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妹をたずねて三極里  作者: OTLはにぃ
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第弐話 下駄と試合


にわかに信じられん!あの校長は何を考えてるんだ?パネェ!」

事の発端は、ミキがワン公とニャンコとジャレあって、この禿げに止められ冒険者組合長の個室に呼ばれた。もちろん俺とミキだ。

んで、冒険者養成学校の校長から冒険者組合長の手紙を「必ず渡して下さいお願いします番長!」って校長と全教員に土下座され、組合長に渡したら滝の様な汗を流して独り言言ってる最中。パネェって何だ?

何故か見た目は怖そうな海坊主なのに、「何処から声出してるの?」ってくらい可愛らしい女の子の声。階段の所で聞いたおっさん声とは別人?中に人が入って操作してる?そんなありえない空想を思ってしまった。

それにしても、この組合長の部屋に置いてるゴリラ族のムキムキ銅像が十二体・・・変な趣味ってか今動いたよな!あー組合長の護衛なのかな?


手紙の内容は、

『我が校卒業生アスカ君へ。信じられないと思うが、私は過去最悪で最強・最凶・最恐の小人族は見た事も聞いた事もない。君以上の問題児だ(問題児発言は本人達には言わないでくれ)

実例だが、迷路の草原【パダン・ルムフト・ラビリンス】を真っ直ぐ進んで当校に来たんだ。文字通り真っ直ぐにな!天使様でも破壊不能の壁を、紙を突き破るみたいに壊して来たのを私は見たからな。

もう一つ実例だが、育成学校から見える硬山こうざん【グヌン・カク】の中腹に穴を開けたのはドラゴンでも魔王でも天使様でもなく彼女だ。更に穴を開けた勢いが止まらず、直線上にあった朱月【ブラン・メラー】が永久に三日月になったのだよ。

最後にミキ番長の側にモニエ《猿人族》が居ると思うが、彼を不快にさせてはならない。彼の保護者ミキ番長の逆鱗に触れ、コタゴリラの街が消滅しかねないからな。この私も過去彼を不快にさせてしまい、教員及び生徒全員を・・・。

くれぐれも失礼の無いようにしてくれたまえ。』

実際に冒険者養成学校であった話と、ミキの事が書かれてるだけだな。しかしあの校長、こんなに可愛らしいミキを恐怖の大魔王扱いしてるよな?まだまだミキは本気を出してないし、伸び代もある。頼もしい弟子だ。が、俺から離れてくれ。まぁまだ左腕にしがみついてるだけだから良いか・・・。

しかし・・・この巨大黒ハゲ筋肉達磨の名前って《アスカ》とは、また可愛い名前だな。アスカちゃんって呼んだら殺されそうだな・・・。


「ゴホンッ!あーあーん、とりあえず分かったが・・・ギルドの方針にはしたがってもらうからな?後ワシの事はギルドマスターと呼ぶようにな」

また声がおっさん声に戻ったな。面白い。

「ここに書かれてる手紙の事だが、迷路の草原【パダン・ルムフト・ラビリンス】や硬山こうざん【グヌン・カク】等の出来事は信用出来ない。更に、ギルド内の揉め事は御法度!よって階級を一段階下げる処分を言い渡す。それにモニエ《猿人族》は好かん。」

犬ッコロが仕掛けて来たのに?子猫が仕掛けて来たのに?何故こちら側だけが処分されないといけないのか・・・。んじゃ次からはどの様に対応すれば良いのか確認しておかないとな。あぁ階級が六級から七級に降級されると小鬼討伐が行けないのか・・・。資金は大丈夫だけど、七級は街周辺の狩りしか出来ないし、遠征も出来ないから不都合なんだよな・・・。めんどくさいな。

「アスカちゃん?わん公もニャンコもギルド内で私達に仕掛けて来たのだから、先にその処罰が必要じゃなくって?それにモニエ《猿人族》は好かんって言ってるけど、あの大戦から千年以上経ってし、ギルドマスターが言うのは今後問題になるんじゃないの?私達の強さを知らずに良く言えたわね!」

見上げるのが嫌だからって、俺の左腕からよじ登りながら俺の頭の上に乗るのは止めような?俺の服や耳・髪を掴んでよじ登って、足を肩に乗せて滑って髪を掴んでたから落ちずにまた登って・・・俺は岩とか岩壁か?

巨大黒ハゲ筋肉達磨のアスカちゃんが座っていても俺より高いけど、ミキが俺の頭の上に立つ事によりアスカちゃんより少し高くなって見下ろしてる感じだな。

「ほう?ワシに意見するとはなーお嬢ちゃん。その実力試してやる。お前らはさっさと地下訓練場の準備をしてこい。医療班も呼んでおけよ!」

「「「「「イエス!サー!」」」」」


巨大黒ヒゲ筋肉達磨との模擬戦?実力を見るって事は模擬戦で良いんだよな?まぁミキが相手するんだから俺は見てるだけだ。しかし、組合長室の筋肉銅像が全て動き出してここへ連れて来られたのがビックリだったな。

「小人族の少女よ、ミキと言ったか?ワシに啖呵切ったからには腕一本では済まさんぞ?」

「負けたらランクダウンで良いわ!でも、勝ったらどうするおつもり?」

「それはワシに勝った時に聞いてやる。審判!さっさと始めんか!」

「んじゃ〜おに・・・ユイちゃん頑張って!」

は?ミキが相手をするんじゃないのか!また俺をハメたな!いつもいつも俺を出させるんじゃないよ!めんどくさい!

「猿か・・・目を隠してワシとまともに戦えるのか?背中の荷物と小人族の少女は良いのか?

今から辞退するならギルドカードの抹消で許してやるぞ?」

「(ブチッ)はー!?舐めるなよアスカちゃん!全力で来な!」

挑発に乗るなよ!だいたいミキがヤるんじゃないのに・・・ってか俺の背負ってる金庫の上に座って、足は俺の首に交差させ、両手は俺の耳を掴んでるんだ?降りろよ!

「審判!始めろ!」

アスカちゃんも少し切れてるな。だいぶ闘気が漏れて身体中から溢れ出てるし、両拳に拳鍔ケンツバ付けてるって事は拳闘士か武闘家か・・・。俺もまだ武器を持ってないから素手で相手にするか。ってかミキ、降りろよ。

「カーン!」

「いきなり死ぬなよ!フンッ!」

いきなり距離を詰めて来て、左拳を上から俺の頭に向かって振り下ろし潰す気だな。

避けながら拳の力を少しばかり左へ、風圧ごと俺の右手でチョイと流れを変える。

「うおっ!(ズボーン)」

俺の左後方に筋肉達磨が飛んで、左拳が地面にめり込んだ。が、体制が崩れてたから、身体が更に飛んで地面に転がった。あの巨体で弾丸並の速さとは、流石組合長ってところだけど・・・凄く遅い。いつも思うんだが、戦闘になると必ず相手がもの凄く遅くなり、俺がもの凄く早くなってるらしいのだがよく分からん。

「ガッハッハッ!ワシの一撃をくうの技で凌いだのはお前が初めてじゃわ!ふんどしを締め直すかの!」

雰囲気が変わったな。闘気の流れが身体全体を纏う様に厚くなった。ということは、先程の弾丸並より更に速度が上がり、速度が上がる分力も数段上がるか。それにしても、筋肉の盛り上がりが凄いな。限界まで筋肉を圧縮と膨張させて、血管がうねる様に浮き出て今にも切れそうに思える。腰を落として、両手を地面に着き仕切り・・・って相撲か?

「次は確実に仕留める!」

仕留めるっておいっ!模擬戦が殺し合う死合に変わってるじゃないか!組合長・・・自重しろよ。頭が痛いわ。

「さぁ来なさい!全力でもおに・・ユイちゃんには敵わないけどね!」

お前も挑発するなっ!更にめんどくさい事になるじゃねえか!っていうかまだ俺の背中から降りないのかこの子は・・・。

「土魔法︰城壁ゴゴゴゴゴ・・・

俺の左右と後方に地面から壁がせり上ってきたが、これは俺を逃がさない為なんだろうけど・・・簡単に避ける事も出来るが、それでは面白くないな。ってか下駄脱げよ!

「はっけよーい・・・のこった!(ドンッ)」

下駄を脱がなかったのは、力が地面に伝わった勢いで割れてしまっても問題なく突進出来るようにか。

さて・・・案として、デコピン・・・頭が吹っ飛ぶかな?まだまだ自分自身の力の制御が出来てないからな。

ん?待てよ?頭から突っ込んで来るのか、突っ張りなのか、張り手なのか、拳鍔ケンツバで殴って来るのか、かちあげもあるよな?四つに組むのもあるが、俺の左右と後方には土魔法の城壁で分厚そうだから、張り手か殴って来るのだろうな。そう考えると受けて立とうと思うが・・・一丈ちょい(約三・三メートル)の巨大黒ヒゲ筋肉達磨と組みたくないし、殴り合う・・・一方的に殴ってしまうか。やはり「空」の技で投げるか、躱すのは城壁があるか・・・悩む。

「勝負あり!!」

ん?・・・あっ!俺「空」の投げ技を使ってたのか!

後ろの城壁が粉砕されて、巨大黒ヒゲ筋肉達磨が仰向け大の字で倒れている。彼の右手がネジ切れそうで、左手は曲がってはいけない方向に・・・。推測すると、彼の右手を掴んで捻り投げてしまったので、左手で城壁への激突を伏せごうとして手首・肘・肩関節が耐えきれずに折れて、背中から城壁に激突・破壊・転倒ってところか。

「「「「ギルドマスター!!!」」」」

組合長室に居た黒像・・・基、黒ハゲ筋肉集団が組合長に集まって来た。黒い医療班が回復魔法を使用・・・しない?ピッチピチの白い半袖のワイシャツのボタンを外して、白い肌着タンクトップを捲り上げ・・・。

「右が五・九・六・三、繰り返す!右が五・九・六・三!左が四・六・四・九、繰り返す!左が四・六・四・九!」

医療班の班長だか隊長だか責任者なのか良く分からないが、数字を大声で言ってたけど何をする?俺が言えた義理は無いが、早く回復魔法か水薬・・【ぽーしょん】ってのを飲ませないと駄目じゃないのか?

医療班のあれは・・・ゴリラ人族の女性だろうか?何故かは分からないが、黒い肌に白い下着か?筋肉をそんなに魅せたいのか?たぶん水着であってくれ。組合長の両乳首をクルクルと回す?イジってないで早く回復魔法・・・。

「おに・・ユイちゃん。安心して見ててね」

・・・ミキが見てろと言うなら何もしないが・・・。

「リーダー!ダイヤル合わせました!」

ゴリラ人族の女性が組合長の両乳首をイジり終わって、リーダーって名前?のゴリラ人族・・・先程の班長だか隊長だか責任者に報告か。

「よし!ヘソを押すんだ!」

・・・いちいち筋肉を盛り上げなくても良くない?本当に面倒くさい連中だな!

「ポチッとな!」

だーかーらー筋肉盛り上げなくて良いんだって!

「(プシュー!)」

胸からヘソの中心から扉の様に左右へ開いたけど・・・もう人ではないんだな?あれは何なんだ?

「あれはね肉鎧にくよろいって言って、魔獣や魔物との戦闘用に開発された魔導具なんだけど、操作が凄く難しくて誰も使わないし、もの凄く高いの!確か・・あの当時で黒金貨が二枚か三枚だったかな?」

黒金貨って事は・・一枚が前世の百億円、三枚で三百億円・・・俺、壊しちゃった?弁償って言われたらどうしよう!

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