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僕は異世界の君に恋をした。  作者: リアラフ
商業都市イスタリアム編
81/126

#81〜合流〜

勢いよく放たれた”神器リヴァイヴァル・トライデント”は極限まで高めた”雷”の魔力を注ぎ込まれた事によって、その身に紫電を纏いながら禍々しい姿をした巨大な髑髏の元へ勢いよく突き進んで行った。


それを察知したコルアの手を引いている”得体の知れない者”は、自身に向かって突き進んで来る”神器リヴァイヴァル・トライデント”に向けて指を指し、その意志に反応した六本の巨大な人骨の手は、螺旋状に重なっていき巨大な防御壁へと姿を変えると深海リヴァイ幻獣アサンが放った”神器リヴァイヴァル・トライデント”を迎え撃った。



「甘いな…。」



その言葉の通り勢いよく放たれた”神器リヴァイヴァル・トライデント”は、螺旋状の防御壁へと姿を変えた巨大な六本の人骨の手を次々と粉砕して行き、勢いを衰えさせる事無く禍々しい巨大な髑髏の頭部へと直撃した。



グガァアァァァア!!!!!!



”神器リヴァイヴァル・トライデント”が髑髏の頭部に直撃すると、”得体の知れない者”はまるで巨大な髑髏と痛覚を共有しているかのように頭部を抑えながら悲痛の叫びを上げ始め、頭部に直撃していた”神器リヴァイヴァル・トライデント”は髑髏の頭部を完全に貫きそのまま勢いよく地面へと突き刺さった。

そして頭部を貫かれたその巨大な髑髏は”神器リヴァイヴァル・トライデント”に貫かれた部分を中心に徐々に灰のように崩壊していき、”得体のしれない者”は髑髏が崩壊していくと同時に悲痛な叫びを上げるのを止め、そのまま動きを止め活動を停止した。


禍々しい巨大な髑髏と”得体の知れない者”が活動を停止したのを確認した深海リヴァイ幻獣アサンは、髑髏の崩壊が終わってしまう前にコルアを救出すべく急いでコルアの元へと向かうが、その目に飛び込んで来たのは身体の半分以上が髑髏の中へと入り、まるで抜け殻のように立ち尽くしているコルアの姿だった。

儀式召喚の代償で最悪な展開が一瞬脳裏を過ぎったが、深海リヴァイ現状アサンの呼びかけに応答はしなかったものの、完全い意識が無いとい訳では無く声にならない小さな声で何かを呪文のように口ずさんでいた。


深海リヴァイ幻獣アサンは最悪な展開を回避出来た事に安堵すると、髑髏の中からコルアを引き摺り出し崩壊する髑髏に巻き込まれないようコルアを抱き抱えながらその場から離れた。

無事に崩壊する髑髏に巻き込まれない場所まで避難した深海リヴァイ幻獣アサンは崩壊する髑髏へと背を向け、先程救出したマーガレットとロロが居る場所へと向かおうとした時、牢獄の入り口方面から複数の人の気配を感じた。

深海リヴァイ幻獣アサンが感じ取った複数の気配は徐々にこちらへと近づいており、

深海リヴァイ幻獣アサンはその複数の気配が教団のメンバーではないかと警戒していたが、牢獄の入り口から姿を現したのは見覚えのある人物と複数の兵士達だった。



「これは一体…!?」



見覚えのあるその人物と複数の兵士たちは牢獄内に入るなり、目の前で崩壊している禍々しい巨大な髑髏に目を奪われていた。

そして見覚えのある人物と複数の兵士がコルアを抱き抱えている深海リヴァイ幻獣アサンに気付くと、兵士達は深海リヴァイ幻獣アサンを警戒し剣を鞘から抜き身構えようとするが、その見覚えのある人物は即座に手を横に出して警戒を解くように促すと深海リヴァイ幻獣アサンに話しかけた。



「レヴィー様……でございますか?」


「よく気付いたなローレン。」


「どことなく以前の面影を感じましたので。それにしても雰囲気といい見た目といい…随分と成長されましたな。」


「まぁ色々と訳あってな。それと私はレヴィーであってレヴィーでは無い…。少しややこしい話だが、今の私はレヴィーと同化している幻獣…深海リヴァイ幻獣アサンだ。今は一時的に私がレヴィーの身体の所有権を有している。誤解してほしく無いのだが、決してレヴィーの精神や身体を乗っ取ったという訳でない。そこだけは信じてもらいた。もし私の事が信じられないと言うのなら、今この場でレヴィーの意識と変わっても大丈夫だ。」



ローレンは自分の目を見て真剣に話す深海リヴァイ幻獣アサンの瞳を見て、深海リヴァイ幻獣アサンが嘘を言っていない事を確信すると静かに首を横に振った。



「いえ、そこまでして頂かなくても私は深海リヴァイ幻獣アサン様の話しを信じます。」


「感謝する…。」



深海リヴァイ幻獣アサンは自分の言葉を信じてくれたローレンに感謝の気持ちを述べると、次にマーガレットとロロが無事である事を伝え二人を安全な場所に保護するようお願いし、それを聞いたローレンは率いてきた兵士達に指示を出しマーガレットとロロの保護、そして牢獄内に捕らわれている人達の救出及び周辺で倒れている教団メンバーの確保を指示し、その後の指揮を一緒に同行していたイスタリアム騎士団のジェラリク団長に任せた。


それから深海リヴァイ幻獣アサンは、今だに呪文のように何かを口ずさんでいるコルアを地面にそっと下ろすと、コルアが教団のメンバーであった事、そしてこの場所で起きた出来事やロロの素性…そして自分達がこの場所に来た時にはエレナの姿が無かった事をローレンに伝えた。



「そんな…エレナ様…。」



ローレンにとって今居るこの牢獄こそエレナを救出する事が出来る最後の希望だった。

しかし深海リヴァイ幻獣アサンからエレナの姿を確認する事が出来なかった事を聞いたローレンは、抱いていた希望が心から消え去り落胆しその場に膝から崩れ落ちた。



「すまないローレン…。」


「いえ…。深海リヴァイ幻獣アサン様のせいではございません。私がもっと…もっとしっかりとしておけばこんな事には…。それにハルト様だって……。」


「!?」



ローレンのその一言に身体の内側に居たレヴィーの意識が反応し、身体の主導権を深海リヴァイ幻獣アサンから自身へと戻すと、レヴィーは動揺しながらハルトの身に何があったのかをローレンに聞いた。



「ローレン!!おにーたんに何があったの!?」



先程までの大人な雰囲気から一転して、あどけなさが少し残る雰囲気に変わったレヴィーの表情にローレンは少し困惑するも、『おにーたん』の一言で身体の主導権が先程まで話していた深海リヴァイ幻獣アサンからレヴィーに戻ったのだと理解すると、冒険者協会内部での出来事やその場で何が起きたのかを説明した。



「そんな…。じゃあ…おにーたんは受付の人に……。」


「はい…。受付嬢のマインもどうやら教団のメンバーだったらしく、彼女の能力で私達の素性や潜入の目的など全てが筒抜けになっていました…。私達は最初からマインの掌の上で上手く転がされていというわけです。私が一緒に付いていながら申し訳ありません…。」



ローレンはそう言うと下を俯きながら自分の不甲斐なさを痛感し、自身の唇を強く噛み締めていた。そしてローレンのその姿を目にしたレヴィーは辛いのは自分だけじゃ無く、ローレンも同じ気持ちなんだと理解するとローレンに肩にそっと手を添えた。



「ふっ…ふふふっ……。互いに傷の舐め合いをしてるなんて…惨めねぇ〜」


「!?」



二人にそう語りかけたのは、先程まで呪文のように何かを口ずさんでいたコルアだった。コルアは自力で身体を動かす事が出来ないのか、地面に横たわったままの状態でレヴィーとローレンの方を不敵な笑みを浮かべながら見ていた。



「まさかこの私がこんな状態になるなんて思ってもみなかったわ〜。神器の力…予想以上ね…。」



コルアは落胆している二人の気持ちなどは一切考えず、神器の力を完全に解放したレヴィーとの一戦の感想を誰が聞いてるわけでも無く、一人淡々と話していた。

そんなコルアを見ていたローレンは崩れ落ちた膝を奮い立たせその場に立ち上がると、横たわっているコルアの元へと向かった。



「お久しぶりです。」


「あら?あなたはロロの?」


「その節はどうも…。」



ローレンは一呼吸し込み上げる怒りを何とか沈めると、地面に横たわっているコルアへと質問した。



「単刀直入に言います。エレナ様とハルト様はどこです?」


「ふふっ。随分と冷たい声なのね。お姉さんこわぁ〜い」



側から見れば冷静な口調で会話しているように聞こえるかもしれないが、ローレンの近くにいるレヴィーにはその冷静な口調と、横たわっているコルアを見るローレンの姿がまるで冷酷な悪魔のように映っていた。



「もう一度聞きます。エレナ様とハルト様はどこです?」


「………。」



”もう次は無い”

ローレンの瞳からそう感じとったコルアは不敵な笑みを止めると、ローレンに質問に答え始めた。



「あの二人ならもうこの都市には居ないわ…。可愛子ちゃんとロロがここに訪れる少し前にあの女…あなた達が”マイン”と呼んでる女が一人の転生者を連れてここに来たの。そこからは少し話してね、色々と情報を聞いたつもりだったけど、あの女ときたら肝心な事は何も教えないで!!神器持ちが居るって!!!最初から知っておけばこんな事にはならなかったのに!!!!ならなかったのにぃいぃぃぃぃ!!!!!」



コルアはマインに対しての不満を大声で叫ぶと、ふと我に返りローレンに向けて『あら、失礼〜』と冗談まじりで謝ると再び話に戻った。



「そこからは一緒に連れて来た一人の転生者と、ハイブリットエルフの子を回収して出てったわよ…。『愛しの方に喜んでもらえる〜』って言いながらね…。」


「そうですか…。ではマインはエレナ様とハルト様を連れて教団の本拠地へと向かった…。という訳ですね?」



ローレンのその言葉にコルアはニヤリと不敵な笑みを浮かべると、横たわっている自身の周りに魔法陣を展開しその魔法陣の中から人の背骨の形をした触手を呼び出すと、自身からローレンとレヴィーを遠ざけた。

そして動かない自身の体にその触手を纏わせると、レヴィーとローレンに『上で会いましょう』と一言言うと空間魔法を出現させその中へと消えて行った。



「まさかあの状況で魔法を使えるなんて…。それに上って…」


「コルアが言った『上』というのは恐らく冒険者協会付近…黒騎士様の所で間違いないでしょう。」


「黒騎士!?」


「はい…。私が騎士団の皆さんとこの牢獄へ向かう道中、冒険者協会を出ると黒騎士様が白い

兜を被った人物と冒険者協会付近で戦闘しておりました。加勢したいとは思いましたが、私に気付いた黒騎士様がここは任せろと…。それで私達はこちらに…。とにかく!私たちも急いで上へと向かいましょう!!いくら黒騎士様でもあの白い兜の人物とコルア二人を相手となると心配です…。」


「分かった!!深海リヴァイ幻獣アサンもいいよね?」


『もちろんだ。』


「うん!!じゃあ行こうローレン!!!」


「はい!!」



二人はその事をジェラリク団長に伝え、牢獄内での救助とマーガレットとロロの事を任せると二人は黒騎士の元へと急いだのだった。

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