第二十六話 家紋と班長
冒険者組合長室
「これからは勇者になって王国を盛り立てて行かなければなりません。このお二人と共に冒険し精進しますので、お姉様にもご指導ご鞭撻の程宜しくお願いします」
「ユキちゃん!今までそんなしおらしくした事ないじゃない!怖いです!今までずーっと上から目線で、全員格下だから好き放題やりたい放題で、周囲からは『兎人族の悪女』って呼ばれてたユキちゃんだよ?それが今朝のユイ殿とミキちゃんへの土下座に謝罪・・・何があったのよ!」
俺を殺そうとしてたのに、何があったかスッカリサッパリ分からない。傍若無人だったのが、今では清楚で可憐・・・今朝俺の寝床部屋に来た時は、この世の終わりで生き地獄を見た感じで青ざめた顔してたけどな。
「アスカお嬢様、ユキお嬢様は素晴らしき運命の出会いをされたのです!喜ばしいではありませんか!」
「脳筋の貴方からそんな難しい言葉が出るなんてやっぱり変です!しばらく自宅謹慎を命じます」
なんかアスカちゃんご乱心・・・気持ちはわからんではないが、マキちゃんも変わったよなぁ。
結局よく分からんが、謝罪して来たので俺達としては何も無かったからな。ユキちゃんは俺達の仲間になるわけだし、マキちゃんはアスカちゃんの護衛兼副組合長だし、凄く友好的になったような・・。
「先にアスカちゃん、この間は個人情報の開示を求めて断られたのは納得したんだけど、今回は家紋の絵柄の情報があったら教えて欲しいんだけど?」
ミキも考えたな。俺の背中の家紋、一つは三日月・狼・刀二本の【マキバ】と、もう一つは太陽・桜・槍の【ソウマ】の家紋の絵図を紙に書いて依頼を出したんだな。ってかもう一つの家紋は・・・熊・刀二本?二刀の影が多いな・・六?合計八?後は三日月じゃないな・・・三日月みたいのが光ってるから皆既日食か皆既月食か?知らない絵図だな・・。
「全力で情報を集めますのでご安心下さい!」
「脳筋!ギルマスの私を差し置いて勝手に受諾しないで下さい!まぁ依頼は受けるんですけどね。ってか早く帰れ!」
マキちゃん、汗タラタラだけど大丈夫か?護衛対象から自宅謹慎を言い渡され、勝手に依頼を受けたわけだから汗もダラダラに出るな。
そういえばマキちゃんに聞きたい事があった・・ような無かったような?まぁ忘れるくらいどうでも良い事なんだろうな。
「では勇者パーティー登録用紙を書いて勇者課へ送るので、班長を決めて下さい」
「はい!ミキがやります!」
元気に手を挙げて良いぞ、やれば良いと思うぞ。面倒くさそうだけどな。
「はい!僭越ながら私がさせて頂きます」
ユキちゃんもか!手をそーっと挙げる仕草は可愛いな。面倒くさいけど頑張れ。二人で話し合って決めるんだぞ。間違っても喧嘩はしないようにな。
「ユキお嬢様もミキお嬢様も頑張れー!」
「筋肉は帰れ!・・で?どっちがするの?」
「おに・・ユイちゃんも手を挙げて『はいはーい!俺も俺も!』ってしないとノリが悪いよ?」
そんなもんか?何でそんな面倒くさい事言うかなぁ。
んじゃまぁ・・・手を挙げて『はいはーい!俺も俺も!』って感じか?こんな感じか?
「「宜しくお願いします!」」
「では決まりですね!班長はユイ・モニエ・ブルガイヤー・・・と!」
はぁいー!?え?何?お・俺が班長なの?さっきノリでって言ってたんじゃ・・・?
「ほら〜ノリは道連れ世は情け、ボケとツッコミ世の常識って言うでしょ?」
言わねぇし知らんわぁー!




