第四十話 正体と緊縛
「これは遅効性の麻痺毒ですわ。私も使った事があるので知っています。この症状から見て服用してから六時間は経過してますね。後四時間もすれば完全に動けなくなり喋る事が出来ず、意識だけはある状態になるのです」
使った事があるのかよ!・・・まぁ良いや。で?治療方法は?俺は解毒薬とか持ってないぞ?
「おぐいんああうあん(極チンがあるじゃん)」
おーあれで良いのか!極チンなら腐るほどあるからな。ってか・・まだ唐揚食べてるのか!
先ずはミコちゃんの治療だな・・飲ませるのか?・・・面倒くさいからぶっかけとけ!
「・・・動く・・・」
仰向けで寝かせてたが、上半身を起こして両手の感覚を確認してるんだが、ぶっかけた直後に治るって凄い効きめだな。ってか麻痺毒はこの付近にあるものなのか?
「そんな・・・高価な解毒薬を持ってるなんて聞いてないわ!それに何なの!階級が低いクセに私達より強いってどうなのよ!?」
ん?狐娘はまだ腰を抜かしてるのか?まぁ俺もまさか極チンが解毒薬にもなるとは思わなくて、腰が抜けそうになったけどな!まぁ抜けてないけど。
階級ってのはこの世界の誰かが決めた規則だろ?強さっていうのは人それぞれじゃないのか?階級と強さが同じとは限らないんじゃないか?と俺は思うけどな。
「あれほど鬼に関わるなって言ってたのに、私に毒を盛るわ鬼を殺そうとするわで救いようないわね・・・三馬鹿」
ミコちゃんまで俺を鬼って言うんだな!ってか誰だ!そんな噂を流してるヤツは!ちょっと説教してやる・・・五時間くらい・・・正座で。まぁ面倒くさいからしないけど。
「そこの二人!手加減されたんだから意識はあるよね!三馬鹿でも分かるように教えてあげる。このユイさんは、私と同じ流派【マキバ二刀流】正統継承者の一人なのよ?私より遥かに強いの!」
「「「・・・え?!」」」
「「え?!」」
え?ちょっと待て!ミコちゃんは前世の誰だ?!俺の事を正統継承者の一人って知ってるのは当然親族だけど・・・ミコ・・誰だったか分からん!
『親族にミコって居なかったような・・・?』
「私の名前はミヨです!ちゃんと挨拶したでしょ!・・で、私の祖父がタロ、祖母がキミ、その三男シンの娘、長女ミヨです!思い出した?ユイ兄さん」
あーっ!あ?・・・親父の兄弟・・・シン叔父さんの長女・・・っ!思い出した・・・あれ?ミヨちゃんか!
「ユイ兄さん・・色々聞きたいのですが、その大袈裟な身振手振は止めて下さい。その前に三馬鹿達を縛っておきましょうか」
ん?三馬鹿を縛るのか?縄なら俺が持ってるから、取りに行かなくても大丈夫・・ってか俺が縛ろうか?・・・縄が・・おーあったあった・・・んよしっ!ちょっと芸術作品には程遠いか・・仕方ない。
「おに・唐揚追加〜!」
もう食べたのか!ミキちゃんは今日も全開爆食だな。はい追加だ。
「ユイちゃん、マヨネーズと岩塩とタルタルソースも追加でお願いします」
ユキちゃんも食べてるな!ミキちゃんに張り合う事だけは止めてくれよ?過去に何回か死人が出そうになったからな。はい追加だ。
「は?急に縛られるってありえねぇ!何してんだ!身動きとれねぇ!」
「お前のそれって背面合掌縛りと胡座縛りか?マニアックな縛られ方だな。俺は諸手上げ縛りに一本縛りだぞぉ。しかもご丁寧に鎧を脱がされてこれだぞぉ」
「いやー!もうお嫁に行けない!」
「背面腕一本縛りと屈脚固定縛り(M字開脚)!そっちもマニアックな縛り方だぞぉ!」
「あったあったロープありましたってー!・・・この状況・・・ユイ兄さんの仕業でしょ!」
ミヨ、縛っておいたから尋問するなりすれば良いぞ。ってかお腹空いたんじゃないか?一緒に唐揚食べるだろ?三馬鹿に猿轡しておこうか?・・・今着けた。
「「「う゛ーう゛ーう゛ーーー!!」」」
異空間牢獄
この空間に入って何十年になるのだろうか。
天使様から王都プティ・クリンチを支配してこいと命令されて、順調に小鬼共を使って計画を進めていたが邪魔が入った。あの小人族が全て白紙にした・・・が、もうどうでも良くなった。あの空間から逃げた先には時空の嵐があったり、時間が加速し魔力や理力・憎悪や悪意類いの負の感情が抜けてもう終わったと思ったら牢獄に来た。
ここは良いな!時間の流れも穏やかで過ごしやすい。更に初めて友達が出来た!この青年は優しいな。自分の食事を分けてくれたし、毎日優しく話し掛けてくれる。今は何故か二人分の食事が用意され、ベッドが大きくなった。もう出れなくても良いや。




