閑話︰奴隷と自由
「半人半獣族・・お前は今からワシの奴隷だ。借金の額が・・・こりゃ死んでも返しきれないなぁ。まぁお前が死ねば、娘が借金の形になるだけだなぁ」
と言われ、暑い日も寒い日も休みなくこき使われて・・・。しかし強靭な身体で怪我も病もなく今日まで生き延びた。簡単には死ねない。
しかし今!その主が拘束され転がっているのは、夢か幻を見せられているのだろうか?この機に逃げられないだろうか・・・従属の首輪を着けられているから無理だ。主が気絶してるとはいえ、隷属の首輪は逃げたら発動してしまって・・・。
おいおい!『極風のミキ』が何でここにいるんだ?!小人族が現れると『災いと厄が極風に乗って周囲に不幸を撒き散らす』と親父様から聞いた事がある。特徴が・・ピンクの髪、ツインテール、ゴスロリ・・・猿人族?・・・猿なんかはどうでもいい。金品財宝食料が綺麗さっぱり無くなり、瓦礫の山だけが残る・・・。確か地下迷宮で、地上まで貫く極風を発生させ破壊・・・崩壊。何処の国かは分からないが、指名手配になってるとか・・・。
あの兎人族の女の子が単騎で魔獣を倒し、軍兵士をも倒してしまう戦闘力。村で一番の戦士である私と互角・・いや言い過ぎだな・・足元にも及ばないな。目にも止まらぬ速さで・・・確か【百鬼夜行】とか言ってたな。速度は反則だろ?兎ってあんなに速いのか?まぁ私は見えているが、身体が反応出来ないだろうな・・奴隷だから鍛錬してなかったから・・・。
私の背中で『あ・・豚さん・・・かと思ったら海豹人族の海豹・・速鳥の時に来た貴族様に似てない?』だったな?ま・まぁ豚人族に間違えられるだろうな肥満体型は・・・。馬鹿息子にも会ってるようだな小人族と猿人族。ってかいつの間に私の背中へ乗った?!小人族の精神的重圧・・本気で寒気がして大放水しそうになったんだけどさ・・・。
ところで・・この猿人族さんは全く魔力が感じられないんだが・・何故極風のミキと一緒にいるんだ?そういえば・・・不可解な点が、小人族が猿人族に指示した瞬間に現実となってる事・・・。事実極風のミキが『投入しておいて』で、あれだけの軍兵士が一瞬で消えたり、『縛って』で主が一瞬で達磨状態になってる・・・分かりまてん!
兎人族に関しても不可解なのが、天使の毒剣で動けなくなったのに、途中から人格が変わった?ってくらいの訛りが強い話し方・・・しかも二名以上の人格ってどういう事なのか分からないし、仮に別人格が仲間の事を『混物』と呼ぶだろうか・・・分かりまてん!
分からない事を考えても仕方ない・・で、事実だけを語るなら、主は天使教と手を組み王都プティ・クリンチの・・この国の国王となる為、多額の寄付をして天使召喚の水晶を手に入れた。更に天使教はどういった方法かは分からないが、天使の使い魔であるスライムを使って王都を制圧させ、制圧完了した後から悠々と王都へ行き乗っ取る手段だったが、不測の事態が発生した。ここにいる四百二十九番の勇者パーティーとの遭遇。兵士では勝ち目も無く天使召喚を行ったが・・・倒されたというか消えたが正解か・・。更に兵士も消えてしまい、主は拘束され気絶させられてるのが今・・・。
私はどうすべきなのか分からない。
「半人半獣!ちょっと王都まで乗っけてって?」
小人族に『おっちゃん』呼ばわりされるのは心外です!親父様が若い頃から冒険者やってるから・・・確実に五百年は経ってるよね?という事は小人族の方が私より年上ではないですか?
「半人半獣聞いてる?ちょっと王都まで乗っけてって?報酬は首輪取って、交通費あげるわ」
小人族の目が怖い!まるで私の考えてる事が読まれてるように思える目だよな!?
「さ・先に首輪を取って頂ければ・・・」
「おに・・ユイちゃん!とっ・・・たのね」
え?・・へ?くっ!首輪が無いっ!い・いつ取ったんだ?!さっきまで私は首輪を触ってたよな?!ってか猿人族が私の首輪を・・。
「おぉーっ!これで自由だぁー!」
「おいっ半人半獣!まだ帰らないでっ!」




