第七十一話 斬首と天然
城外半球状防壁頂上
「ちょっと!城外の映像は見れないの!?窓からじゃぜんぜん見えないわ!ってか俺達も行って暴れようぜ!」
「お嬢、無茶言わんで下さい。闘牛熊の群れですぞ!?分かった時点で王妃様が我々四人の首を飛ばされるので自重下さい。それと【映像】の魔導具は持って来て無いですぞ」
「にゃーが見て来ようかにゃ?」
あぁ確かに宴会場窓からでは全体が見えないな。【映像】って魔導具は無いが、【映像】と【音声】魔法で・・この壁に投影。
「「「「・・えっ!え──────!」」」」
「にゃー!猿何したにゃー!?」
「半球状防壁の上は高いねぇーさっむいわねぇ!闘牛熊がちっちゃく見えるよねぇー!とりあえずーな・ん・た・い・いるのかねぇー!」
「ミ・ミキお嬢様っ!重たい・・」
「失礼筋肉!淑女に何言ってんのよ!小人族が頭に乗ったくらいで大袈裟過ぎます!後で説教部屋ね!」
「ユイちゃんに絞られなさいマキ。最近は食べてばっかりの贅肉になってるんだから、第六皇女の護衛を解雇しますわよ?」
とりあえず映像・音声共に良好だな。全員が映像を見ているから・・贅肉は全力で頑張れ!
「観客が居る事だしぃー・・ユイちゃん、アリスちゃん達に【映像】見せてるんでしょ?どうせならきっちりしっかり見て欲しいから灯出してぇ」
ミキちゃんは何でもお見通しだな。明るくないとアリスちゃん達が見えないから・・・【太陽】っと。
「ユイちゃんの阿呆ー!こんな近くにでっかい太陽なんか出したら死ぬわ!早く消して!」
え?明るくしようと思っただけ・・。
「ユイちゃん!照明で良いんです!」
らいと・・って確か・・・右だっけ?ってか何で右だ?
「ユイ兄さん!照明よ!照明!」
あぁ・・【照明】・・暗いと見えないからいっぱい作るか。
「・・・【太陽】・・・そもそもこの御仁は全く魔力が無いではないか!というより王都プティ・クリンチを出てから驚く事ばかりで声も出ぬわ!」
とりあえず質問等はミキちゃん達が帰ってからにしてくれるか?
「さぁ闘牛熊が針山象を見て吠えてるね!今よユキちゃん!ぶっぱなせー!」
「雷魔法【雷雨】!」
「グモォー!!!」
おー!ほぼ全部の闘牛熊に雷が落ちて麻痺で動けない状態になってる!ちゃんと麻痺だけにしてるから、魔力加減と操作が出来てるんだな。凄い上達ぶりだな。俺も見習わないとだな。
「誰が多く首切断出来るか勝負よ!今日こそスケスケ下着作って貰うんだから!!!」
雷雨からは一方的な作業になってしまったな。闘牛熊は弱くはないが、雷耐性が無いから仕方ないと言わざるを得んか。全長三メートルから大きいので六メートルの巨体で、額に闘牛の角が二本なんだが生えてる場所や大きさ・形等は個体差なんだろう。全体的に外見は熊だが、両手足の爪が異常に太くて硬そうだ。極寒を生き延びるのだから、体毛は長く真っ白か。んで、この解説にも四人は首切断してるんだが、ミキちゃんの風魔法で皆が飛んでるし、剣が強化されて風刃でスパスパ斬って勝負に熱中してるな。熱中は良いんだけど、ちゃんと血抜きしてくれよ?・・・勝負は良いとして、ミキちゃん希望の下着は作らないからな。
「スケスケ・・・ほ・欲しい・・」
羊駱駝人族弓使ちゃんだったか?下着は反応しないでくれ。
「ユキちゃん!大きい熊さんが麻痺切れだからお願いね!・・おっとーこの熊も切れたかーよっ!っと!」
小さい闘牛熊は未だに麻痺してるが、大きいのは回復が早いな。
「良いわよぉー!新雷魔法【斬首刑】!」
おー新魔法か!剣先から雷が無数に闘牛熊の首て落雷・・・違う、この場合落ちる雷ではなく横からだから横雷か?周囲の闘牛熊の首を一刀両断じゃなく二刀で複数を斬首したわけだから・・・めんどくさいから良いや。結局一部の闘牛熊しか麻痺してないから危ないぞ?
「マキバ二刀流【百鬼夜行】!」
流石マキ・・と言いたいが、闘牛熊が麻痺してなかったら確実に殺られてるから気を付けろよ?
「筋肉に負けてられないわね!異世界で編み出した技を披露するわね!【滑空斬】!」
ミヨは摸摸具和人族の種族特性を生かす技なんだな。半球状防壁に駆け上がり飛躍し、滑空しながら闘牛熊の首を落とすか。麻痺してるから使える技だし、全方向への対処が遅れるし改善しないと首が落ちるぞ・・・ミヨの。
「ユキちゃん!」
「ごめんなさい!お姉様に良い所を見せたかったの!」
まぁ気持ちは分からんではないな。アリスちゃん達も映像を観ながら『おー!』とか『我々も考えなければ』とか言ってるし、良い所が見せれたんじゃないの?
「さぁ大体は狩ったわね!しかーし幸運にも悪いお知らせがあります!八メートル級が三体と十メートル級が一体狩られに来ますよ!」
城内女子会
「いやーこの極寒の地で熱い湯に入れるとは思いませんでしたな!お嬢」
「大猩猩人族守護騎士はどう思う?」
お風呂上がりで濡れた髪を拭きながら第四皇女のアリスちゃんから一言・・・。
「どう思うも何も良い湯加減でしたぞ!久しぶ───」
「違う違う!板状だよ・・・」
ユイ兄さんが作った板状端末魔導具を眺めて滑走させたり軽叩したりで、料理や回復水薬を見てますが何か問題だったですかね?試作品って聞いてますが私も板状端末魔導具は欲しいですね。いつでもどこでもお金さえ入れればお料理が出てくるんですよ!例え水や食料を全く持って無かったとしても板状端末魔導具さえあれば・・・ユイ兄さん作ってくれるかしら。
「板状もそうですが、全てが異常ですぞ。極風のミキとお嬢の妹である第七皇女の壮大な争いを瞬時に止め、魂凍山頂上まであっという間に辿り着き、この城や半球状防壁に料理・・・そう!魔力が全く無いのに闘技場でのあの動き・・・今まで猿人族は多く見て殺しもしましたが、あの者に我々が束になっても勝ち目がありませんな・・といいますか勝てなかったでしたな!」
そりゃそうでしょう!ユイ兄さんは鬼・・天災なんですからね。弱点なんてあるんでしょうか?私も知りたいですね。
「おい、そこの平民。猿人族は何者なんだ?」
まだミキちゃん達はお風呂だよね・・・どう答えようかしら。
「そうですね・・・一言で言えば鬼天然ですね!」




