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妹をたずねて三極里  作者: OTLはにぃ
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第十八話 皇女と幕引


「ふんっ〜〜っ!無理・・おっも!金庫より重いよね?これって!」

ミキが俺の紙を見て駆けつけ、早速貰った矛を検証してるが、重くて持てないみたいだな。前世で使ってた鉄槍の方が重たかったけどな。そういえば俺、背中に背負ってる金庫も軽かったよな。

「【鑑定カンジョウ】・・・切れないけど切った箇所が激痛と動作不良や壊死状態・・・え?タダで貰ったの?良いな〜!」

ミキは三つ貰えるんだろ?贅沢言ったらバチが当たるぞ?それよりも決めたのか?

「【検索サーチ】して【鑑定カンジョウ】したんだけど、決め手に欠けるのよね・・・ユイちゃんと相談しようと思ってね!」

ミキが珍しく俺に相談とは・・・。【鑑定カンテイ】の魔法なのに【カンジョウ】って言うんだな・・初めて知ったぞ。ってか左腕に抱きつくのはいつもだけど、抱きついたまま俺の耳朶みみたぶを噛むなよ・・・痛くないけど。

ん〜そうだな、ミキの能力向上を考えるなら筋力増強と速度強化だし、苦手の克服なら魔力操作だな。魔力操作は俺自身も苦手というか課題ではあるわな。極少の魔力を出すのがな・・・。

「この剣は貰ったも同然ですよね!先に使わせて下さいね!お父様」

ここにある武器や防具は・・・ミキが使うには大き過ぎるし、耳飾りや首輪や腕輪も大きいな。俺が手直しすれば良いけど、効果が今使ってるのより劣るから要らないかな。

「おいっ!今直ぐ死合するわよ!衛兵!そいつを闘技場へ連れて行きなさい!」


王城内の闘技場。

まだ選んでないのに、この娘はせっかちだな。まぁ実力を確認したかったから問題ないけど。

「おに・・ユイちゃん!貰った矛は色々と面倒臭い得物だから、伝説の張り扇でやった方が良さそうよ」

あの矛は面倒臭いのか!まぁ後で検証するか。

とりあえずミキと金庫を置いて・・・ミキ・・降りてくれ・・・面倒くさそうな顔するなって。・・金庫の上にミキを乗せて、張り扇持ったな。

「さぁ一方的に殺られなさい!防具も着けずにそんな武器を持つくらいなら、土下座して首を差し出しなさい!」

本当にこの世界は命が軽いよな。反対の立場になって考えた事がないんだよな?自分さえ良ければ他人事ひとごとなんてどうでもいいって連中ばかり見て来たよな。まぁ国王おっさんの娘だからって甘い事はする気もないけど、舐めて挑むとしっぺ返しがあるのを覚えてもらおうかね。

「どちらかが戦闘不能か降参すれば終了とする!では始め!」

娘の得物は両刃短剣の二刀流。俺が作った服に、髪を後ろで一纏めにしてる《ぽにーてーる》だったか?

『始め!』の合図で突っ込んで来るのは良いけど、身長差が約六十cm(娘が約百二十cm、俺が約百八十cm)あるから足元を狙うか・・・。立ち位置を変えるか。しっかし遅いよな!なんでそんなにゆっくりなんだろうな?

「これで終わりよ!それ!・・・あれ?」

俺の両足首の踵骨腱しょうこつけんを狙うのはもう少し後じゃないか?相手(俺)の実力を全く測ろうとしてない証拠だな。こりゃ〜鍛えるのに時間が掛かりそうだ・・・面倒くさい。

「何で避けるのよ!次は!」

また突進?と思いきや今度は左右に小刻みに陽動しながら俺の目の前で後方に回り込み首を狙うか・・・。んじゃ娘の後方に回り込んで、お尻に張り扇一発。(スパーッン!)

「今度こそ!・・あ痛ったー!・・・何で殺られないのよ!ってか目の前から一瞬で消えたよね!」

この張り扇はもの凄く痛いだけで、外傷も内傷も無いからな。今のはお尻だから我慢は出来るか。有り難い事に俺の強過ぎる力でもこの張り扇は一定の激痛だけだし壊れもしない優れ物!正に伝説の張り扇!

「連続【ファイヤーボール】!」

今度は無数の火の玉を飛ばして来たのか・・・娘の背後に回り込んで、お尻に張り扇一発。(スパーッン!)

「おぉぉぉぉ!」

あぁ〜あ・・・お尻に両手を乗せて転げる転げる。これじゃ何時まで立っても俺の髪の毛一本も切れやしないな。どうするかな・・・?

お?激痛でも立って来るか。

「痛った〜!貴方レベルは?」

・・・『れべる』って何だっけ?・・・あ〜ミキが前に言ってたな・・・相手を納得させるなら『測定不能』で、挑発するなら『二万』で、追い返すなら『二千』だったか?この場合、早く終わりたいから・・・。

『二千?』

「挑発とは・・・荷物持ちの分際で!」

え?俺間違えた?

『測定不能?』

「そんなヤツいないに決まってるでしょ!」

おいおいおいおい怒気が凄まじいな!怒り頂点でプルプルと震えながら言ってるけど、俺は(最初は間違えたけど)教えられた通りに言った(書いて見せた)だけだぞ?何も間違えていないよな?どういう事だミキ先生?


・・・ミキ・・腹抱えて笑うなよ・・。



半刻(約一時間)後・・・。

「はぁはぁ・・はぁ・・」

娘は立ってた・・・相当な激痛なのに・・・それに他(娘の家来か『アサシン』って言ってた)三十二名は激痛で悶え倒れてる。

「さギュゥ(猿)の荷物持ちが、魔力無いし目隠しして喋らないし、攻撃が当たらず魔法も変な武器で跳ね返すし避けるし、一瞬で私の背後に回ってお尻を引っぱたかれるし、私のアサシン部隊を倒すし何様なのよ!いい加減死になさい!」

凄いな!一呼吸で言いたい事言ったな!

俺はもう飽きてきた・・・面倒くさいから・・もう負けで良いから帰って良い?ミキちゃん助けて!

『ガンバレ!』

振り向いたらそれか!前から書いてたな?

俺の真似するんじゃねーよ!今日の食事は減らすからな!

「お馬鹿なさギュ(猿)ね!最大級魔力の業火で塵になりなさい!【狂炎ギラフレイム】!」

俺の足元から炎の柱が出たのか。俺を包み込む狂った炎がまとわりつき、灰も残らず塵になるのか・・・。これぐらいの火でも衣服は焦げたりしないんだな。材料は龍の鱗だったか?ってかこの火って熱いのか?全く燃えないし熱くもない・・・問題なく呼吸も出来てる。まぁ炎が赤と橙の時点で火力が弱いんだよな。

もう出て良いかな?本気で飽きた。

「油断するから塵になるのよ!時間を稼いで魔力を練った甲斐があるわ!お父様?私の勝ちですわ!」

「・・・馬鹿娘・・・御仁を良く見ろ!」

おっさん、頭抱えての脱力感が凄く伝わって来るぞ?勝ち誇った笑顔を見せられてガッカリするよな?ミキも同じ事をやったからな!

やっと火が消えたか。娘は体力も魔力も甲斐性も無い・・・さて、どう出るかな?

「そっ!そんなっ!」

凄く驚いてるな。この後の戦闘をどうするのか見物だな。新たな助っ人を呼ぶのか、精神力だけで立ち向かって来るのか、卑怯な手段で嵌めて来るのか・・・。


「ごめんなさい・・・死んで下さい!」

土下座して頼むのか!

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