第三十一話 覚醒と雷兎
冒険者組合長室
「師匠がお仕事してくれるなんて夢ですか?私の妄想ですか?もう少し泣かせて下さい・・・」
「泣いてる暇があるなら茶でも出せ!茶出す前にその辺片付けて、師匠に座って頂きなさい!」
地下三階での事で鶏冠爺から『場所を変えてお話させて下さい!お願いします!』とびっくりする程の綺麗な土下座。二人共満足したみたいだから良いんだが、誰が師匠なんだ?
少し前の地下三階勇者登録室
「鶏冠爺〜ちょっと遊ぼう!」
「先程の再挑戦を所望します!」
俺の魔法【覚醒】で二人共光出したのはびっくりしたけど、起きたら自分の身体の調子を確認したかと思ったら・・・爺さんと遊ぶだと!先程まで遊ばれてたよな!
「あーん!嬢ちゃん達も合格じゃから・・仕方ねぇな・・まぁ気になってるから遊んでやるぜ」
爺さんもまたやる気満々か?やる気満々は良いが甲冑籠手が壊れて使えないよな?・・まぁ俺が壊したんだけどな!面倒くっせーな・・まぁこんなもんか?ほれ、爺さん使いな。
「あーガントレットが壊れてって何ぃー!なんでガントレット着けてんじゃワシ・・前のより性能がダンチじゃな!よっしゃーやろうか!」
ん?ミキが風魔法の【嵐珠】を使わないのか?それに両手両脚と・・・束ねた二つの髪にまで風魔法を付与してる?両手脚は攻撃速度を上げる為ってのは分かるんだが・・・。んでユキ・・・何で身体から電気みたいのがジャンジャンバリバリ出てる?確か火魔法が得意だったよな?何か変な物でも食べたか?
「ミキちゃん、先良いですか?ちょっと試したいので」
「いーよーぉ!」
下半身を落とし足場を蹴って鶏冠爺に直進・・左右に揺さぶりをし高速移動って言ってもおっせーな!
「おーおー!速いが少し毛が生えた程度か?」
「ここからです!雷魔法【稲妻】!」
鶏冠爺には凄く凄く速く見えてるんだろうな。まぁ俺には凄く凄く遅く見えるんだが仕方ないか。雷魔法で身体強化したは良いが、どうやって鶏冠爺を無力化する?
「なんだこのスピードは!くそっ!」
一定の距離を保ちつつ周囲を回ってからの死角攻撃か。
「ぐわぁぁぁぁ!」
一刀が太腿を斬って稲妻を鶏冠爺の体内に流すのか。あれじゃ痛みに耐えれても電流の痺れからは逃れられんな。なんで最初から使わなかったんだ?
「さぁ来いよ!・・くっ!あ゛ぁぁぁ!」
一刀が甲冑籠手で防がれたが、電流は流れて痺れるか。仮に電流が止められても、二刀目が確実に斬るだろうしな。
「お前さん・・【雷兎】だったのか!国王でも進化出来なかったんだぞ?どうりで髪が金色だったんだな!」
『らいと』が何なのかよく分からんが、ユキちゃんが鶏冠爺を圧倒したな。『どうりで』って事は、そういう進化をする何かがあったんだな?
「まだ行けますが、ミキちゃんに交代しますね」
「ユキちゃんお疲れ〜♪」
拳を合わせて交代か。ユキちゃん、まだバチバチしてるのに、俺の背負ってる金庫に座るんだな。もうあれか?定位置か?こらこら、脚で俺の首を絞めるんじゃない!まぁ一種の興奮状態なんだろうけど、普通の人にしたら駄目だからな?感電と絞殺だからな?俺は大丈夫だけどな!
「鶏冠爺〜回復薬飲んで遊ぼう!」
「なんだ?灰色の水薬は?」
ミキちゃんは優しいな。敵に塩を送るってかっちょええな。
「じいちゃんの負けた言い訳にされたくないもんね!」
「お前さんも進化したんなら試さずにはいられんか?水薬飲んで全力を出してやるぜ!」
今度はミキが挑発するのかよ。じいさんもまだやる気満々か!
牛乳瓶型の水薬容器を開けて一気飲み・・・腰に手を当てるのは定番なのか、仕様なのか分からない。これで全て回復した鶏冠爺にミキちゃんがどう戦う?
「さぁ来いやー!」
ミキが歩いて鶏冠爺に近付いて・・拳が来てもギリギリで躱し・・攻撃しない?蹴りが来て避けて攻撃しない。風魔法で察知してるからか!次の攻撃が察知出来てれば、回避は容易で反撃も自由なんだな。
「くそっ!全く当たらん!・・ぐっ!」
手を腰に当てて余裕で回避・・鶏冠爺の大振りで腕に乗って顎に蹴りか。あれされると脳が揺れて立てないんだよな。戦い方が変わったが、最初から使ってれば良かったんじゃないのか?
「ワシの負け!負けじゃて!先程の水薬を貰えるかの?」
「えー!空中殺法見せたかったのにー!」
「殺す気か!」




