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僕は異世界の君に恋をした。  作者: リアラフ
商業都市イスタリアム編
84/126

#84〜これから〜

それから落ち着きを取り戻したマーガレットは、自分が取り乱してしまった事を三人に謝ると、これからの自分達についてどうすべきかをローレンへと尋ねた。



「ローレンさん、これからの事についてなんですけど…」


「えぇ。私もその事についてマーガレット様にお話ししようと思っていました。今お話ししてもよろしいでしょうか?」


「お願いします。ローレンさん。」



ローレンは頷くと、自分達が今後どうして行くのかをマーガレットに話し始めた。



「まず初めに、黒騎士様はマーガレット様とロロが目覚める少し前にこの都市を旅立たれました。理由は、教団に連れ去られたエレナ様とハルト様を含む方々の救出、そして今回の一件の主要メンバーである白騎士に奪われた七色に輝く大剣”ミストルティン”を取り返す為です。」


「黒騎士さん一人で!?」


「はい。私も最初は黒騎士様と一緒に二人の救出に同行するとお伝えしたのですが、この場所に留まるよう言われました。」


「どうして黒騎士さんは一人で…。話を聞く限り教団は私達が思ってる以上の存在…、いくら黒騎士さんに力があるとしても一人で敵の中に飛び込むのは…。」


「私もレヴィー様もマーガレット様と同じ事を黒騎士様に伝えましたが、黒騎士様の意志は揺るがず固いものでした。最初はなぜ?っと疑問に思いましたが、黒騎士様がそう提案したのにもちゃんとした理由がありました。」


「ちゃんとした理由…ですか?」


「はい。その理由というのは私、マーガレット様、レヴィー様の三人でロロを教団からお守りするためです。今回の教団の目的は、ハルト様、ハイエルフとダークエルフの間に生まれたエレナ様、そして転生者とこの世界の住人との間に生まれたロロの回収でした。」


「!!!」



マーガレットはロロが転生者とこの世界の住人との間に生まれた存在という事実に驚きを隠せずにいた。そして、その反応を見たローレンも自分も最初は同じ反応だったとマーガレットへと伝える。



「まさかロロさんにそういった事情があったとは…。」


「えぇ。まさかの事で私も最初は驚きましたが、”麻導薬”を投与された方々を治癒する為のポーションを作れる事や魔術の才に長けている事を考えると私は納得せざる得ませんでした。」


「なるほど…。つまり教団はエレナ様、ハルト様、ロロさんの生い立ちや特別な能力に目を付けて連れ去ろうとした…という事でしょうか?」


「教団が何を企んでいるのかは分かりませんが、恐らくはそうかと…。なので教団にとってエレナ様、ハルト様、ロロの三人は重要人物という認識のようです。」


「重要人物ですか…。」



マーガレットはロロ方へ視線を向けるとロロは少し体を震わせながら下を俯いていた。



「大丈夫だよロロち…。」


「はっ…はい……です…。」



レヴィーはロロの不安と恐怖を少しでも和らげようと震えているロロの元へ行き、その震えている手を優しく握った。



「そして今回の一件で教団は私達が思ってる以上に周囲に溶け込み、どこに潜んでいるのか分かりません。現に冒険者協会の受付嬢だったマイン、そして薬師でロロの師匠でもあったコルアも教団のメンバーで、教団はどんな手段を使ってでも目的を遂行する…。私はそれを肌で感じ実感し思い知らされました…。」


「ローレンさん…。」


「そして教団のメンバーである白騎士は、去り際私に”ロロの事をいずれ回収する”と言い残し空間魔法の中へと消えて行きました…。教団はいずれロロを回収しに来ます。なので黒騎士様は私とマーガレット様とレヴィー様にロロの事を近くで見守り、もしその時が来た場合は守ってほしいと…。その代わり、黒騎士様は二人は無事に連れて帰って来ると私とレヴィー様に約束して下さいました。それにどうやら黒騎士様には二人を救出するにあたって何やら策があるようです。それらを踏まえ、私とレヴィーは黒騎士様を信じ二人の救出をお任せする事にしました。」



ローレンからそれらの話を聞きレヴィーの側で怯えるロロの姿を見たマーガレットは心の中で決意し、その決意をローレン、レヴィー、ロロに伝えた。



「分かりました。ハルト様とエレナさんの救出は黒騎士さんにお任せして、私もロロさんの事を近くでお守りします!」


「お姉ちゃん!!」


「ありがとうございます、マーガレット様。」


「わっ…私なんかの…ために……ごっ…ご迷惑をーーー」



マーガレットは自分のせいで迷惑をかけてしまったとロロが謝る前に、ロロへと手を伸ばし強く抱きしめた。



「あっ…!!えっ…!?」



突然の出来事にロロはマーガレットの胸の中で困惑していた。



「謝らないでいいんだよ…。もう二度とあんな酷い目には合わせないから…、私達が必ず守から…ね?」


「そうだよロロち!私達に任せて!!」


「お二人の言う通り私達がロロの事を必ず守ります。それにロロはもう私達の仲間です、なので迷惑と思わず私達を頼って下さい。」


「ロッ…ローレン様…マーガレットさん…レヴィー…。あっ…ありがとう…です…。」



ロロは三人に感謝すると少し頬を赤らめさせながら、マーガレット、レヴィー、ローレンに満面の笑みを見せたのだった。それからしばらく四人で談話した後、ロロはポーションを投与した他の人達の経過観察を行うためにレヴィーと共に部屋を後にした。そして二人に続いてローレンが部屋から出ようとした時、マーガレットはローレンを呼び止めた。



「ローレンさん!後少しだけよろしいですか?」


「はい、私は構いませんが…いかがされましたか?」


「実は、私が牢獄で捕まっていた時なんですが…突然頭の中で私の名前を呼ぶ声が聞こえたんです。」


「声…ですか?」


「はい。その声の正体がエレナさんでした…。」


「なっ!?それは本当ですか!?」


「はい…。」



マーガレットから伝えられた予想外の話しにローレンは驚きを隠せない表情を見せていた。ローレンは呼吸を整え気持ちを落ち着かせると、マーガレットにその時のエレナの状況をできるだけ詳しく聞いた。



「それでエレナ様は…?」


「はい…。実際に対面してエレナさんにお会いしたという訳ではないでのですか…。先程話した通り、私の頭の中に急に声が聞こえてきたんです。それから私は脳内で聞こえるその声の主に、”なぜ私の名前を知っているのか?”を尋ねたところ、自身がエレナさんという事を私に明かしてくれました。」


「そうですか…。やはりエレナ様は私達の近くにいたわけですね…。」


「はい…。」



マーガレットの話を聞いたローレンは少しやるせない表情を見せ、行き場の無い思いをぶつけるかのように自身の拳を強く握り締めていた。



「エレナさんは脳内で会話する能力の事を”念話”と言っていました。そしてエレナさんが自分の事を明かした後、なぜ私の名前を知っているのかを説明してくれました。」


「”念話”ですか…。私が一緒に居た時はそのような能力があるとは聞いた事はありませんでした。それでエレナ様は何と…?」


「実はエレナ様も”過去の記憶の世界”でご自身のお母様にお会いして、その際に私達の存在やその他の事を色々と教えてもらったと。」


「エレナ様も”過去の記憶の世界”でファナ様と…?という事は私同様、ファナ様が自身の死と引き換えに発動する術”魂の(ソウル)介入(インタァヴェンシャン)”で過去の記憶の世界でお会いしたのですね…。」


「はい。それからしばらくしてエレナさんとの念話は途切れてしまいました…。」


「そうですか…。」


「すみませんローレンさん…私がもっと注意をしておけばこんな事には…。」



マーガレットは自分がもっと注意をしておけば今のような結果にならずに済んだと思うと、後悔の念に駆られ胸が痛くなった。



「マーガレット様、どうか謝らないで下さい。油断していたのは私も同じです…。あの時もっと注意していればと今でも考えてしまいます。ですが、過去はどう足掻いても変える事は出来ません。今は黒騎士様を信じ自分達に出来る事をやっていきましょう。」


「ローレンさん…。」



マーガレットはローレンのその言葉に少しだけ心が救われ、改めて今の自分に出来る事をして黒騎士の事を信じエレナとハルトの帰りを待つ事に決めたのだった。



======


<とある街の工房にて>



黒騎士は教団に連れ去られたハルトとエレナを救出する前に、とある街にある工房へ訪れていた。工房の中に入った黒騎士は店内の奥で作業をしている一人の男性に話しかけた。



「久しぶりだな。」


「おや?これは珍しい。君がこの場所に来るという事は明日は嵐かな?」



黒騎士が訪ねたその男性は物腰柔らかな雰囲気の持ち主で、作業している手を止め黒騎士の方へと振り向くと素顔を歪な模様が入ったお面で隠していた。



「相変わらず素顔を隠しているのか?」


「ここでは仮の姿で生活しているからね…、僕にはこのお面が必要なんだよ黒騎士。」


「相変わらずだな”エム”」


「今だに僕の事を”エム”って呼ぶのは君だけだよ。」



それから黒騎士はなぜこの仮面を被った男性”エム”の元へ訪れたのか、そして商業都市イスタリアムで何があったのかを”エム”に事細かに話した。



「ハルトが教団に…。それに白騎士が”死者の国(ヘルヘイム)”から蘇り、しかも君の実の兄ときてゼウスの加護を受けていたとは…。おまけに神殺しの剣、”ミストルティン”まで奪われるとは災難だったね。」


「あぁ…。正直、私も今だに信じられない。だが、白騎士は現に”全知全能神の(ゼウスザガントレット)決死拳(・レフトゥ)”を呼び出しその左腕に宿した…。俄には信じ難いがそれが何よりも証拠だ。そして教団の計画の内に入っているのかは分からないが、白騎士は恐らく神殺しを行うのかもしれない。」


「白騎士が神殺しの剣である”ミストルティン”を君から奪ったのであれば、十中八九神殺しを行う為で間違いないだろうね…。それに白騎士との戦いは余程のものだったんだろう?」



”エム”は黒騎士が纏っている漆黒の輝きを失った鎧を見ながらそう言った。



「あぁ…。それで今回ここに来たーーー」


「分かったよ黒騎士。」



”エム”は黒騎士の頼みを最後まで聞くまでもなく、黒騎士の申し出を承諾した。



「いつも急な頼みで申し訳ない。」


「いや、これくらいどうって事ないさ黒騎士。さて、善は急げだ。兜以外の鎧を外してこのテーブルの上に並べてくれないか?僕も直ぐに修復に取り掛かる。」


「助かる。それとーーー」


「あぁ。この鎧の修復が終わるまでの間、”ブイ”にハルト達の居場所を探させる。それで大丈夫かい?」


「感謝する。」



そして漆黒の輝きを失った黒騎士の鎧の修復に取り掛かろうとする前に、”エム”は黒騎士にある事を告げた。



「黒騎士…今回は僕の知っているロードとは大きく異なった展開になっている…。その意味が君ならわかるはずだ。そしてこのロードが、この先どう展開して行くのか正直僕には分からない…くれぐれも用心してくれ。それと、ハルトとマーガレットの事を頼んだよ?」


「勿論だ”エム”…。」



”エム”は黒騎士にそう伝えると、黒騎士の鎧の修復に取り掛かったのだった。

ご愛読いただきありがとうございます。

今回で商業都市イスタリアム編は終了です!(長かった…)

次回から番外編を投稿した後に新章をスタートします!!

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