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妹をたずねて三極里  作者: OTLはにぃ
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荷物持ちはじめました! 第壱話 冒険と下駄


「おに・・・ユイちゃん、この街の冒険者ギルド・・・冒険者組合は中央広場にあるからね」

ミキよ・・前から言ってるが、鬼呼ばわりするのは止めてくれ。それに師匠って呼べって言ってるのに『鬼ユイちゃん』って呼ぶしな。

まぁ確かに鬼の所業らしい行為はしたかもしれんが、あれはどちらかっていうと正当防衛じゃねえの?街に入る前に門番や護衛騎士やら弓兵隊やら騎馬隊やらで、『これから怪獣討伐ですか?お疲れ様です』って言う程の軍隊が出て来て、囲まれ殺されそうだったしな。まぁ俺は見てただけで、実際全てぶっ飛ばしたのは・・・ミキだが。

別の場所で俺がやった時は・・・ちょっと威圧しただけで全員が気絶で失禁してた者もいたな。ほんの少しだったんだがな?未だに力の制御が出来てないか。

ミキからは『全開威圧は世界が滅亡するから絶対駄目!』と口説い程言われるくらいだからな。

俺の《ユイ・モニエ・ブルガイヤー・カオス》っていう横文字だらけの名前。ユイが名前で、モニエってのが《猿人族》という種族名らしい。その次に苗字のブルガリアーなんだが、俺のはまだ後ろに《カオス》ってあるけど、意味がわからん。前世では苗字と名前だけだったんだけどな・・・。

んで《猿人族》は千三年前の戦争が原因で今だに迫害者らしいが、冒険者養成学校では一応平等と言ってたけど、嫌われてたな・・・俺。でも、卒業の時には全員舎弟だったなぁ・・・ミキの。

ちなみに俺の左腕に掴まってる女の子は《ミキ・クルディオ・アモル》。俺の弟子だ。ミキが名前でクルディオってのが《小人族》だそうな。身の丈(身長)は二尺一寸(約六十三センチメートル)だったか?髪型や服装については・・・髪色は桃色・・・いや桜色で、髪型は横に二つ結んでる・・・《ついんてーる》と言うらしい。服装は・・・ミキが講釈たれてたけど理解出来なかった。

ミキ曰く、『白黒ピンクのゴスロリで、フリル盛り盛りだよ!胸元はセクシーさをアピールする為に、谷間を見せつつ戦闘ではだけないようにリボンで縛ってるのよ!靴紐みたいに縛って谷間を強調してるの分かる?分かるよね?それにぃ私ぃ〜風魔法が得意じゃない?パニエの下にさらにドロワーズ履いて〜おパンツが見えないようにしてるのよ?ちなみにスカートは膝上三センチよ!かなり攻めてるでしょ!あとねあとね〜この靴は膝下までのロングブーツなの。真っ黒で靴紐がピンクなのがオシャレさんなのよね〜!』

って言われてもさっぱり分からん!だいたい横文字が苦手で分からん!意味は分からんが、可愛い洋服なのは見て分かる。膝上一寸(約三センチ)って言われてもな・・・。

とりあえずこのコタゴリラの街で、冒険者活動しながら妹を探さないとな。俺の妹ならば必ず冒険者になってるはず。先ずは冒険者組合で求人や依頼情報を確認し、妹の情報も集めないとな。



ここが冒険者組合か?凄く大きな建物だな。木材・コンクリート・煉瓦の最新技術が使われてるんだな。あーそうか、魔法が建築にも使われてるんだったな。

「おに・・ユイちゃん、ギルド・・組合は冒険者、職人、商業、医療、運搬の五つがあってね、この建物には全部入ってるの。一階は受付と酒場で、二階には医療室や商談室やミーティングルーム・・・会議室って言った方が良いわね。三階は各ギルド長・・組合長の個室や資料室やらがあって、四階より上は知らな〜い。依頼品の買取は入口が別だから、後で行こうね」

ミキは凄いな。俺の知りたい事を教えてくれるからな。頭撫でてやろう。

「おに・・ユイちゃんに撫でられるの好きーデヘェ」

相変わらず嬉しそうな顔をするよな。でも鬼は辞めような?

という事は一階の受付に行けば良いのか。



大きい扉を開けると賑やかな声が右手側から聞こえ、左の壁には大きな掲示板があり、各階級別に依頼用紙が張り出されているんだな。かなりの人数が壁の依頼用紙を見てるな。馬の刻(七時)が過ぎてる位だし、依頼を受けて仕事するから多いんだな。

奥へ進むと各組合の受付があって、左から医療、冒険者、運搬、最後に酒場。酒場の棚奥に厨房があるのか。

ミキ曰く依頼品の買取場所には冒険者(解体)、職人、商人、運搬の組合職員が駐在してるらしい。

依頼主が組合に依頼する内容と金額を提示し、冒険者が依頼を行い達成すると報酬を受け取れる。更に組合が依頼品の買取もしていて、素材を余すことなく解体から売買までされる。

例えば、依頼主が一角猪ほーんぼあの討伐依頼を、一匹につき銀貨五枚の報酬を提示したとする。組合がその金額の二割を取り分とし、掲示板に銀貨四枚の報酬として貼り出される。討伐依頼である為、死骸や魔石を証拠として提出すれば報酬が受け取れる。更に、死骸や魔石を相場で買い取ってくれるので、冒険者は当然危険が伴う仕事だが見返りが大きい。一角猪ほーんぼあ一匹が約二十四貫(約九十キログラム)を討伐して組合に持ち込んだ場合、死骸の状態による査定・買取金額を提示され、問題なければ査定金額が支払われる。良質なら銀貨十五枚程度、魔石が銀貨十五枚程度で、合計銀貨三十枚程度だ。

貨幣は全部で七種類。

鉄貨が一枚一円。

鉄貨百枚で一銅貨(百円)。

銅貨百枚で銀貨一枚(一万円)。

銀貨百枚で金貨一枚(百万円)。

金貨百枚で白金貨一枚(一億円)。

白金貨百枚で黒金貨一枚(百億円)。

黒金貨百枚で灰金貨一枚(一兆円)だったな。

灰金貨が二十枚もあれば前世の国家予算だわな。

組合で肉・皮・角・魔石・骨・その他貴重部位に解体され、解体費用と人件費は素材に分配される。依頼以外の肉は、組合が経営している酒場に卸され、調理されて冒険者がお金を支払い食べたり、一般人に販売される。食材以外の素材は、職人組合や医療組合が買取し加工され、商人組合が買取し販売。遠方に届ける場合は、運搬組合に依頼されている。輸送には護衛依頼を冒険者組合に依頼をし、報酬が支払われて道中で討伐された魔獣等は、運搬組合が冒険者から買取し冒険者組合と売買されるんだそうな。良い方法になってるんだな。輸送費・人件費が削減されていて、売買商品の有無確認が直ぐに出来る点や、横の連絡が即座に行えるのはとても効率が良いな。



「おい!何か臭くねぇか?すんげークソの臭いがプンプン漂ってくるぜ!?」

相当臭い人物が居るのか?俺の鼻では周辺に酒臭いやつばっかりみたいだがな。

「おい!オメーだよクソザル!」

あー俺か?今日はミキに言われたから、石鹸の香りにしたんだが、そんなに臭うのか?ミキには注意されなかったし、それに俺は綺麗好きなんだ。

言って来たのは五人組の・・《アンジン》犬人族の野郎共か。見た目は普通の人間だけど、犬の耳と尻尾があるんだよな。獣人って耳が四つもあるんだよな。見なくても分かるんだが、めんどくさいから無視しとこ。

「待て待てクソザル!テメーの来る場所じゃねーんだよ!それにその目隠しは何だ?目が見えねえならとっとと猿山に帰りやがれ!」

回り込んで俺の胸ぐらを掴んで、他の四人は俺達を囲むのか。面倒臭いワンコだな。

「それにクソ猿、背中のデカイ金庫にゃーお宝が入ってるのか?詫びに貰っといてやろう」

言いたい放題だな。とりあえず俺の胸ぐらを掴んでる手首を潰すか?やっぱり面倒臭いワン公だな。

「おいおい?テメー愛玩のチビ連れてんじゃん!これも俺達が貰っとく(ゴキッ)ギェー!」

「「「「ぐはっ!」」」」

あーあ、先にやっちゃったのか。俺の左腕に捕まってたミキが、胸ぐらを掴んでた犬人族の手首を軽く握り潰した感じだな。他の四人は風魔法で潰したんだな。風の重圧えあーなんちゃらだったか?あの四人、うつ伏せで肋骨折れたか?

「誰がチビだって?おに・・ユイちゃん!ワン公殴って良い?」

殴る前に手首握り潰して、他四人は風の重圧で床に押し倒し胃の物が逆流して嘔吐してるよな?俺に聞く前に・・・。まぁ正当防衛だけど、俺が胸ぐら掴まれたんだからな?それにミキ、危ない事はするなよ?ミキは俺より弱いんだからな。あーいう野郎は後で御礼参りと称してタチが悪いからな?チビって言われて怒るなよ。こっそりと誰にも見つからず処理するのが粋なんだぞ?

「テ・テメーら覚えておけよ!」

やっぱり三下の台詞を言って帰ったな。あれはかなり高い水薬・・・《ぽーしょん》だったな?が必要だな。水薬で瞬時に治るのが、未だに信じられないというか分からない事ばっかりだ。



「一昨日来やがれ!塩まいてやらー!」

ミキさんや、古い言い方するよな?一昨日来やがれって、二度と来るなと同じだからな。あと、塩はまかないで!塩は貴重で高価なの知ってるでしょうが。次やったらミキの持ってる調味料を全部取り上げるからな?

「私はおに・・ユイちゃんのおもちゃ・・きゃっ!」

愛玩ってのは愛でるんだったよな?何でミキが俺のおもちゃになるんだ?

何で頬赤くして嬉しそうな顔してんだ?めんどくっせーなー!


何にせよ冒険者の仕事をするのと、妹の手掛かりを探さないとな。とりあえずどんな依頼があるのかを確認と。

先程の乱闘を見ていたのか、俺達の周りは人が居なくなってるんだな。滝が割れる感じだな。掲示板まで歩き易い。

ところで、俺とミキの階級はいくつだったか・・・。

「おに・・ユイちゃんと同じ六級じゃない」

そうだった、忘れてた。

「はー!?Fランクの六級ごときで犬人族パーティを蹴散らしたのか?あいつらDランクの二級じゃなかったか?」

「索敵能力と危機察知能力はズバ抜けて高いし、戦闘でもかなりヤルって聞いたぜ?」

「リーダーとサブリーダーの兄弟が確か・・・Cランクの初段だったよな?次のクエストでC+の二段に昇段するって聞いたぞ?試験楽勝すぎるとかって・・・」

「あの猿、間違いなく殺されるな・・・」

「あの小人族は奴隷商に売られるか玩具か・・・」

物騒な事言ってるな。早めに退散した方が良いな。

先ずは一級上、五級の依頼書確認・・・。ゴブリンって小鬼だったか?

一枚目の依頼書が、

『東南二十キロ、ゴブリンの巣。巣周辺の残党狩り、ゴブリン一匹につき銀貨一枚。証明方法、魔石』

ゴブリン一匹で銀貨一枚、前世では一万円程度か。

二枚目、

『東南東四十五キロ、ゴブリンの巣。巣周辺の残党狩り、ゴブリン一匹につき銀貨一枚。証明方法、魔石』

三枚目、

『東七十三キロ、ゴブリンの巣窟。巣窟へのアタック。参加希望パーティーは受付にて登録。日時決定次第連絡。依頼階級は六級以上、上限なし。報酬は均等分配とする』

この辺はゴブリンが多いんだな。他の依頼が薬草や鉱石採集だが・・・意外に依頼数が極端に少ないような・・・。

「おに・・ユイちゃん、ゴブリンがこの辺に多いから、採集の依頼が少ないんだって」

なるほど、ゴブリンに襲われるから少ないのか。そうなると先にゴブリンを討伐しないと駄目なんだな。理解した。んじゃ〜どの依頼を受けるかが問題だが、三枚目の東の巣窟は登録するとして、東南東か東南のどちらかを受けようか・・・。

「近いからこっち〜!」

ミキ、東南か。近場から行くか。この依頼用紙を剥がして受付に持って行けば良いのか。

「お先にな!クソ猿!」

俺が依頼用紙を剥がそうと手を伸ばした瞬間に、横から取られ受付まで行こうとしていた野郎。意外に速いな。来るのは知ってたけど放置かな。直ぐに同じ依頼用紙が張り出されるだろうし問題ない。

んで?持って行ったのは《チーター》猫人族のヒョロい野郎で、美男子って言うのか?顔が整い過ぎて気持ち悪い。軽装備で武器は鉤爪の手甲。足にも鉤爪がある装備なんだな。今は鉤爪は収納されてるが、速さで翻弄する戦闘術だろうな。服装はもう少し考えた方が良いと思うぞ?衣服と防具全部に黒色斑点って、《チーター》ってのが直ぐ分かるけど、凝り性なのか個性なのか誇りなのか分からないけど、顔と一緒で気持ち悪いぞ。

「(ゴンッ!)いってー!・・・誰だ!このイケメン様に《エアーシールド》で邪魔するのは!」

チーター野郎の四方に風の壁が展開。またミキか・・・頭が痛い。放置で良いんだって!また面倒事を増やしたな!

「おいっ黒斑点のニャンコ、依頼書返せ」

だからミキ、放置しときなさいって!直ぐに同じ依頼書が貼られるから待とうぜ?それか、ちょっと遠いけど東南東にすればいいんじゃないのか?俺が走れば直ぐに到着するのは知ってるだろ?

「てめぇかー!ちんちくりんの分際で俺様に刃向かうのは!」

あーその言葉は駄目だ・・・もう手に負えん。

「ちょっとプチッって潰れなさい!《エアープレッシャー》!」

ちんちくりんって言われて切れたな。顔怖いし怒気凄いし、俺の腕締め付けてるし。痛くないけど。天井から風の壁を徐々に下ろすのは止めなさい。四方も囲まれてるから、そのうち全身の骨が砕けて圧死するぞ?

ミキは可愛いんだから、そんな残酷な殺り方は駄目だぞ?やるなら、恐怖心で二度と向かって来ないようにするのが良いんだぞ?

「おい!ちんちくりん!早く出せ!おいおいおい早く出せって!」

仕方ないな。めんどくさいけど、俺がミキの魔法を消すか・・・。

「そこまでだ!」

声を掛けて来たのは、階段から降りて来たゴリラ人族の男性。身長九尺三寸くらい、髪は綺麗に剃ってるのか無いのか分からないがツルツル、達磨の様な顔に真黒い肌で筋肉隆々、今にも弾けそうなピッチピチの白い半袖のワイシャツに、太腿付け根が見えるくらいの短いジーンズ、素足で下駄・・・下駄?この世界にも下駄があるのか!

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