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僕は異世界の君に恋をした。  作者: リアラフ
死者の国《ヘルヘイム》編
90/126

#90〜堕風の守護者シェハザム〜

《エリューズニル 女王の間にて》


身支度をすませ軍服に着替えたコルアは白騎士の後を追って”彼の方”が待つ女王の間に向かうと、そこには”彼の方”によって召集命令を受けたコルアと白騎士を合わせた十一名の教団のメンバーの姿があり、皆玉座の前で腰を下ろし地面に膝を付いて待機していた。


コルアは呼吸を整え、焦る気持ちを抑えながら静かな足取りで玉座の方へと向かうと他のメンバー同様に腰を下ろし地面へと膝を付けた。



「これで十二名全員揃ったようだな…。」



コルアが玉座の前で腰を下ろしたのを見計らって口を開いたのは、黒い軍服に身を包みブロンドに輝く長髪を一つに束ねた美しい顔立ちをした一人の男性だった。

その美しい顔立ちをした男性は自分を含め十二名のメンバーが揃ったところで、玉座に深く腰を下ろしている”彼の方”へ向けて自身の名を名乗り始めた。



「神聖教団十三騎兵統括にして”グラディウス”の称号を与えられし”モルドレッド”、そして戦死した影乃魔刃を除く十二名、主さまの名によりこのエリューズニルに馳せ参じました。」


「神聖教団十三騎兵の諸君、皆がこうして私の元へ再び集い顔を見れる事ができる事を私は嬉しく思う。」



”彼の方”は神聖教団十三騎兵のメンバーがエリューズニルに帰還し、自分の元へ集った事を十三騎兵のメンバー一人一人の顔を見ながら感謝の気持ちを述べた。



「さて、今回私が皆をこのエリューズニルに召集したのには理由がある。既に各々の耳には入っているとは思うが、今回皆を召集した理由は”あの計画”をついに実行に移す時が来たからだ。そしてこの計画を成し遂げるために、私が最も信頼している神聖教団十三騎兵である皆の力を私に貸して欲しい。」


「我々十三騎兵の心は常に主様と共にあります。そして主様の願いとあらば、その願いを叶えるべく誠心誠意力を尽くす事は当然の務め。何なりとお申し付けくださいませ。」


「そう言ってくれると心強いぞ、モルドレッドよ。流石十三騎兵をまとめる統括だけあるな。」


「ありがたき御言葉、感謝いたします。我が主様。」



モルドレッドが”彼の方”へ感謝の気持ちを伝えた後、白騎士は頃合いをみて自身の中で一つ疑問に思った事を”彼の方”へと質問した。



「一つお伺いしてもよろしいでしょうか?」


「どうした白騎士?」


「主様は”計画”実行に移すべく神聖教団十三騎兵の者達の力を貸して欲しいと仰いましたが、商業都市イスタリアムでの一件で神聖教団十三騎兵のメンバーの一人で、暗躍部隊を仕切っていた影乃魔刃はその戦いの最中戦死しました…。そして今、神聖教団十三騎兵には一つだけ席が空いております…。つまりそれはーーーーー」



白騎士の疑問に”彼の方”は静かに口を開き答えた。



「相変わらず察しがいいな白騎士、既に影乃魔刃が商業都市イスタリアムでの一件で名誉の戦死した事は他の者達の耳にも入っている事だろう。そして先ほど白騎士が言った通り、神聖教団十三騎兵のメンバーの枠に一つだけ席が空いている。そこで今回、”あの計画”を実行に移す前に皆に新たな十三騎兵の新たなメンバーを紹介しようと思う。」


「新たな十三騎兵のメンバーですか……。」


「では紹介しよう、新たな神聖教団十三騎兵のメンバー、堕天使サタンが率いるリベリオン軍の失楽の守護者の一人、”堕風の守護者 シェムハザ”だ。」


『!?』



”彼の方”のその言葉と共に女王の間に嵐のような突風が女王の間に巻き起こると、巻き起こった突風の中心から黒い軍服に身を包み、膝よりも短いスカートと緑の鮮やかなグラデーションをした髪を靡かせながら、白騎士達の前に一人の少女が姿を現した。



「ご紹介にありました通り、サタン様が率いるリベリオン軍、失楽の守護者の一人、”堕風の守護者 シェハザム”と申します。この度は協定を結んだ友好関係の一環として、席の空いた神聖教団十三騎兵のメンバーに加入させて頂きました。どうぞ皆さん仲良くして下さいまし。」


「まし…だと?ふざけてるのか…?」



独特な語尾を発し、まるで感情の無い人形のように無表情で淡々とした口調で自分達に挨拶をする堕風の守護者シェハザムに対して、モルドレッドは自分達がどこか見下されているように感じ、怒りを露わにしていた。


白騎士は自分の隣で怒りを露わにし、今にもシェハザムに対して食ってかかりそうになっているモルドレッドに、静かに手を伸ばし気持ちを沈めるよう促した。



「”彼の方”の前だぞモルドレッド…。」


「くっ…。よりによって協定を結んだ気に食わん連中の中の一人が、我々十三騎兵のメンバーの一人になるとは………。」


「お前の気持ちも分かる…だがこれも”彼の方”が考えて決断された事だ…。きっと何かの考えがあっての事だろう。納得せずとも今はその気持ちを堪えろ。」


「くっ……。」



モルドレッドはシェハザムが神聖教団十三騎兵のメンバーに加入する事に納得していない様子だったが、自分が絶対の忠誠心を誓った”彼の方”が考えに考えた結果だと自分に言い聞かせると、湧き上がって来たその怒りの感情をグッと飲み込んだ。


そしてモルドレットや他の十三騎兵のメンバーの様子を静かに見ていた”彼の方”は、”堕風の守護者シェハザム”が十三騎兵のメンバーに加入する事に意義を求める者がいないかを、シェハザム以外の十三騎兵のメンバーに問いただした。



「では、”堕風の守護者 シェハザム”以外の者に問おう。私達が協定を結んだ堕天使サタンが率いるリベリオン軍の失落の守護者にして、”堕風の守護者 シェハザム”が十三騎兵の新たなメンバーに加入する事に意義がある者はいるか?」



”彼の方”のその問いに神聖教団十三騎兵の空いた席に”堕風の守護者 シェハザム”が加入する事に対して意義を申し立てる事無く、”堕風の守護者 シェハザム”が神聖教団十三騎兵の新たなメンバーに加入する事に賛同する事を伝えた。



「皆色々と思う事はあるとは思うが、皆が”堕風の守護者 シェハザム”が十三騎兵の新たなメンバーに加入する事に賛同してくれた事感謝する。そして”堕風の守護者 シェハザム”よ、これよりお前は正式に神聖教団十三騎兵のメンバーとなった。改めてシェハザムも宜しく頼むぞ。」


「こちらこそ、よろしくお願いしますでやんす。」



シェハザムは独特の語尾と淡々とした口調でそう言うと、他の十三騎兵のメンバー同様、玉座に座る”彼の方”に向かって腰を下ろし片方の膝を地面へと付け”彼の方”へと忠誠をみせたのだった。

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