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No.10 その苗木は進化を魅せる

「ヨイショ! ヨイショ! フゥ~、荷物が多くて、ヘルナさんが眠っている切り株まで運ぶのは大変でした……てっ、ここには私以外の人間はいませんでしたね」


 私の名前はソフィア・A(エヴァンジェリン)・クレメンタインと申します。セフィラ教会所属の修道女(シスター)で、アンドラ王国から依頼を承けて、最近、魔獣が暴れだしたという《新緑の樹海》の調査にセフィラ王国の騎士シャーロットさんと来たんですけど……あの人は森入って直ぐに迷子になっちゃいました。


「あれから三日……シャーロットさんはどこかに行っちゃって行方不明、後続の調査隊の皆さんとは連絡は取れなくなっちゃっし、一角兎(ホーンラビット)さんには追いかけ回されて、私も森に迷っちゃうしで、これからどうしましょう」


 私は近くにある穴が空いた切り株の中の地中に生えた《苗木》に目を向けました。


「ヘルナさん。起きてくれないかなぁ? 一角兎さんから助けてもらってから、三日経ったけど。全然、動かなくなっちゃいましたね」


 最初、ヘルナさんを見た時は芋虫さんに何か生えた魔獣かと思ったたのですが、違いました。

 この森の《新緑の樹海》の主〖緑蛇神 ウィリディス・アングイス〗様の気配がこの人から感じ取れたのです。


 私の勝手な予想にはなりますが、この人は多分、緑蛇神様と何かしらの関係があると思います。そして、もう一つ疑問があるとすれば、何でヘルナさんはあんな姿なのでしょうか?

 

 あの人からは、確かに人の気配は確かにするのですが、姿形が芋虫さんの背中に根を張って生きているなんて、それじゃあ植寄型の魔獣と間違えられて討伐されちゃいます。心配です!


 そして、最近の《新緑の樹海》は、魔獣達の活動が活発になり。近隣の鬼族や猫族の村では、家畜が襲われたという報告もあり。その原因を突き止める為に、この森の近くにある国《セフィラ王国》は調査兵団をこの森に派遣したんですが。


「この森が広すぎて調査兵団は壊滅状態です~、このままだとお師匠様に(しか)られちゃいます~、イヤです~、シャーロットさん~、早く合流して下さい~」


 私がそんな感じで項垂(うなだ)れていると。


ガサッ!


「はい?……ガサッ?……てっ? 角と毛無い一角兎(ホーンラビット)さん?」


ガサッ!ガサッ!ガサッ!ガサッ!ガサッ!ガサッ!ガサッ!


「はい?……ガサッガサッ……がいっぱい聴こえて来て……群れを成した一角兎さんがこんなにいっぱい……現れましたね……」


「「「「「ピギリ!!」」」」」


「ヒイィィ! ごめんなさい~!」


 群れの数は一番先頭に入る角と毛が無い一角兎さんを加えると、合計で11匹います。その全ての一角兎さん達が私に対して、怒りをあらわにしています。


 「ピギッ!ピギュル!」


 ……なんでしょか? 角と毛が無いツルツル兎さんが、ヘルナさんが土の中に埋まっている切り株を見て怒っています。


 「ピギ?!」「ピギピギ!」「「「ピギッ?!!」」」「ピッ!」


 そして、何か話し合いを始めて、それが終わると私と切り株を交互に見始めて……


「「「「「ピギギキ!!」」」」」


「へ? ちょっと待って下さい! そんないきなり! キャアアア!!」


 群れを二手に分けて、襲い掛かって来ました。鋭利そうな(ひたい)の角を私に向けて。


曼陀羅華(マンドレイク)への進化が完了しました。それに伴い、スキル【採取】【白蜜】【放散】及び、称号【虫の支配者】【魔草の思い出】は進化コストとして消滅しました。合計スキル108をスキル統合し、新たにユニークスキル〖蠱毒(こどく)〗〖智慧(ちえ)〗を獲得しました。〗


「え? え? 何で私まで世界観測さんの響きが聴こえてくるの?」


 「ピギィ?」


 私と一角兎さん達は突然の世界観測さんの響きに身動きが止まってしまいました。


〖そして、称号《合掌》により、称号四位の【()の征服者】【栄枯の光合成】を獲得しました。また、新たに魔法 木属性魔法【悠久の根】を発現しました。また、進化に伴い、スキル【鑑定】がLV1がLV2に上がりました。それに伴い、世界知識の開示、及び、各耐性表記の閲覧が可能になりました。権能【三種のアイン】の付与が付与されました。上位種への進化に伴い、LVが再び1へと変化しましたレベル。そして、進化前に進化上限値を越えた為、スキルポイントを新たに100ポイント贈呈されます〗


 ボコッ……

〈了解した。どれも危険そうな力だ。慎重に使っていく〉


 切り株のしたの地面から……薬草《曼陀羅華(マンドレイク)》が地上に出てきました?

 何ででしょう? 薬草の筈の曼陀羅華が喋って、地中から這い上がって……来ました。凄い光景です。そして、薬草さんの声はとても甲高いです。


「ピギッ!!」

「「「「「ピギギキリリ!!」」」」」


 そして、一角兎さん達の怒りの矛先は全て、あの薬草さんに向いてしまいました。


〈ハハハ、それで敵意はソフィア嬢ではなく、全て私に向けた前よ……その方が纏めて屠れるからな〉


「え? あの薬草さん。今、私の名前を?……もしかして、あの薬草さんって、ヘルナさん」


〈それとソフィア嬢よ。私はヘルナではなく、ギエナだ〉


「ピギッ!」

「「「「「ピギギキリリ!!」」」」」


 薬草さん……いえ、ヘルナさんに向かって、一角兎さん達が襲い掛かります。


〈騒がしい、小動物達が鎮まりたまえよ。スキル発動……【鱗粉】【蠱毒】〉


「「「「「ピギィ?!」」」」」


「一角兎さん達ほ動きが止ましました……」


〈数多の状態異常の味はどうだろうか? 兎達よ。ソフィア嬢を襲い、私に攻撃をそちらから仕掛けて来たんだ。討伐されても仕方あるまい? おお、そうだ。進化を果たしたばかりで栄養が足りていないんだ。寄越したまえよ、君達の生命を……魔法発動 【宿り木】〉


 ヘルナさんは手の様に部位から緑色の種の様な物を、一角兎さん達に飛ばしました。


「「「「「ピ…ピ…ピ…ピギャリィィ!!」」」」」


 そして、一角兎さん達は苦しそうな叫びを上げて動かなくなってしまいました。


〈済まないが、倒されていてくれたまえよ。私は再び、最強種へと成長しなければいかないのでな……だが、向かって君達から向かて来たとはいえ、殺めてしまって済まない〉


 ヘルナさんは甲高い声でそう告げると、一角兎さん達に黙祷(もくとう)を捧げておりました。



◇◇◇

種族・曼陀羅華(マンドレイク)

スキル【吸収】【鑑定】LV2

レアスキル【鱗粉】

ユニークスキル【蠱毒】【智慧】 

魔法 木属性魔法【宿り木】【悠久の根】 

称号 【緑蛇神の眼】【虫の征服者】【栄枯の光合成】

◇◇◇


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