第六十八話 報酬と出発
「「えーめんどくさい!」」
君達・・・国王の話は最後まで聞くんだぞ?・・・確かにめんどくさいんだがな。
「ユキ・・・国王女に言っても良い────」
「何でもお申し付け下さい国王陛下!」
んっ?何この変わり様は!お父様ではなく『国王陛下』だし・・そんなにかあちゃんが怖いのか?ってか俺の背中から降りて跪いてる!
「えーユキちゃん勝手に決めないでくれる?パーティーリーダーはユイちゃんー!んー!」
「ミキちゃん、黙って頂ければ私の料理を一品献上致しますわ」
ユキちゃんがミキちゃんの口を抑えて何を言うのかと思ったら。ミキちゃんがそんなので了承する・・・んだね。満点の笑顔だな!仕方ない・・今日は一品多く作るか・・・。ってか姉弟!
「私は関係ないですからね?決めるのはユイ兄さんですから」
「て事は俺、要らないよねユイ兄?コタゴリラに帰って痛ったー!!」
「黙れ筋肉!」
伝説の張扇でマキの顔面を叩いてやるなよ。顔抑えて転がってるからな?
「話しを進めても?」
「大変失礼しました。続きをお願いします」
俺と定位置以外は跪いて話を聞く準備だが・・・。
「立方体大樹海に住んでる『ジロ』に手紙を届けて欲しいんじゃ」
そんな事はアリスちゃんの班にお願いすれば良いんじゃないのか?まぁ俺達も立方体大樹海には行くけどな。けど、タロ爺に加えてジロって名前の人も見つけるのか・・めんどくっせーな。
「アリス達だけでは立方体の謎は解けないからのぉ。それにユキを鍛えてくれとるユイ殿がおれば、アリスの態度も変わるじゃろうて。そうそう報酬はじゃな、紙の【紋章】を持ってる人物の捜索というのはどうかのぉ?」
ユキちゃんを鍛えた事は無い・・・何か勘違いしてないか?それは良いとして二枚の【家紋】の人物を探してくれるのか?それは助かる・・・けど何で知ってるんだ?
「以前一緒に銭湯に入った時じゃな、紙の【紋章】を見ておるでのぉ。アスカからの情報じゃと、ユイ殿は妹を、ミキ殿は姉を探していると聞いておる・・・前世のな。更にコタゴリラの冒険者組合に自動販売機なる魔道具を設置し、貢献と情報収集してるのも知っておるぞ。どうかのぉ?」
「嫌よ!猿と共に立方体大樹海なんかに行かないぜ!親父は狂ったのか、話術で騙されてるんだって!」
「仕方ないのぉ・・・国王女に連絡す───」
「国王陛下!王命に従います!」
アリス班全員が跪いて頭を垂れる・・・『かあちゃん』の一言で?
話を整理しよう。国王からの依頼は二つ。立方体大樹海へアリス班と共に行うのと、立方体大樹海に居る『ジロ』と名乗る人物に手紙を渡すだな。で、俺達はこの依頼を承諾し、その後アリス班が呼ばれての会話だが・・・アリスちゃんもユキちゃんも母親には超が付く程弱いんだな!その母親ってのはどれだけ恐ろしい存在なんだろうな?
「宰相、冒険者組合長を呼んで、依頼な───」
「もう手続きは済んでおります国王陛下」
虚弱体質のが宰相さんなんだな。
「ユイ殿、申し遅れましたがルート・クリンチ・インティリです。亡き父に替わり宰相をしております。遺品は国王陛下から頂きました。ありがとうございます」
王都プティ・クリンチ東門
「ユキ・・・背中に付いてる紙は何だ?『つーかまえた!』って書いてるな」
アリスちゃんが大人しい言い方をするな。これも母親恐怖症の影響か?
「え?・・・結局鬼ごっこはユイちゃんの勝ちか!」
「それは良いとして、立方体大樹海まで東に五百キロ以上・・・食料や必要道具や移動手段の準備があるから・・明日の朝出発で良いかしら?」
「アリスお姉様?今から行くんですのよ?」
「「「「「・・・は?」」」」」
城内地下十階
「国王陛下、やっとユイ殿にお礼が言えました。ありがとうございます」
「それよりも自動販売機が入ったのぉ!」
「『それよりも』って酷くないですか?」
国王陛下も死んだ親父様と同じく脳筋だからな・・・。それでこれが噂の自動販売機ですか。第六皇女アスカ様から聞いていましたが、治癒ポーションに食事と飲み物と・・・調味料?どれにもしっかり【紋章】が入れられているのですね。
今回この自動販売機は、地下十階と城内の各食事処と兵士宿舎と医療室、更に冒険者組合に設置されましたね。冒険者組合以外の利益は国が管理になったのですが・・・地下十階に必要でしたか?
「自動販売機はのぉ、美味い飯が食えるんじゃから地下十階に置かんといかんじゃろ?」
いやいやいやいや!国王陛下が強引に言ったから仕方なかったじゃないですか!私に『設置せんかったらワシ・・城出する!』って!
「設置したのですからお仕事して下さいね?」
「わぁっとるわい!かったい事言うな!」
暫くは国王陛下監視が大変です・・・。




