第五話 情報と救援
焼肉を食べながらミキが救出した冒険者から情報を得る事が出来た。
一つ目が、男女問わず生き残った冒険者は武器防具全て取られ拘束監禁し、抵抗脱走は全て殺された事。冒険者の遺体等は武器防具以外全て埋めて証拠を残さない事。食事は無く水は地下水が垂れてくるのを飲んで、冒険者が自前で持っていた乾燥パンや干し肉等だけ。
「ちょっと辛めのタレある?(コトン)」
二つ目が、ゴブリンではない者が作った頑丈な牢獄で、交代で監視されていた。そのゴブリン達は下っ端ではなく、上位種のホブゴブリン・ゴブリンアーチャー・ゴブリンメイジ・ゴブリンコマンダーの五から八匹の班であったと。
「(コトン)鬼っ!ユイちゃん野菜多めじゃん!」
三つ目、コタゴリラの街から東南・東南東・東の三つの入口が全て繋がっている事。これは各冒険者の班が全て一箇所に地上へ出る事もなく集められた事で判明。
「デザートはあるん?アップルパイとアップルジュースが良いな〜♪あー(カタンッコン)オレンジジュースに変更して欲しいって言う前に出て来たから良いや♪」
四つ目、東からの冒険者曰く、ゴブリンジェネラルやゴブリンキングを確認したとの事。
皆凄いよな!横文字をしっかり理解して話をするんだからな。俺・・・料理以外の横文字は苦手だわ。
だけど今一番分からないのが、どの冒険者も小鬼の種類が直ぐ分かる事なんだが、何か判別方法があるのか?見た目同じような小鬼でも下っ端とその上位種ホブゴブリンってのが見分ける冒険者すんげーな。
「ご馳走様でした!ちょっと食べ過ぎたかな?」
捕まってた冒険者達の治療・食事・衣服が整った。治療はミキが高級水薬《赤チン》と《ヨウチン》を次元収納から取り出して回復させ、食事はミキが大半食べたが全員満足したようだな。
ミキが言うには『おに・・ユイちゃん!時間ってもの知ってる?』だそうな。どうも俺と他の人の時間に多大な差があって、例えば料理でいうと俺が四半刻(三十分)で作ったとしても周りからすれば一瞬で作ったように見えるらしい。料理を作って出したというより、次元収納から以前に作った料理を出したというのが正解だそうな。その次元収納も何処からでも出せるんだが、金庫から出してるように見せてる。ミキ曰く目立たない為だとかなんとか。ちなみに、ミキの持ってる鞄と俺の次元収納は繋がっているから、好きな時にミキは飲み食い出来るようにしてある・・・させられたがが正解か?
衣服も俺が作って渡したんだが、少し問題がある。五級や六級の冒険者には高級過ぎるらしい。まぁいいや次は気を付けるとしよう。
さぁてどうしたもんかね〜。今現在、東南の巣穴から入ってゴブリンを殲滅して東南東に進んでいる。救出した冒険者二十五人。・・・あれは見られたくないからな・・・どうしよ!?
「おに・・ユイちゃん大丈夫だよ!アスカちゃんに連絡したから、もう東南の入口付近に待機してるんじゃないかな?ちょっと待ってね・・アスカ親衛隊とサブマスがここに到着するね」
アスカ親衛隊は何となくあの黒筋肉達磨達ってのが想像出来たが、サブマスって何だ?
「てめぇか?あんっ?ワシの居ない間にお嬢をすっぽんぽんにして、ちょー淫らな事してお嫁に行けねぇ身体にしたエロ猿は!」
やっぱり黒筋肉達磨達が来たのか。だから筋肉を強調する姿勢を決めなくて良いよ!めんどくさい筋肉達だな。
で?この先頭に立つ野郎がサブマスって名前か?身長八尺三寸(約二メートル五十センチメートル)中世の重そうな鎧を纏って、背中に両刃の大剣を二刀・・・身長と同じ位じゃないか?朱色短髪美形の馬人族か。
「てめぇはワシの逆鱗に触れたんだ!死をもって償う必要がある!今なら切り刻んで花壇の肥やしにしてやる!」
勘違いが凄い子だな。すっぽんぽんにしたのは俺かもしれないけど・・・いや違う俺じゃない!淫らな事をしたのはミキじゃん?何処で情報が捻じ曲げられたんだ?
「マキちゃん久しぶり〜♪約三百年ぶり?」
「あ〜ん?おー!お嬢のご学友だったクルディオ《小人族》のミキお嬢様ではありませんか!ご無沙汰しております」
マキちゃん?サブマスって名前じゃないのか!それに態度と言葉遣いが俺の時と全く違う!
「マキちゃんはね〜アスカ親衛隊の隊長さんで、皇女専属護衛の強者で、サブマスってのは組合長補佐なの〜♪」
うーわ、面倒くさそうな・・・。早く救出した冒険者を連れて帰ってくれ。