閑話︰妄想と暴走
冒険者組合休憩場
「鼬のじいちゃん、確かあの日買取受付だったよな?」
なんじゃ狸さんか。あの日とはどの日だ?
「『どの日だ?』みたいな顔するなって!四百二十九番の勇者パーティーだよ。猿人族と小人族と兎人族の三人組の!」
あー先日来たな買取受付に。速鳥の依頼素材を買取受付をしたぞ。狸さんなら帳簿と報告書を確認してるでしょうに?ワシもだいぶ慣れたとは思ったけど・・・速鳥量は多かった・・・肉以外は・・・。
「帳簿と報告書は確認したんだが、おかしいと思わなかったかい?依頼は速鳥討伐で、肉が一羽分以上で追加報酬だったろ?でもさ買取で提出してきた素材は、肉が一羽分だけで、他は百何羽だっけかな・・まぁ肉以外の素材がわんさかだったな。じゃあ百羽以上の肉は何処に消えた?」
それはワシも思ったな。さぁ狸さん、妄想推理の時間ですわ!よろしくお願いします!
「後で商業ギルドに確認はするんだけど、冒険者ギルドには依頼である肉の買取を最低一羽分だけにしておいて、他を商業ギルドに買取してるのかとも思ったんだが・・・何か変なんだよな?」
確か猿も小人も商業ギルド会員だから、買取して貰ったとしても冒険者ギルドより若干高め・・・。ってかあいつらは何故商業ギルド会員なんだ?冒険者なのに商人って事は、速鳥の肉を個人で売る?いやいや、あの猿からは誰も買わないだろうな。あの戦争で猿人族が裏切ったから、未だに恨みや憎しみを持つ者もいる。ワシも未だに猿は嫌いだ。
・・・まさか全部食べるのか?でも百羽以上量だし流石にありえないわな。猿も兎さんもそう食べなさそうだし、小人はもっと食べない・・・ん?そういえば摸摸具和人族のショートヘアの女の子って確か・・別パーティーだったな。何故猿のパーティーと一緒だったんだ?黒豹と狐と象がメンバーだったが一緒じゃないや。
「何か変ですね狸さん」
「もっと不可解な話があるんだが聞くかい?」
狸さん狸さん!顔を近づけて恐ろしい半笑いは洒落になりませんって!思わず息を飲んでしまった。
「たまたまジョウさんの具合を見に行ったんだけどさ、やはり回復ポーションが足らなくて回復魔法を使える者も魔力枯渇してて、未だに重傷だったんだよ」
そんな事はワシも知ってる話だ。何が不可解なんだい?
「俺の後にアスカ親衛隊の黒ゴリに案内されてた猿人族パーティーがジョウさんの病室に入った後に、歓声が聞こえたんだよ!」
歓声?重傷のジョウさんに対して失礼極まりないな!
「まぁまぁ怒らないでくれよぉ鼬のじいさん。ここからが不可解な本題なんだ」
じれったいなー狸さん。落ち着いて聞くから続きをお願いします。
「歓声の翌日にジョウさんの病室が空っぽになってたんだよ。おかしいと思って医療班に聞いたら『元気に退院されましたよ』だってさ!」
はぁ?重傷だったジョウさんが治った?いやいやありえないでしょ!
「ありえない事が現実に起きてる・・・その中心にいるのが四百二十九番の勇者パーティーって事だよな?」
狸さん、妄想が暴走してないか?




