第六十三話 腸詰と門前
「ユキお嬢様ぁー!ミキお嬢様ぁー!危ない事はお止め下さいー!」
叫ぶなマキ!ってか何で毎朝になると生傷やタンコブが出来てるんだ?俺が寝てる間に姉弟喧嘩してるのか?そういえばミヨは・・・俺の右腕を枕にして寝てたな・・。全員が個室で過ごしてたのに何故俺が起きると全員俺の部屋に居るんだ?左腕を枕にユキ、ミキは相変わらず股間枕っておい・・。その辺でうつ伏せで寝てるのか気絶してるのか分からないのがマキ・・邪魔だな。
「ユイ兄さん・・・そろそろ止めないと・・・王都に近いからヤバいって!」
ん・・ヤバいっていうのは危険って事だったか?
「このまま直進で良いのかっ!行きたくねぇー!」
半人半獣はこのまま直進な!
確かに止めないと・・ってか俺、帳面に『そろそろ帰って来なさい』と書いて胸元で掲げているんだが全く見てないんだよな・・・。
原因は・・・朝食の腸詰をユキちゃんが、ミキちゃんの皿から取って食べてしまったのだが・・・暴風と稲妻を纏って王都まで来るなよ!
とりあえず二人を回収・・・俺に斬り掛かるんじゃない!よし・・後は嵐に向かって息を吹けば・・。
「・・・ふっ!『ふっ!』」
はい消えた。これで天候については問題が無くなったわけだが・・・また喧嘩するから先程作った棒付渦状腸詰をお口に突っ込ん・・・君達お口が小さいよな?まぁ面倒くさいから突っ込んで・・はい。で・・・原因を作ったユキちゃんの方は激辛で・・・。
「ん゛んーんぐんうんん!──────」
「ぐんんん゛んーんん!──────」
何言ってるか分からないが、食べながら話すのは止めような?それと・・食べながらの喧嘩も止めなさい!そうか!一緒の方向を向いてるから駄目なんだな・・ユキちゃんは進行方向にお尻を向けておきなさい。これで良し。ユキちゃん?辛いからって電撃しない!皆の迷惑になるから大人しく食べてなさい。
「あのうユイ兄さん?蝋燭の火を消す感じで暴風を消し飛ばすのは止めてもらえませんか?ってか馬鹿ですか?!それにミキちゃんとユキちゃんを抱えるのは良いのですが・・いつの間に捕獲したんですか?ってか腸詰!私にも下さい!」
ミヨ・・それは褒めてるんだよな?
「照れないで下さい!褒めてませんから!馬鹿と天災は紙一重って言うでしょう?」
ん?褒めていないが天才なのか?よく分からないな。まぁ良いや・・・。
「ユイ兄さん・・自分も腸詰食べたいっす!」
二人共食べたいのか?良いぞいっぱい作ったからな。
「ユイちゃん本気でごめんなさいするからおろして下さいまし!お尻向けたままの凱旋は嫌ぁ〜!!」
「お前達止まれぇー!」
南門に・・ひぃふぅみぃ・・ざっと二百人くらいで、門の上には弓や魔法使いがわんさか居るんだが何事だ?あぁユキちゃんが帰って来たからお出迎えなんだな!
「攻撃始めー!」
「「「「「うぉー!」」」」」
ん?攻撃してくるのか!何で?
門の上から雨霰の矢と魔法弾が降って来た!が、物理障壁と魔法障壁があるから問題ない。
「恩人に傷一つ付けさせはせん!【薙ぎ払い一閃】!」
「「「「「うわぁー!」」」」」
半人半獣の騎槍が前方の兵隊さんを暴風で右端から左端まで吹っ飛ばしたのか。ぶっ飛ばした兵隊さんが後方の兵隊さんに体当たりして将棋倒しになったな。でも半人半獣はだいぶ手加減してるな。そりゃそうだな、怪我させちゃ駄目だが水薬はいっぱいあるから大丈夫だぞ。
「ユイちゃん!おろして下さいまし!ここは私の凱旋って言って道を開けさせますわ!」
ユキちゃん皇女だったな・・んじゃ頼む。
「鎮まりなさい!第七皇女ユキ・クリンチ・ムルミーが命じます!全員戦闘を止めなさい!」
「ユキ様の名を騙る偽者がー!」




