第五十一話 懲役と二割
コタゴリラ東の森入口
「ユイ兄さん・・・黒豹狐象も【牢獄】へ入ってるのは知ってましたが・・・」
あの草海は面倒くさくなってたからな。まぁ仕方ないだろう。
「確か先程のお貴族様達は現世界の一分が牢獄の一日でしたわね?という事は懲役十年ですわね」
確かそうだったかな?ユキちゃん俺より覚えが良いな!
「でも私の元パーティーメンバーの設定は?」
現世界の五十秒が牢獄の一日になってしまってる?何でかな?
「『何でかな?』みたいな首を傾げて不思議そうな顔は止めて下さい!黒豹狐象は一昨日の夕方に牢獄へ入ったから・・・二日間・・・で?何で丸二日が二十年も経ってるんですか!?もう本当に天才を通り越した天災ですね!・・・照れないで下さい!褒めてませんから!」
ミヨは昔から俺には厳しい娘だからな。だけどミヨ、同情は良くないぞ?自業自得だから仕方ないからな。
「黒豹狐象とのパーティーは解散してあります。今後、私達への接触を禁止で他言無用ですからね!」
「「「はい!」」」
釈放して直ぐに土下座。素直にミヨの言う事を聞くのは・・懲役年数が長すぎたかな?まぁ良いか!
「そういえば、あの犬畜生達はどうなったのですの?」
ん?ユキちゃん、拉致監禁者か?俺が目隠しを取って目を開けた瞬間に、土下座して地面にめり込んでいったな。特に主犯はかなりめり込んでいたな。もう面倒くさいから即【牢獄】へ送ったけど、一番気になったのがミキちゃんが笑顔で『おに・・綺麗な眼だね』って言った事かな?だってさ、三年前の時は土下座で『鬼』だの『天使』だの『悪魔』だの言ってたのにな・・・あぁだから今も『鬼』なのか?
「あの犬畜生達は情状酌量の余地無し!こんなちっちゃくて可愛い私を荒縄で卑猥な縛り方をして、いやらしい目付きで私を見て楽しんでたのよ!許せません!」
こらこら、木にグルグル巻きにされてただけじゃないか!それに・・見てニヤニヤしてはのは、ミキちゃんじゃなくて灰金貨でしょ!丁度目線の先にミキちゃんがいただけの事だぞ。まぁちっちゃくて可愛いのは認めるが・・・ミキちゃん、俺の頬を叩くな。まぁ痛くないけど。
「ユイ兄さん!犬畜生達は死刑で良いでしょう!ミキお嬢様にいやらしい事をしたのです!死刑でしょう!」
「そうですユイ兄さん、死刑でしょう!」
姉弟・・・ミキちゃんの話を鵜呑みにするなよ。牢獄で反省すれば良いんだよ。どうでも良いが移動しようぜ?
「犬畜生達はどうでもいいので、ユイちゃん移動しましょう」
「おに・・ごっこ遊びしよう!ユイちゃん!」
「「「は?」」」
は?鬼ごっこ?
「当然鬼はおに・・ユイちゃんね!規則としては簡単、鬼から逃げて捕まえられず王都プティ・クリンチへ到着する事。鬼は王都へ到着する前に私達全員を捕まえる事!」
いやいや、それはちょっと簡単だろ?三秒も経たずに終わるぞ?それに王都までなら一時間もいらないよな?
「王都までって・・三日は必要ですわね。ですが今の私だと一日ですわね」
え?ユキちゃん、王都まで一日?
「「いやいや三日でしょう!」」
姉弟は三日なのか?俺の計算が間違ってるのか?
「但し!おに・・ユイちゃんは手足を使わずに移動する事!」
何を無茶苦茶な事を言うんだ?手足を使わないで移動ってどうすれば良いんだ?
冒険者組合長室
「先程の土下座は何だったんですか!?」
「該当者の心当たりはあるが・・聞くか?」
師匠言わなくても分かるんですが、間違いなく異常さんでしょう。だいたい高価な回復水薬をポンコラポンコラ出して、自動販売機でしたか?を作ってしまうって異常以外の言葉が見つかりません!まぁ自動販売機に関しては、何もしないで売上の二割が組合長室机に設置された貯金箱に入って来るのだから文句言えません。でも貯金箱デザイン・・・金色の可愛いブタさん・・マジで好き!
「とりあえずはユイ殿達が帰って来た時に事情を聞くとしよう。・・しかし・・チャリンチャリンとまぁ冒険者は買って行くんじゃな」
それはそうでしょう。冒険者にとって瞬時に治るのは、戦闘継続出来るのですし、非常事態にも対応出来るのですから。お金があれば買いますよ。ただ・・極チンでしたか?あれは強力過ぎて価格が・・ね。
「ところで・・今いくらぐらい貯まってるんじゃ?」
「今現在・・白金貨二枚(二億ウェン)くらいですね」
「売上の二割でか・・・アスカよ頼みが────」
「貯金箱から出してお酒は買いませんからね!」




