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僕は異世界の君に恋をした。  作者: リアラフ
死者の国《ヘルヘイム》編
92/126

#92〜冥界の王の復活〜

死を司る女神ヘラによって計画が実行に移す事が宣言され、神聖教団十三騎兵のメンバー達はそれぞれ自分達に与えられたの役割ロールを全うすべく女王の間を後にする中、ヘラは白騎士、コルア、マイン、デュラハン、メイドのガングレトを呼び止めた。



「コルア、白騎士、マイン、デュラハン、ガングレト、お前達は少し残ってくれる?」


「かしこまりました。」



ヘラの呼び掛けに白騎士達はその場に止まり、他のメンバー達が女王の間を後にするのを確認したヘラは、なぜ白騎士達を呼び止めたのかを話し始めた。



「さて、お前達を呼び止めた理由は、コルアに与えた役割ロールの一つである、転生者ハルトの記憶の改変に白騎士達にも付き合って欲しいからだ。先も皆の前で説明したが、転生者ハルトには兄様達の”片割れのワンサイド・ソウル”を同化させ”冥界の王”として復活させる。しかし、記憶の改変を行ったとはいえ同化させた魂が完全にシンクロするのには時間がかかる…。そこで白騎士達に与えた役割ロールである”導き”の出番というわけだ。」



白騎士はその話を聞いてヘラが自分達に何を伝えたいのかを推測すると、自分の中で推測した考えを死を司る女神ヘラへと述べた。



「記憶の改変を行い”片割れの魂(ワンサイド・ソウル)”を同化させたとはいえ、記憶の改変を行った直後は脳にかなりの負担も掛かり、目覚めた直後は赤子も同然で転生者ハルトが”冥界の王”として真の覚醒するまでには多少の時間を要する…。そこで”導き”の役割ロールを与えられた我々が、目覚めた転生者ハルトを”冥界の王”として覚醒するよう”導く”…という事でしょうか?」



白騎士の推測した考えにヘラは感心した様子を見せた。



「その通りだ白騎士。お前のその推測力には毎度関心してしまうな。さて、今白騎士が言った通り記憶を改変し、”片割れの魂(ワンサイド・ソウル)”を同化させた状態で目覚めた転生者ハルトは赤子も同然の状態…。そこで白騎士、マイン、デュラハン、ガングレトの四人には目覚めた転生者ハルトが”冥界の王”として覚醒、そしてその力を存分に発揮できるよう冥界と地上界が繋がるまでの間、彼を導いてほしいのだ。」



ヘラは次に転生者ハルトをどのように導くのかについて白騎士達に話を続けた。



「まずガングレトには、転生者ハルトが目覚めてから”冥界の王”として覚醒に集中できるよう身の回り世話やサポートをお願いしたい。そして次に白騎士とマインの二人には、剣術や武術などの色派や知識を彼に叩き込んで欲しい。マインの話によれば、どうやら転生者ハルトは神の加護を持ってはいるがその力も十分に発揮する事さえ出来ず、剣術や武術に関しては素人も同然…。そうなのであろうマイン?」


「主様の仰る通り、私がイスタリアムで彼が刃と戦闘している姿を見た限りほとんど素人に近い状態で、刃に圧倒される状況が続き持っている力の半分…いや、二割も出せていないかと…。」



ハルトの戦闘する姿を間近で見たマインの感想と意見を聞いた上で、白騎士が反応した。



「黒騎士と共に行動しているのであれば、少なからず戦闘の基礎などは学んでいてもおかしくないはずだが…。今のマインの話を聞いた上で考えられる可能性の一つとして、転生者ハルトと黒騎士は出会ってまだ間もない間柄の可能性が……。」


「うむ。この話を聞いた上で私はある意味、転生者ハルトの今の状況はチャンスと捉えている。例え記憶を改ざんしたとしても身体に叩き込まれた癖や動きまで変える事は難しい…。だが、まだ染まりきっていない状態であれば白騎士とマインが教えた技術や知識をすぐに身体に馴染ませる事もでき、”冥界の王”として覚醒の促進にもなるのではないかと私は考えている。その事を踏まえた上で、ガングレト、白騎士、マイン、頼まれてくれるな?」



ガングレト、白騎士、マインの三人は、死を司る女神ヘラから与えられた”導きの役割ロール”を承諾した。



「そしてデュラハンに任せたい”導きの役割ロール”についてだが、デュラハンには”予言プロフェチア”の力を使って転生者ハルトを”冥界の王”として正しく導いて行ってほしい。私も転生者ハルトの側で出来る限り導いて行けるよう努めるつもりだが、それもいつか限界が来るだろう…。そこで最後に手を差し伸べる存在としての”導きの役割ロール”をデュラハンに任せたい。頼まれてくれるか?」



ヘラから”導きの役割ロール”を頼まれた”予言プロフェチア”の称号を持つデュランダルは、静かに頷くとその”導きの役割ロール”を承諾した。

そして、白騎士、マイン、デュラハン、ガングレトにそれぞれの”導きの役割ロール”を与えたヘラは玉座から立ち上がると、白騎士達に顔を上げるよう伝えガングレトに転生者ハルトが眠りに付いている元へ案内するよう頼むと、一同はガングレトの案内で転生者ハルトの元へと向かった。



「こちらでございます、主様。」



ガングレトの案内でハルトの元へ到着したヘラ達は部屋の中へと入った。

部屋の中は白の外観や内装同様に神秘的な装飾が施されており、部屋の奥に置かれている巨大なベッドの上でハルトは静かに眠りに付いていた。

そしてこの部屋の中にはハルトの姿意外にも眠った状態のハルトの世話や経過を観察する為に複数のメイド達がおり、ヘラはハルトの世話をしてくれたメイド達に感謝の気持ちを伝えると、後は自分達に任せて部屋から下がるよう指示を出し、メイド達はその指示に従い部屋を後にした。



「では早速、始めるとしよう…。」



ヘラはベットで静かに眠っているハルトに片手を翳し魔法陣を展開し始めた。

するとベットで静かに眠っていたハルトの身体が次第に宙に浮遊し始めると、ヘラは浮遊したハルトをコルアの元へ移動させその場に浮遊した状態でハルトを静止させた。



「ではコルア、記憶の改ざんを頼む。」


「かしこまりました。」



コルアは宙に浮遊している転生者ハルトの頭部へと両手を翳し魔法陣を展開し始めた。



「主様、どのような記憶に改ざんしましょう?」


「このような記憶に改ざんしてくれ。」



そう言うとヘラは自身の頭部に人差し指を当てると、自分の中で思い描いた記憶を取り出しそれをコルアへと見せた。



「………なるほど。かしこまりました。」


「頼んだぞ、コルア。」


「はい。」



そしてコルアはヘラの要望の通りに記憶の改ざんを行い、今までハルトの中にあったこれまでの記憶の全てを脳内の奥底へと沈めた。



「記憶の改ざんが終わりました主様。」


「感謝するコルアよ。さて、最後はこれだな…。」



ヘラは亜空間のようなものを出現させると、その中に手を入れ”赤く光り輝く片割れの球体”と”青に光り輝く片割れの球体”を取り出した。

そして取り出したその二つの片割れの球体を宙に浮遊しているハルトの元へ持っていくと、ヘラは続いてハルトを囲むように幾つもの魔法陣を展開させ詠唱を唱え始めた。



「我、死を司る女神ヘラなり。冥界に漂し二つの”片割れの魂(ワンサイド・ソウル)”よ。器になりしこの者の身体を苗床にし、新たなる冥王としてこの冥界に復活せよ…。」



詠唱を唱えていく毎にハルトの上に浮遊していた二つの光り輝く片割れの球体、”片割れの魂(ワンサイド・ソウル)”が一つに融合し新たな魂へと生まれ変わった。

ヘラは、二つの”片割れの魂(ワンサイド・ソウル)”が新たな魂へと生まれ変わったのを確認しその魂をハルトと同化させた。



「”輪廻転生リアカネーション”!!!」



その詠唱に共鳴した紫色に輝く新たな魂は眩い光を発しながらハルトの中へと入って行き、次第にその眩い光は周囲を包み込んでいった。

そしてしばらくすると周囲を包み込んでいた眩い光も次第に収まり、ハルトと二つの”片割れの魂(ワンサイド・ソウル)”の同化が完了した。



「これで兄様が…、新たな冥界の王が誕生した……。」



ヘラはこの時を待ち焦がれていたように声を震わせながらそう言うと、二つの”片割れの魂(ワンサイド・ソウル)”と同化したハルトの元へ向かい、その手を優しく取り握りしめた。

ハルトの手を握ったヘラの手は少し震えており、素顔を隠している仮面の下からは一粒の小さな涙がこぼれ落ち地面へと儚く散っていき、その様子を見た白騎士達は今までに無いヘラのその様子に驚きを隠せずにいた。



「主様…」



ガングレトは声を震わせ涙を流すヘラを心配し声を掛けた。



「…取り乱してしまってすまない……。長年想い続けた事が叶ってしまったせいか、気持ちを抑えられずにはいられなくてな…。」



それからヘラは呼吸を整えて気持ちを落ち着かせると白騎士達の方を振り返った。



「さて、これで”冥界の王”が復活し準備は整った…。コルアよ立て続けに頼み事をして申し訳ないが、至急結界を作る作業に取り掛かってはくれないか?」


「かしこまりました。では、私は一足先に……。」



コルアはそう言うと、結界を作る作業に取り掛かる為に一足先にハルトが眠る部屋を後にした。

そしてヘラは宙に浮遊しているハルトを再びベッドの上へと戻すと、白騎士、マイン、デュラハンには自分が戻って来るまでの間ハルトの元で待機するよう命じると、ガングレトと共に”医学メディカメント”の称号を持つ”アスピオス”、”鍛治ブラックスミス”の称号を持つ”へパイトス”の元へと向かったのだった。

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