第三十七話 天秤と別班
「狩った重量で勝負よユキちゃん!スケスケ下着は渡さないんだからね!」
「甲冑手甲が欲しいので頑張ります!」
勢いは良いが・・・『時間ぐらい決めて行けよ!』と帳面に書いてみたんだが・・二人共見ずに崖から飛び降りてしまったな。この高さの崖を躊躇なく飛び降りるのは凄いな・・・あっ!俺も三年前に異世界に来た時は、大気圏から落とされたんだったな。あまりにも滞空時間が長かったから・・・寝てたんだったな。
まぁ全く話が噛み合ってなかったけど、二人は目的の為に唐揚肉を狩って来るわけだが、ミキちゃんは重量で勝敗を決めると言ってたから、計量しないと分からない。・・・作るか・・・出来た。二人の実力だったら五十匹くらいは妥当か?乗らなかったら天秤はかりの皿を大きくすれば良いだけだしな。
さて二人共・・まだ速鳥を探してる途中か。
この草の海・・なんだったか・・そうそう草海だったな。普通に草原なんだが、ここの草はとにかく長い!確か六十mくらいあるんだったよな。竹のしなやかさと鋼鉄の硬さで防具の素材に最適だったな。関節部の補強や紐にしても良かったんだったな。階級が低い者には良いが、高階級だと耐久度にちょっと適さないから・・・それでも高額買取してくれるんだったな。後で持って帰るか。
んで、速鳥は前世の駝鳥に似てるか?いやいや、頭部はでかいし首は長くて太くて、全長約五mの巨体で脚も太くて良い股肉だから、やはり唐揚に最適そうだな。
先ずはミキちゃん、やはり風で獲物の気配を察知してるな。風に乗って滑るような移動は前からやってたけど、精度が上がってるし速度も段違いか。草の上を風に乗って華麗に踊ってる様子はとても綺麗なんだが・・普段の態度を見てると複雑な気分だな。
お?速鳥の気配を捉えたけど、どう仕留める?
「風針!」
風の針で速鳥の脳を貫いて倒したのか。売る事を考えて風針の魔法で倒したのは流石だな。倒れる前に空間魔法で収納するのも、俺のを見てたからな。いちいち草を降りて回収するのは面倒くさいからな。速鳥は肉・革・羽・嘴に脚爪、魔石と更に骨も高額だ。討伐数が少ないらしいから二人共頑張れ!
次はユキちゃん、地に降り立ち電磁波で索敵してるのか。おー索敵しながら走れるのは良いね。見つけたな!ん?草に登って・・いや走りながら登って、草から草へ飛び移ってからの!
「感電!」
おー頭だけを感電させたのか!これは凄い技術だな。これは天秤はかりの皿を大きくしないと駄目かもな・・・。ってか勇者登録の『覚醒』魔法はやっぱりまずかったか?
「なんじゃこりゃぁ〜!でっけぇ天秤はかりじゃんかぁ〜!」
「もう少し声を小さくして下さいませんか?貴方は大袈裟過ぎるのです。それに先を急ぎ過ぎなんです!・・・本当に大きいですね・・・。巨人族の腕が大きい天秤はかりを持ってるとは・・・土魔法は素晴らしいですが全く感性がありませんね!」
「お前達、先客に挨拶せんか!・・・なんだ猿か・・・のぉミヨ、こいつ狩って良いのか?猿だから良いだろ?」
「駄目に決まってるでしょうが!鬼・・他の冒険者に迷惑掛けたら、あの冒険者組合長に降格させられるわよ?とりあえず黙っておきなさい」
他の冒険者が来たか。大声野郎が黒豹、狐の女の子が魔法使い、狩って良いかと聞いた野郎が象の守護戦士で、最後の女の子が摸摸具和か。
「私はミヨ・モモンガ・サティア、C級の初段でリーダーやってます。私達も速鳥を狩りに来たんですが、隣に拠点を置いて良いですか?」
異空間牢獄
俺の拳でもこの部屋の壁を壊す事が出来ないとは情けない。同じ所を何度も何度も殴ってるのに、傷も付かないし痛めた拳も治癒されるって・・。
食事も毎日三食おやつまであるのは、絶対に毒でも入ってるんじゃないか?と疑って食べずにいたが・・・空腹には勝てなかった。しかもこの料理は、主様の夜会でも頂いた事も無い高級食材ばかりでめっちゃめちゃ美味い!
もう脱出を考えてるのが馬鹿馬鹿しく思えて来たな。田舎に帰って護衛団でもやって、初恋のトメコ・・・もうツガイがいるかな?
ここに迷い込んで二ヶ月・・・今日も作業頑張ろうかな!




