第二十九話 鶏冠と挑発
「ワシが日直の時に・・・開店休業決めようと思っとったのに・・・面倒者が!」
じいちゃん口が悪いな。早く登録してご飯にしようぜ。
「兎に角登録をお願いします」
「白兎人族がうるさいのー!んで?扉とワシの空間を壊した小人族と?目隠しの猿人族・・・変な編成じゃな!」
いやいや、じいちゃんの髪型が変だって!あーでも黒筋肉達も短い鶏冠野郎もいたな・・・流行りか?
「鶏冠爺!ご飯前だから早くしてくれるん!?」
ミキちゃんがお腹空いてイライラしてるな。肉食べるか?後でか?後なんだな?
「推薦書類はと・・ゼフとアスカの推薦・・・お前ら冒険者カード出せ」
じいちゃん、眼鏡上げて目を細めてるってのは度が合ってないのか?老眼か?まぁ良いけど。
「もしかして・・・さ──」
「『狩人』と『破壊者』だと?!ゼフは何を考えておるんじゃ?実力の無い者に称号を与えよって!」
何を言おうとしたか?ユキちゃん。
「アスカもアスカじゃ!こやつ達に勇者登録させるとはボケたか?しかも猿嫌いなのに、よくもまぁワシの所へ猿を送って来よったな!」
凄い言い方だな。
「じじい!その言葉は遺言で良いのかな?」
あーあ・・・ミキちゃんキレちゃったのか・・・。でもこの爺さんは強いぞ。
「小人族の嬢ちゃん、お前さんが一番強いのは分かるが・・・白兎は魔力も実力もお粗末じゃし、猿は魔力が無いんじゃ・・・悪い事は言わんから猿だけは切った方が良かゔぉー!」
受付台に乗って爺さんの顔面に正拳突きか!受付台に乗るんじゃありません!ほらー踏み込んで正拳突きをしたから受付台の板が割れ凹んだよ。次からはその辺も気を付けて殴りなさい。
「【転送】!ちょっと舐めてるじじいにはお灸をしないとね!」
はいはい【転送】なっと・・ちょっと受付台を直す・・これは直すより作った方が良いな。ミキちゃん、俺の頭の上で腕組みしながら言うのは良いんだが、じいちゃんの方を向いて言ってあげなさい!
「ほう・・・ワシに喧嘩を売るとは何百年ぶりかのぉ!」
じいちゃん、笑顔は良いんだが鼻血出てるぞ?それよりもだ・・・受付台がちょっと質素になったか?もう少し彫刻をした方が良いか?
「私のユイちゃんを舐めて・・五体満足で帰れると思わないでね!」
「ミキちゃん、この方は国王のパーティーメンバーだった拳闘魔法士のジョウ・ショウジョウ・クリスタ。アスカお姉様の師匠よ!気を付けて」
俺はミキちゃんのものではないぞ?前々から言ってるのに、言い方を直さない娘だねぇ。
この爺さんは国王と一緒の班だったのか。んで?爺さんは拳闘魔法士でアスカちゃんの師匠で赤い鶏冠頭で・・・情報が多いな。そういえば国王は何の職業だったのか聞いてなかったな?それよりも受付台に使った木材が軟らかいんだが良いかな?まぁミキちゃんが壊せない程度の木材だから大丈夫か!?
「お前さんゼフの娘でアスカの妹か!そんなに弱くて勇者に志願するのか?やめとけやめとけな?皇女なんじゃから政略結婚の道具になっておきゃ良いんだっての!姉妹揃って馬鹿じゃな!」
「鶏冠野郎!私の人生は私が決めるんです!今は敵わないかもしれませんが、ここで逃げたくない!」
「ユキちゃん良く言ったわね!」
ユイちゃんも戦闘態勢に入っちゃったな。あれだけ挑発されれば当たり前だけど、爺さんもわざと怒らせてる感じだな。爺さん相手に二人がどう動けるのか楽しみでもあるけど、昨日の今日だから連携もクソもないよな?
「幸い小人族が異空間を作ってくれたからのぉ、気兼ねなく戦えるわい」
「だらしがないのぉ。個々の能力もお粗末じゃが、連携も足りんし勢いと大技だけでワシを倒せると思っとったのか?ワシぐらいの奴らはいっぱいおるぞぉ。はよー立て!」
ミキの風魔法【嵐珠】は鶏冠爺の空間魔法【ヘキサゴン】という手の平くらいの六角形の硝子みたいなのが、嵐珠と同等以上の数でその嵐珠を別空間へ送られ無力化され、ユキの炎魔法も放射や弾丸・設置型を全て把握されて躱され魔力枯渇気味。二人の二刀流も拳で弾かれ躱され、誘導されてミキとユキが正面衝突。一蹴され二人がまたぶつかり、倒れて息が上がってる状態にまでなってる。完全に遊ばれてるんだよな。
「ふ・ふざけた髪型で・・言われたくないわ!」
「ま・まだ逃げませんよ!」
二人共かなりヘロヘロだな。鶏冠爺は・・まだまだ余裕で元気で酒を呑んでいやがるな。
「やっと立ったか・・・ちょっとはワシを楽しませてくれよ?」
ミキは刀身に風魔法を纏わせ長さと威力を増加させて速度も上げてはいるが、鶏冠爺の甲冑籠手がミキの魔法を阻害と吸収をし、威力が発揮されていないんだな。
ユキは脚力に自信があり、速度で翻弄させる程ではあるけど、今回は相手が格上で見透かされてるんだよな。
鶏冠爺は最初だけ空間魔法【ヘキサゴン】を使ってミキの【嵐珠】を無力化させたけど、その後は魔法すら使ってないよな。魔力総量はミキが多いが、無力化させられると思い込んで使えないんだな。使っていれば勝機は多少あるかもな。あとは・・あの甲冑籠手だが、魔法阻害と魔力吸収は確かに厄介だし、拳闘士の技すら使ってない。
そろそろ二人の意識が途切れる頃合か。
「やっと意識が飛んだか!挑発した甲斐があったのぅ。二人共合格じゃて!」
鶏冠爺が言いたいのは、もっと精進しろって事だな。んじゃ登録を済ませて水薬飲ませてからご飯だな。
「おいおい猿人族よ!二人を回収して帰ろうとするなよ。これからが本番じゃねーかい!」
言ってる意味が分からない・・・。




