No.100 【貪欲なる白き嬢王】Act6 進化と退化そして……これからを
あぁ、どこで間違えたのだろうか?
アスタルテの心から離れ《貪欲》の感情だけで一人立ちしたからか?
邪樹と契約しあらゆる力《権能》をを得て好き放題していたからか?
8番目の栄光を不意打ちで殺し。アスタルテの祠を穢しあの女から最愛の者を奪い殺したからか?
この豊穣たる地を水無き荒廃の地に変えた報いか?
何だ? 何だ? 何故、私は死んだ? 何故、貴方が私を殺すのよ。スコー………
◇
《湖水流れるルア・シンベル草原》
【………完全なる【雌蠍母胎】の掌握を確認。目の前の排除対象の破壊を開始する】
際ほどまでのアドラの喋り方ではなかった。とても機械的で冷たい喋り方。だがその喋り方には……
〈とてつもない悪意を感じるのは私の気のせいかね? 余所者君〉
昇華スキル発動【王妃雷神】
1度目の人生の頃、私には使い魔がいた。とても頼りになる使い魔。
貴婦人であり。雷火の力を纏う天候聖霊『ネメシス』が。
幻樹種の進化は己の可能性と形を能力として昇華させる種。それを用意てスキルの具現化を行おう。昇華の時は今のこの瞬間。
〖─────《フラマ》と《トネリコ》の一時的な接続を確認。かつての我が主よ。この一瞬の時では御座いますがお力添えします。どうか御呼びを〗
〈あぁ。来たまえよ。私の遥か昔に愛した使いの者……ネメシス〉
昇華時──次元は一瞬の超越を迎える。異世界は邂逅する。
ズズズ………シュンッ……バリバリバリバリッ!
〖偉大なる魔帝ギエナ・セフィロの第一の使い魔。ネメシスがここに馳せ参じました……何だかだいぶ姿がお変わりましたね。ギエナ〗
〈あぁ、2回程死んだら皆こうなるさ。ネメシス〉
空を漂い。金色の雷纏う美しき実態無き貴婦人が私に静かに語りかける。
【…………緊急事態が発生しました。未確認生物が異空間から突如として出現。排除に移行します】
アドラの身体を奪った者の声が少し焦った様に聴こえたが気のせいだろうか?
〖あれがこの世界でのギエナの敵ですか?〗
〈そうなるな。いけるかね? ネメシス〉
〖………時間はあまりありません。別世界への強制召還ですから。持って2分程でしょうね。それを過ぎれば私はフラマに帰ることになるでしょう〗
〈分かった。ならば2分でケリを着けよう〉
〖了解しました。ギエナ……雷鳥〗
【………効きません。この身体は神へと至った真仏そのもの。ただの生物や精霊にアドラ《セルケト》の身体は壊せない………荒廃魔法発動【蝎の裁き】】
これは幾重にも重なった奇跡の産物だった。
荒廃した土地に突然起きた自然活性。
2000年にも渡る経験値《ルアマリア生物》達の躍動。
北の神殿が破壊された事による水脈の復活。
これ等が起こる事によって起こるのはトネリコ世界のあらゆる生態系や自然環境の影響。
その影響で起こった現象が世界の歪み狭間は破れ。異世界と異世界を一瞬だけ繋ぎ留める道を作り未知なる力を呼び寄せる道となり。
幻樹種の本来の力。幻想や理想の一時的な具現化能力が発揮されフラマの世界の聖霊が一対。雷貴婦人ネメシスが現れた。
◇
ネメシスが放った雷鳥はアドラだった者から放たれた魔法を併合。
即座に自身の力に変化し雷と土の力を有したネメシスの攻撃は聖霊の一撃として致命傷を負わせる事に成功した。
【………緊急事態の発生を告げます。雌蠍母胎の肉体損傷を確認しました……そしてその損傷は私にもひ、被害が……出で……何を喚んだ?……こんな力あり得ない。私を犠牲にアドラが復活する?……あり得ないそんな理不尽な力あるものか?】
〖それは貴方が私よりも弱い地位か立場だからでしょう。別世界の法則で私を見定めるなど不敬。そして私のかつての主を傷付けた罰……消してあげますよ。悪の力……雷罰〗
別次元の雷がネメシスから放たれた。そして、
その雷はアドラの身体を媒体にその悪意ある存在へと届き……
【ギャアアアアア!!!……何故こちらまで痛みが届く? 何故? 何故? 何故? 何故?!!! この様な結果。俺様は聞いていないぞおぉぉ! 貴様等。俺様に何をしたぁぁ?!】
〖自分達で勝手に世界を繋げて私を喚び出す切っ掛けを作ったのでしょう?……それに自分だけ安全な場所で戦おうなど笑止千万。何より私のかつての主を脅かす存在ならば消させて頂きます。雷裁〗
【………これはこの世界とは根本的に違う力。何故、このような力を扱える?………こんな力聞いていないぞっ! サ……あぁぁあ!! 聖なる雷が俺様の頭上に………ザッ……ザッザッ……】
何かの断末魔が聴こえたと同時に死んだと思われた。その身体の持ち主が息を吹き返す事になる。
〖威勢は良かったでしたが対した相手ではありませんでしたね。ギエナ〗
〈それは君がフラマでは三大女……〉
その瞬間だった。私が何か発するよりも早く叫び声を上げる化物が復活した。
『うあぁぁぁあっ……あああああっ!! 私はスコーに殺された。あの女から奪った最愛の人に殺されたぁぁあ!!』
〈アドラの屍体を動かしていた者がどこかで死に。その死の犠牲で元の身体の持ち主。……アドラが生き返り身体を取り戻したのか?〉
〖世界の歪みが激しい今だから起きた奇跡みたいな出来事ですね……後1分です。ギエナ〗
〈そうか。寂しくなるが決めさせてもらおうか〉
昇華スキル発動……【金触角の覚醒】
合掌スキル発動……【王水水銀】
スキル発動……【毒蠍】【節即魔獣】
権能発動……【蝗災】【地の真典】
「「「オオォォォ!!!」」」
『ぎがぁ?! お前達……性懲りもなくまた私に刃向かって来る気か? 塵虫共の分際でえぇぇ!! EX スキル発動【天蠍宮】【蛇蝎奏者】。シネエエェェ!! 外来種ぅぅ!!』
「そうはさせないわ……権能発動〖栄光〗……これで安らかに眠れるわ。アドラ様」
透明蜥蜴によって姿を隠していたマリアが突然荒ぶるアドラの前に現れ。自身が持つ権能の力を発動させる。
『お前は……私の人格……そして、私からあの人の愛情を奪ったオンナァア!!』
(おぉぉ! 何だ? 怪我をしてるのか? 蠍よ。今、助けてやるぞ)
(名前はアドラだな。これから宜しくな。アドラ)
(ハハハ。お前は可愛い俺の愛する存在だ。アドラ)
(アドラ。俺は好きな人が出来たんだ。魔獣であるお前とはここまでだ。ごめんな)
(………何で今更……俺を殺しに来たんだ?)
『あぁぁあ!! 思い出したくない。スコー、スコーとの思い出……でも私だった頃の彼との思い出をお前が奪った。あの人を私を大切にしてくれていたあの人を私から奪ったお前は絶体に許さないっ!!』
〖自身から女神の元を去り。欲まみれの魔獣風情が何を語りますか……消えなさい世界の異物……雷神〗
アドラの身体は私が放った【傀儡】のメガネウラ達により拘束され。
毒蠍《ポイズ・ピオンの毒の尻尾に仕込んだ【金触角の覚醒】合掌スキル発動……【王水水銀】を再びアドラの顔がある部分へと深く深く突き刺した。
心はマリアの〖栄光〗によって浄化され。
魂はネメシスが放った雷神により完全消滅する。
『………己……私は世界……を手に入れて……スコーの愛をもうー度……手に入れたかっただけなの……よ……』
白金の身体は砂上の砂の様に粒子となって消えていく。
〖終わりましたね。そして丁度御別れの時ですギエナ。貴方の形は違えど。また貴方にお会い出来て良かった……さようなら。かつての主よ〗
〈ネメシス……あぁ。また必ずどこかで会おう。ネメシスよ〉
〖……またですか。フフフ。貴方らしい言葉の返しですね。ギエナ。えぇ、またどこかでお会いしましょう。主よ。貴方にこの世界でも祝福があらんこと……〗
かつての私の使い魔であったネメシスは元居た場所《世界》へと帰って行った。そして、少し離れた場所ではスキルのはずの【毒蠍】がマリアに向かって必死に何かを伝えようと。湖の濁流がやっと落ち着いた泥の地面に何かを書き始めていた。
「ギギギ!!」
「……貴方。まさかスコー……ですか? 何か書いてらっしゃるの?」
「ギギギ……」
《さ……き……に……し……ん……で……ご……め……ん……ま…り…あ……お…れ…は……いま……でも……きみ……を……あい……じ……てる……から……おれ……が…いなく》
「なった後は……誰か別の人を愛してくれ……スコー……貴方……そんな私は貴方を今でも心のそこから愛している……のに」
マリアは泥の中で書かれた毒蠍の気持ちが書かれた文字を読み。毒蠍を抱き抱えると涙を流し号泣し始めた。
「ギギギリリ!!」
〈マリア……スコー君。これで本当に良かったのかね?〉
「ギギギ!!」
〈世話になったか。ああ。私も君には世話になった……アドラの記憶は先程少し触れたが。かつてのアドラ《ペット》を追いかけて行くのかね?〉
「ギギギ……」
〈それが償いか。了解したではその為に私がアドラの心以外の全てを引き継ごう〉
スキル発動……【吸収】
EX スキル発動……【幻草】
ズズズ……シュンッ!
私は最後に【幻草】で毒蠍の生前の姿を幻で出現させた。
「ギギギ……ァァ……(君を選んで正解だった。この荒砂海ルアマリアを救ってくれた事を感謝する。そして、さようなら。俺のルア・マリア俺を愛してくれてありがとう。俺も君を愛しているよ……永遠に。マリア)」
「スコーッ! 私も貴方の事を愛しているわ。ずっとずっと2000年経った今でもこれからもっ! ずっとっ!」
「あぁ………俺も君を愛している永久に……マリア」
2人は最後に抱き締め合い。泣き崩れながら最後の別れをお互いに伝え合い。そして、スコーは消滅して逝くのだった。
〖………アドラの記憶を記録として取得しました。アドラの身体の吸収に成功しました。これにより幻樹種・王妃雷神のレベルが10へと達し。ギエナ・セフィラを王妃雷神から木人への進化を行います〗
アドラとの戦い後。ハロエ嬢からの進化報告が私にもたらされたのだった。
【貪欲なる白き嬢王】 終
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荒砂海ルアマリア編完結。




