第十話 拷問と号泣
「何じゃこりゃ〜!・・・すまぬ、今の状態に頭が混乱してもうたわ」
『水薬をぶっかけるけど、文句言うなよ?』
「・・・ぶっかけてから見せるなや!」
ちょっと怒られたけど気にしないが、おっさん泣いてる?まぁ男の涙は言わないのが粋だろう。
クリンチ《兎人族》のおっさん、身長五尺四寸(約一メートル六十四センチメートル)白髪の長髪に白く長いウサ耳があり、顔・・結構怖そうな感じだけど優しい雰囲気で、痩せてるが凄く筋肉質、脚はもっと筋肉隆々。まぁ痩せてるのは投獄されてたからだろう。
おっさん、身体の調子を見てるのか?そりゃそうだな!瀕死だったのが急に全回復、更には欠損部位まで元に戻ったんだからな。・・・何だ?真剣な顔して・・・?
『水薬をぶっかけるけど、文句言うなよ?』
「もう一つ頼んでも良かろうか。一番奥の扉にワシの娘が投獄されとるんじゃが・・そのポーションで癒してもらえんだろうか・・・頼む!」
書いた紙を無視しやがった!・・・まぁいいや。
このおっさん、俺がモニエ《猿人族》だって分かってるのに頭を下げてくるのか?初めてかな?いや、ミキがいたな。
この世界・・・異世界に来て《猿人族》って事で蔑まれ貶され騙し欺き、平気で殺そうとしてくる。逆の事は考えないのか?約千年前の大戦が原因かもしれんが、俺は知らん!
まぁおっさんの涙は純粋に友人への思いと、おっさん自身の回復だと思うから、この後の行動・言動で判断するか。
んで?おっさんの娘か・・・分かった・・・とりあえず・・・これ。
『水薬をぶっかけるけど、文句言うなよ?』
「娘の命を救ってくれるなら文句などない!」
言質取ったからな。めんどくさいから後で文句言うなよ?ちゃんと娘にも言っておいてくれよ?
さて、一番奥の牢獄か、凄く頑丈そうだが?・・あっ!やっぱり建付け悪いな。扉ごと外れてしまったな。まぁいいや、中に入ると・・・拷問部屋?人に苦痛を与える道具が左右の壁に掛けられて、正面には両手両足を鎖で縛られ立ってる女の子。白いウサ耳に身長四尺(約一メートル二十センチメートル)くらいで、胸元くらいの黄色い髪、白い肌に首と腕が通る穴を開けたボロボロの麻袋を着ているだけ・・・顔が殴られ蹴られ腫れ上がり歯が何本か落ちてる。身体に火傷や切傷・打撲や骨折もして、爪も剥がされてるな。おっさんと同じで瀕死状態だから《極チン》ぶっかけておくか。
《極チン》は、俺が冒険者育成学校で作ってしまった究極の水薬?らしい。
学校の図書室でこの世界の何処かに居る妹の情報があるかを調べた結果、一つの結論が出た。分からん!
妹の行方は分からなかったが、この世界の知識は身に付いたと思う。その一つが回復水薬だが、必要な材料と魔力、そして手順は問題なく行ったつもりだったんだが・・・。ミキ曰く『世界大戦規模の代物だから気軽に使わないように』って言われてたな。
確認出来た事例が、全ての傷や病気を癒し欠損部位の復元、状態異常(毒や麻痺等)も癒しす。更に体力・魔力・披露も回復し、美容と健康に良いらしい・・・本当か?
「とりあえずまだ寝かせてあげときましょ」
「うおぉ〜ありがとう〜うお〜!」
ミキがいつの間にか俺の頭の上に乗って言ってくれた。んで、おっさん俺の胸で泣くな!めんどくさい!
俺のシャツ・・・ビショビショ・・・涙と鼻水と涎で・・・。




