第七十四話 悪党と混沌
魂凍山頂上付近
「やっと頂上だぜ・・っておい!城は何だ!」
「知らん・・まぁ金目の物があれば根刮ぎ奪うだけだぁ。それよりも闘牛熊の索敵だけはやっとけよ」
「城付近に針山象が集まってやすぜ!丁度換毛期に入って毛がどんどん抜けて・・って誰かがいるぞ!」
「邪魔なら身ぐるみ剥いで殺せ!」
何やら物騒な集団だな。距離はまだ三百メールで人数は・・三十六か。あれだけ悪意を持ってたら半球状防壁の中に入るどころか地獄入りだろうけど・・アリスちゃんがまだ外なのか・・・他の連中は極楽入浴中でマキは使用中止・・・めんどくさいが俺が排除するか・・。このまま悪党が来るとアリスちゃんと鉢合わせするからな。
んで・・そろそろジャレるのを止めてくれるか?針山象よ。一番逞しい象が、長い鼻で俺を巻き付けて上下に振って・・・どうでも良いが鼻の針がチクチクするんだが?まぁ刺さらないし痛くも痒くもないから良いんだけどな。ただ・・お礼なのか感激なのかが分からんが、俺に悪意や敵意がないから・・まぁ良いか。
「女発見!・・こりゃ上玉だぁ」
「貴様ら!お嬢に指一本触れたらただじゃおかんぞ!」
「大猩猩人族の分際で・・おっとこっちも上玉じゃねぇかー!」
とりあえず離しなさいな!後で遊んでやるからな?な!っておいっ!振り回すんじゃない!ってか投げるのかよっー!
『あ゛ー!』
「ぶへっ!」「ガハッ!」「ぶほっ!」「「ほげっ!」」
なんだかんだで無事着地したが、悪党五人が俺の代わりに転がってくれたな。まぁアリスちゃんと悪党の間に入れたから結果良好だな。
「猿!こいつらは鬣犬人族だぞ!」
『あんじんすれい?』
「猿!こっちは真面目に忠告してるんだぞ!鬣犬人族は鬣犬だ。鬣犬人族が魂凍山頂上に来た目的は、針山象の換毛期と出産期に合わせて殺し全てを回収する『掃除屋』の異名を持ってる。針山象は皮・牙・針が高価だが、扱える職人がいないって聞いてるが・・・ってか話せよ!いちいち帳面に書くな!」
「兎の嬢ちゃんは物知りだなぁ。その職人が俺の奴隷に居るなら狙わねぇわけねぇよな?さぁ兎ちゃんは俺と楽しい事しようぜ!猿は殺れ」
「猿よくもやりやがったな!死ね!」
さてと・・・悪党なんだから始末しても良いんだが、せっかくの観客をがっかりさせるのは忍びない。めんどくさいが、ゆーっくりと相手するか。
「猿!何もしないで殺されるのか!」
「お嬢!早くこちらへって!まだ入れないんですか!」
んじゃ初めてこの矛で対人戦をやりますか!ってか転倒組の剣がまだ俺に届かないのは何故?流石に遅い!まぁ良いや・・アリスちゃんと大猩猩人族守護騎士ちゃんが見える速度で・・一人目の剣根元を弾く・・ごめん!剣切っちゃった!二人目、三人目、四人目は矛の背で軽く弾いたが・・・剣が飛んで行っちまった!五人目は俺の得意技【切先合】をしたら・・剣が二枚に切れてしまった!
「これで死んって剣が折れてる!」
「「「あー!て!手がーっ!」」」
「お・俺の剣が真っ二つ・・・」
・・・切るつもりも、弾いて手を骨折させるつもりも、剣を真っ二つにするつもりもなかったんだが、結果的に・・・ごめんよ!
「お!猿ぇー!そ!その武器は伝説の・・・混沌の矛・・【スピア・オブ・カオス】!」
へーそんな名前なんだな。・・俺の名前にも『カオス』ってあるけど、一緒かな?後でミキちゃんに聞いてみよう。




