No.101 木人新環境と戯れる群像劇
〖スキル【吸収】を発動します……〗
嬢王アドラ亡き後の荒砂海ルアマリアは一変したと言っても過言ではなかった。
北側から送られてくる水源により地下の荒砂空洞の枯れた水脈に水が行き渡り。
私がEXスキル【枯樹生華】で擬似的に生やした草木は地中から送られる水によりこの土地の草木として成長し枯れていく。
だが枯れはするだろうが新たな実を付け次の世代の種子をこの豊穣の土地へと変えていくだろう。
私はその環境変化の光景を一生忘れないだろう。この美しく新緑這え渡る新たな土地 《豊穣界ルアマリア》の光景を。
そして嬢王からの呪縛から解放された彼等にここは任せて私は進ませてもらおう。新たな旅へと。
◇
〖雌蠍母胎の死骸及び貪欲の撃破及び回収を確認しました。新たに土魔法【土壌の創り】を取得しました。その他スキルと称号を収得しました。これはEXスキル【雌蠍母胎】の中に全て統合され使用可能になります〗
ハロエ嬢の進化説明が淡々と流れ始める。
〖権能を貪欲【《ケムダー》】獲得しました。こちらは《 吸収装飾館 》内にある《 緑美術館 》で展示されていますので、後程、ご確認下さい。また今回のスキルポイントの贈呈は一段進化と【貪欲のアドラ】の撃破及び荒砂海ルアマリアの救済の報酬として200000ポイントを贈呈致します〗
……ハロエ嬢の声が遠くなっていく。彼女から聴こえてくる声の性質が私の中で変わっていく。
〖……この過程に伴い。幻樹種・王妃雷神から木人種・草食嬰児へと進化させます〗
あぁ……そうか。この特別な身体ともお別れなのかね。
小さな草から始まった私の三度目の人生の身体との別れが。
色々な事があった。何度も何度も死にかけ。貶され罵倒も浴びせられ。時には道化として演じる事もあったものだが………
とても楽しかったよ私の身体よ。
本当に感謝している。本当にありがとう。
〖【金薔薇の脚】【金銅の鱗茎】【金食の心臓】【金触掌の誘い】【金触角の覚醒】────この《金盃の器》シリーズをリソースにギエナ・セフィロ様の木人としての新たな身体の構成を開始します……………成功しました。これにより。正邪の花を開花……実りへと移行……そして新たな生命体。草食嬰児へと誕生します〗
ああ。これで私はやっと………人へと至れ…る………おぉっ! 懐かしい呼吸や手足の感覚が甦り。声も発せられ……
「あぅぁー……うぁ?!」
おや? 以外に私の手足が短いな。そして言葉も久しぶりに声として発するのは難しいのだな。
〖……………………赤ちゃんとして進化しちゃったんですね〗
「あぅあ?……あぅ?」
ハロエ嬢? 今、何と言ったのだね?
〖はい。ギエナ様は可愛らしい赤ちゃんに進化なされました〗
「うぁぅ?!……あうぅぅ?!」
な、何いぃ?! こんな姿に進化するなど聞いていないのだがね?!
◇
ギエナ・セフィロ 木人種・草食嬰児レベル1
魔法 【恢復魔法】
称号【緑蛇神の眼】【豊穣神の祝福】
権能【三種の無】【緑の真典】【地の真典】【水の初典】【蝗災】
現在、これまで得た魔法/スキル/称号は各種権能へと統合中。
◇
◇
《とある居城》
回る廻る輪る。狂った1体の人形が円舞曲を狂喜の笑みを浮かべながら居城の劇場で踊り狂う。
「ラン……ラララン………ラーラーラー♪ ウフフ……アハハハ!!!」
「狂った子ね。……湖の水位が急激下がり始めたですか?」
「どうされますか? 貴婦人」
「………陸地ができたら攻められるわね。べディを南へ向かせて状況の確認を急ぎなさい」
「貴婦人の仰せのままに」
そしてその場から消えるは不快な顔をした骸骨人間。
「世界の環境が著しく変わったわ……この世界の仕組みそのものが……」
そして居城の部屋の一角から南を見詰めるのは呪われた湖の貴婦人。
「そして、これでやっと始まるわね。真なる醚を求める群像劇がこの美しい湖で。ねえ? 私の大切な子」
「アハハハハ!!! ラーラーラー!! ウフフ!!……アヒヒヒヒ!! 劇場。劇場……アハハハハ!!」
貴婦人は狂喜の人形を愛おしく抱き締め静かに涙を流した。
第四章『霧湖群像劇ダーム・デュ・ラック』開幕。




