろう。


 ……良い事を思いついたぞ。身体も鉢植えで固定され動けもしないのだ。この捜索隊のステータスを【鑑定】スキルで見て見るとするか。


スキル発動……【鑑定】LV3


◇◇◇

種族 人間(ヒューマン)

職業ジョブ 騎士

スキル【剣撃】【抜刀】

称号 【選抜騎士】

◇◇◇


 ……弱い。何だこのステータスは? 確か【鑑定】スキルもレベルが上がれば、性能が強化ていく筈だ。


 まさか今の【鑑定】スキルのレベルでは、詳細な鑑定結果が閲覧できないということか? 


 だが、黒髪鎌娘(ナヘマ)の時は称号や魔法まで表示されていた筈だ。このステータスでは新緑の樹海の魔獣達よりも弱いではないか。


 スキル発動……【智慧】


〖現在、世界観測が就寝中につき、【草神(そうしん)の統合スキルの一つ【智慧】を強制発動。解説を始める〗


 む! また出てきたか無機質声の【智慧】よ。


〖基本的にこの世界の者は生涯に渡り、スキル、魔法、称号を数個しか取得しない〗


 何? 馬鹿をいえ、ソフィア嬢は数週間という短時間で、多種多様なスキルや称号を得たのだぞ。


〖《ユグドラシルの聖女》は特別……一般的な多種族は群れを成し、安全な場所を築き暮らす。その為に《新緑の樹海》の様な食物連鎖の中から外れている存在。その中では滅多に争いが起こらない為、ステータスの発展は余りされない〗

 

 ……つまり。野生の魔獣達はこの世界の食物連鎖で自然と争い、スキルや称号を得て強くなっていくが、人間の様な者達は滅多に争い事を起こさない為、余り強くなれないということか?


〖然り。その為、一般的な人間や亜人は集団で群れ、都市や街などに暮らしている〗


 ほう。それは興味深い話だ。その他に何を……


「ハァー? 唯物の死神・ナヘマに殺されるかけたですか? ソフィア様が?」


 私が【智慧】から更に詳しい事を聞き出そうとした時だった。近くの焚き火の前に椅子を並べて談笑したいたソフィア嬢と……あれは確か、シャーロットとか言う騎士? がいきなり大声を上げたのだった。


「は、はい。ですがヘルナさんのごきょうりょのお陰で、何とか助かる事が出来ました!」


 ソフィア嬢はそう告げると私が入った鉢植えを持ってシャーロット騎士に見せる。それとソフィア嬢よ。私の名前はギエナだ。いい加減覚えてほしい。


「……ただの魔草ですか? これがソフィア様を助けた?……な、成る程、〖新緑の樹海〗に生えいた魔草を薬草を食べて飢えをしのぎ、唯物の死神・ナヘマから身を隠していたんですね。流石、ソフィア様です。感服致しました」


「ち、違います! ヘルナさんは私の命の恩人なんです。ねえ? ヘルナさん」

〈…………〉

「あれ? ヘルナさん。起きてますよね? さっき、スキルを使っていましたよね?」


「ソフィア様……長き行方不明の日々で心が疲れているのですね。そんなどこでも生えていそうな魔草を鉢植えに持ち歩くなんて、どれだけ追い詰められていた事か」


「へ? シャーロットさん。何でそんな哀れんだ目で私を見ながら泣いちゃうんですか? へ、ヘルナさん。ちゃんと私と会話して下さい。これじゃあ、私、シャーロットさんに可笑しな子って思われちゃいますから!」

〈…………〉

「へ、ヘルナさん。もしかして、私が勝手に《新緑の樹海》から連れてきたのを根に持ってるんですか?……そんな子供みたいな事をしちゃうですか?」


 ソフィア嬢が頬を膨らませて、私が入っている鉢植えを上下に揺らしている。ふん。そんな攻撃、効くものか。

 

 ……私はソフィア嬢に無理矢理、ここまで連れて来れたのだ。多少の仕返しはしたいと思っている。それが今だろう。


 このまま私が大人しくしていればソフィア嬢は、シャーロット騎士とやらに哀れみの目を向けられ、羞恥心で(もだ)え苦しみ……


「ご、ご報告します。夜襲! 夜襲です!」

「と、盗賊が荷馬車へと接近し、我々の物資を奪おうと……」


「何? こんな夜更けにか? 数は?!」


 ソフィア嬢にそんな事をされている間に周りが騒がしくなっている様だ。どうやら盗賊がこの捜索隊の積荷を奪おうと襲って来た様だな。


「……はい? 夜襲ですか?」

「キュ……イ?」


 この騒ぎで焚き火の近くで眠っていたシルが目覚めた様だ。


 盗賊の夜襲で大騒ぎとはな。今更だな。《新緑の樹海》で虫や獣、黒髪鎌娘(ナヘマ)の襲撃を受けた我々、一人と一匹と一本に同様はないのだよ。

 スキル発動……【鑑定】LV 3

 EXスキル【幻草(げんそう)】発動……【麻痺】【毒液】【傀儡】【黒狼】【蟷螂(かまきり)

 

 私は【鑑定】スキルで遠くに居る敵対対象の人数を把握する。その後、統合スキルことEXスキル【幻草】で【黒狼】【蟷螂かまきり】を出現させ、【傀儡】で遠隔操作、【麻痺】と【毒液】の牙と鎌で盗賊達を無力化していった。


「ギャアア! 何でここに黒狼(ブラックウルフ)の群れが?」

「それだげじゃねえ。人間サイズの蟷螂(スラッシュインセクト)がぁぁ!」

「がぁ?! 噛まれた所から毒か?……身体が動かねえ」

「お、俺もだ! 痺れて身体が動かねえ!!」


 遠くの方から盗賊達の断末魔の声が聴こえて来る。よしよし……無力化は順調に進んでいるな。


「……あの盗賊達の叫び声はいったい?」


 シャーロット騎士は今、起きている現状に困惑している様だ。まあ、無理もあるまい。突然、魔獣と大型の虫が出現すれば困惑もするというものだ。


「むー! ヘルナさん。やっぱり。起きてますよね? 何で私の事を無視するんですか?」


 ソフィア嬢が先程よりも激しく鉢植えを揺する。そして、勢い良く揺った事で、鉢植えはソフィア嬢の両手からすっぽりと抜け、地面へと叩きつけられた。


 ガシャーンッ!っと夜営地に鉢植えが割れる音が響く。そして、鉢植えが割られた事により、私はようやく鉢植え牢獄から解放されたのだった。


〈フゥー、ようやく自由に身体を動かせるな。ソフィア嬢よ。私の承諾なく今後は、勝手に私を連れださぬようにな〉


 私がソフィア嬢にそう語りかけた瞬間だった。


「……は? 雑草が……魔草が……二足歩行で喋っている?……そんな馬鹿な?」ドサッ!


 シャーロット騎士が私を見た衝撃の余り意識を失い倒れ始めた。


「シャ、シャーロットさん。大丈夫ですか? 確りして下さい!!」 


 ソフィア嬢は慌てて、シャーロット騎士に近づき、地面へと倒れる直前だったシャーロット騎士の身体を受け止めたのだった。



◇◇◇

ギエナ・セフィロ

幻草種・草霊(グラス・エレメント)LV 2

スキル【吸収】【鑑定】LV3【収納】LV2【??】

エクストラスキル【草神】【幻草】

魔法 木属性魔法【光合成】 深緑魔法【花蜜の誘惑】

称号【緑蛇神の眼】【樹海の覇者】【草の理】

権能【三種の無】

◇◇◇

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