第三十四話 買取と休憩
冒険者組合一階掲示板前
「魔王討伐の依頼はないんですね・・・」
ユキちゃん、魔王ってのは族長とか国王なんだろ?そう簡単に討伐の依頼ってあるのか?そもそも何処に居るのかも分からんのだから、情報収集をしないといけないよな。それよりも妹を探す手掛かりをとりあえず組合長と副組合長に情報収集をお願いしたけど、俺達も情報収集しないとな。
先ずは冒険依頼を受けて商人活動・・・その前に要らない素材を買取りしてもらっておこうか。俺が加工するとやりすぎちゃうみたいだからな。確か裏口に依頼品や素材の買取が出来るんだったな。
相変わらずミキちゃんは俺の左腕・・・は定位置として、ユキちゃんが俺の背負ってる金庫の上に股がって、ユキちゃんの脚が俺の首を絞めてる・・・俺以外にはするなよ?金庫上が気に入ったのか?
「おに・・ユイちゃん、素材を売りに行く?その前に依頼は牛が良いよね!」
ミキちゃん、頼むから魔獣を肉で呼ばないように。まぁ肉はどれだけあっても足らなくなるからな。ってかこの依頼って東の森だよな?王都プティ・クリンチの帰りに立ち寄った森だよな?これは止めておこう。
「牛・豚・鶏・熊・鹿・猪・兎・・・おっ!鳥発見!今の私達なら余裕で乱獲出来るね!」
「速鳥ですか。速度には自信があるので試したいですね」
んーと?南か・・二人共速さには自信があるからな。ってか乱獲は駄目だからな?とりあえず行くか・・の前に素材を売って行こう。
冒険者組合裏口、依頼品及び買取受付
「たのもぉー!」
「なんじゃー!?猿か?だまくらかす前にけーれ!」
ミキさんや、その挨拶好きだなぁ?
んで?このおっさん・・鼬人族なんだな。身長百三十cmくらいで、てっぺんハゲの眉間にシワが多いな。作業服に前掛に長靴。ここでも猿嫌いが炸裂してるよな。
「いきなり騙すとか言うのはどうかと思うのですが!」
ユキちゃんもっと言ってやってくれ。
「兎さんや・・わりぃが猿に関わると、全てろくでもない事が起こるでのぉ。あんさん達も気ぃ付けい〜や〜!ほな用ないならとっとと帰ってや〜!」
鼬爺は俺以外の猿に騙されたんだな。んじゃ商業組合の方に行くか。商業組合でも買取してくれるよな?
「お・ユイちゃん!冒険者組合の買取窓口は目利き出来ないみたいだから、商業組合で買取してもらおうよね!」
「はぁ?ちょっと待な!ワシの目ぇが曇っとる言わはるんでっか?出すもん出しな!適正の買取価格出したっさかい!」
ミキちゃん、もう少し言い方があると思うぞ?まぁ結果的には素材買取をしてもらえるかも?だけどな。
とりあえず・・・ミキちゃん?どれを買い取ってもらう?俺は相場とかよく分からん。
買取窓口奥
「んとんと・・・各種皮と各種牙と各種角と各種爪・・・各種骨も要らないし・・希少素材も要らないか?・・・イタじい!下級ドラゴンの素材も査定出来る?」
「・・・ちょっ!・・ちょっと待ってもらって良いですか?この量・・・あ・・見たことない魔獣の素材・・・」
ん・・多いな・・二十畳位の場所にぎっしり積まれた素材・・・まぁ分かりやすく魔獣名と素材名の表示と、数量も記載してあるし、綺麗に整理整頓されてるから問題ないな。ミキちゃん・・・その小さい熊さんの鞄に首突っ込んで素材を出さなくても良いんじゃないか?俺の金庫・・めんどくさいのね。
あー後、今出した素材の一覧表・・・ユキちゃん一覧表を二枚同じのを書いたから、確認してもらって署名な。
「職員さん?猿だからって、全ての猿が悪い事をするのでしょうか?もしこの素材の中に粗悪品が一つでもあったなら、買取のお話はなかった事にしましょう。更に、こちらとしても貴方一人での対応は不正があると困るので、職員をもう二人程で確認してもらって良いですか?これが素材の一覧表です。ご確認お願いします。」
「・・・はい・・・」
ミキちゃん、素材を出してくれてありがとう。ユキちゃん、素晴らしい!あれだけ俺を『死刑!死刑!』って言ってた皇女さんが・・・国王に手紙でも書くか!泣いて喜んで王都は祭りになるんじゃないか?
職員・・頑張れ!
冒険者組合休憩場
「この間さ、猿を連れた小人・・・小人を連れた猿がいてさ、ちょーおっかねぇギルマスをぶっ倒したらしいぜ?!・・・いやいや猿じゃなくて小人の方が!昨日買取窓口に来た猿が、小人と兎ちゃん連れて来てたよな?」
あの小人族ってそんなに強いんか!初っ端からワシ喧嘩売ってた!初めて来たさかい、舐められるといかんからめっちゃ強気やったやん!
「たぶんだけどさ、酔っ払いのジョウさん・・勇者課のそうそう!その兎ちゃんにボコられたって聞いたぜ?」
えっ!あの兎さんが?・・ジョ・ジョウさんだろ?!引退したけど七段のS級って聞いた・・ジョ・ジョウさんだろ?ワシも兎さんには別の意味でボコられたけど・・・強いんだ・・。
「鼬のじいさん、大丈夫か?青ざめてるけど風邪か?」
大丈夫・・・だと思う。次からはあの猿のパーティーが来たら、ちょっと丁寧に対応せなあかんな。
「あの猿だけどさ、目隠しして普通に歩けてるよなぁ?しかも声を出さないらしいぜ?これで耳が聞こえなかったら三猿じゃね?」
確かに普通に歩いてたな。三猿って上手い事言うな兄ちゃん。見猿・聞か猿・言わ猿・・・下も駄目なら四猿だったら笑えるな。
今度来たら言ってやろうか?!『三猿さん・・・四猿さんでしたね?!』って面白いよな!
「ここだけの話にしといてくれよ?猿の悪口を言うとさ・・・小人がキレて半殺しだってよ!犬人族の兄弟パーティーと狩猟豹の猫が重症だったんだってさ!」
絶対に言ったらアカンやつやん!




