閑話︰国王と銭湯
「国王・・はぁ・・またこちらですか?」
宰相・・・、ワシがスポポンのポンの時に毎回毎回入って来るんじゃない!そんなにワシの裸が見たいのか?ワシにはそんな趣味は無い!帰れ!
「すんごい嫌そーな顔で『シッシッ!』って手振りはお辞め下さい。目を通して頂きたい書類がありますので」
先程片付けたよな?そうじゃろ?
昼夜問わず公務でワシを散々こき使いおって、書類に目を通してサインして・・・文句言えば『国民の為〜国民の為』と呪文の様に言うし、国民は大事じゃがワシも大事にしてくれ!楽しみも無いと公務やらんぞ?
その楽しみがこの浴場だ!ここは良いぞ、一人でのんびり過ごして疲れも取れるからのぉ。お前も入りたいのか?
「だからと言って冒険者ユイ殿が作られた『銭湯』に毎日脚を運ぶ事もないでしょうに。お部屋の隣にも浴場はあるではないですか・・・」
ワシの部屋の隣の浴場か?あそこはゆっくり出来ん。侍女達がわんさかおるでな。とりあえずお前も入れ!そこで突っ立ってられてはゆっくり出来ん。たまには死んだ友人の息子と昔話もしたいからのぉ。
「お主は相も変わらず貧弱ななりじゃの!お主の親父はゴリラ人族にも劣らぬ筋肉じゃった」
「何事も筋力と武力で解決する方でしたから・・・。それを見て憧れておりましたが、努力しても私には得られなかった力でした」
まぁ前宰相であった友人は昔から脳筋じゃったが、ワシを支えてくれたからのぉ。お主にはお主の親父には無い文才に長けておるから、そのままワシを支えてくれれば良いからの。・・・ワシ、このような息子が欲しいんじゃが、妻子持ちじゃったな・・・。
「内密なお話なんですが、近衛隊長が目を覚ましました」
やっと起きたか。
「事情聴取した結果、ここ十数日の記憶が無く、最後の記憶としてはスライムが体内へ入り込んで意識が遠のいたとの事でした」
という事は天使の使いであるスライムが、我が王都の崩壊を企んだのか?それともユキを狙ったのか?
確かスライムは『神の使徒が三匹か』と言っておったな。ユキ、ミキ、マキ、ユイ・・・人数が合わんな?ユキを入れてなかったか、金庫内に居たマキを入れてなかったのか?もしかしたらユイの魔力・・・全く出してなかったからスライムが検索忘れたか?今からじゃ真相は分からんのぉ。
「現場復帰出来るならさせよ。マインドゴブリンが取り付いておった者も同様にな」
「御意」
ユイ達はコタゴリラへ帰還するんじゃったな・・。あの速度なら半日足らずで到着するのぉ。
物凄く大事な事を忘れてるような・・。まぁ忘れるくらいの事なんじゃろ?
「私もアスカ皇女が作られた『肉鎧』を装着して見た目だけでもお父様のようっ!国王!急に立ち上がってどうされたんですか!?私の顔に危険物を近付けないで下さい!」
そうじゃった『肉鎧』じゃった!ユイがアスカの肉鎧を壊したって言ってたな!今アスカとユキを会わせるわけにはいかん!・・・ユイとミキがおるから大丈・・夫な事はないな。
「宰相!アスカが研究で使ってた部屋から『肉鎧ゔぁーじょん四改』じゃったか?確かデカイ魔石があれば完成だったか?あれと魔石をコタゴリラのギルドマスターに大至急送っておいてくれ。転送魔法陣の使用は許可する」
「国王、公私混同ではありませんか!?何故にコタゴリラのギルドマスターに?」
「コタゴリラが消滅するぞ?」




