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僕は異世界の君に恋をした。  作者: リアラフ
商業都市イスタリアム編
79/126

#79〜深海幻獣〜

ゴポッ…。


ゴポポッ…。


ゴッポン……。



『ここは……?』



教団に回収されるマーガレットとロロ、その二人のボヤけた姿を最後に意識が遠のいて行ったレヴィーが次に目を覚ますと、視界の先には月の光が小さく波に揺れており周囲を見渡すとレヴィーは自分が海の底へとゆっくり沈んでいるのだと分かった。


”お姉ちゃんとロロちを助けないと”


レヴィーは何とか這い上がろうと試みるも、二人を助けたいというその気持ちとは反対にレヴィーは指一つ動かす事が出来ず、その思いも虚しくただただ波に揺れて徐々に小さく映る月、そして月に向かって浮上する気泡を眺め見る事しか出来なかった。



『ロロち…お姉ちゃん…ごめんね…。私がもっと…”深海リヴァイ幻獣アサン”の力を制御出来てれば……。』



後悔の念に打ちひしながらレヴィーの身体は、底の見えない海中の奥底へと招かれるようにゆっくりと落ちて行きレヴィーはそっと目を閉じた…。



……


………


…………


……………


………………



『レヴィアタン…』


『!?』



聞き覚えのある声と共に海中の奥底から”ゴォォォォ”と激しい音と共に激しい波が押し寄せ、レヴィーの身体は海上へと勢いよく押し上げられた。

海上へと押し上げられたレヴィーの視線の先には、エメラルドの宝石のように輝く巨大な瞳、そして瑠璃色の鱗を纏い額には禍々しい角が生えた水龍の姿があり、その水龍は海上へと押し上げられ力無く宙に舞っているレヴィーの身体をその手で優しく受け止めた。



『久方ぶりだなレヴィアタン…。いや、今はレヴィーと言った方がいいか?』


『”深海リヴァイ幻獣アサン”…。』


『こうやってして話をするのは100年前の厄災以来だな。』


『そう…だね。』



レヴィーはそう言うと深海リヴァイ幻獣アサンの掌の上で横たわりながら視線を頭上へと移し、空に輝く月を眺めていた。

深海リヴァイ幻獣アサンは頭上を見上げているレヴィーの姿をしばらく見守った後、レヴィーに語りかけるよう静かに口を開いた。



『二人の事は諦めるのか?』


『諦めたくない!!諦めたくない…よ……。』


『ならばこんな所でじっとしている暇は無いだろう?』


『それはっ!!……そうだけど…。』


『そうだけど何だ?』


『今の私には…もうどうする事も出来ない…。それに神器を解放しても勝てなかーーー』


『だが全ての力を解放した訳ではないだろう?』



深海リヴァイ幻獣アサンは、レヴィーが”勝てなかった”という言葉を口にしてしまう前にレヴィーの声を遮り力強い声で割って入った。



『!!』



その言葉にレヴィーは一瞬ムッとした表情を見せるが、深海リヴァイ幻獣アサンに対してぐうの音も出ずそのまま悔しそうな表情を浮かべながら視線を深海リヴァイ幻獣アサンから逸らした。



『怖いのか…?』



レヴィーはその問いに小さく頷くと、なぜ全ての力を解放するのが怖いのかを話し始めた。



『もう…あんな思いはしたくない…。力を半分に抑えても徐々に力に飲まれていくのが止められなくて自分が自分じゃ無くなるが分かるの…。力に支配されて…そして心のどこかでは戦いを楽しんでいる自分もいて…。”あの日”みたいにまた皆んなを傷付けてしまったらどうしようって思うと怖くて…たまらない……。』



力を解放する苦悩を口にするレヴィーの声は少し震えており、瞳からは静かに涙が頬を伝って深海リヴァイ幻獣アサンの掌にそっと落ちる。



『確かに…”あの日”のような出来事はもうごめんだな…。』


『えっ?』



深海リヴァイ幻獣アサンの予想外の言葉にレヴィーは拍子抜けした表情を浮かべておりて、深海リヴァイ幻獣アサンにとってはレヴィーのその反応こそ意外だったのか、深海リヴァイ幻獣アサンは拍子抜けしたレヴィーの顔を見て笑っていた。



『いや…すまない。あまりにも驚いた表情をしていたのが面白くてな。』


『まさか深海リヴァイ幻獣アサンがそんな事を口にするとは思ってもみなくて…。それに笑ったとこも初めて見たし…。それにこうやって話すのも…初めて……だよね?』


『そうだな…。初めて会った時はレヴィーも私もまだ幼かったからな…。右も左も分からない不安定な状態で同化し争いの兵器として戦いに身を投じるの日々…。そして我達は次第にその強大な力に溺れ、最終的に多くの人達を傷付けてしまった…。』


『………。』



深海リヴァイ幻獣アサンは頭上に輝く月を見上げると、何かに想い耽るように会話を続けた。



『それから我は完全に心を閉ざしレヴィーの心の中に閉じこもった…。つまり逃げたんだ自分の”罪”から。』


深海リヴァイ幻獣アサン…。』


『だがレヴィー、お前は逃げ無かった。災いと呼ばれようと罵倒されようと歩みを止めず来る日も来る日も傷付けた人達に祈りを捧げ、そしてマーガレットやあの転生者に出会い厄災にも身を投じた…。』


『でも深海リヴァイ幻獣アサンも力を貸してくれたよ!!あの時力を貸してくれたから私はお姉ちゃん達と厄災に立ち向かえた!!だから!!!』



深海リヴァイ幻獣アサンは大きく首を横に振った。



『私はあの時……レヴィーの事を快く思っていなかった。妬んでいたんだレヴィーの事を。あの日の事から目を背けずに前に進んで行くレヴィーの姿が…自分の居場所を見つけた事が……とても妬ましかった…。だからベルゼブブがレヴィーの所に来た時も我は見て見ぬふりをしてしまった…。』



深海リヴァイ幻獣アサンはエメラルドの宝石のように輝く巨大な瞳を閉じて深く頭を下げると、『すまない』とレヴィーに謝罪の気持ちを伝えた。



『謝らないで深海リヴァイ幻獣アサン…』



そう言ったレヴィーの声はどこか力がこもっており、その言葉を聞いた深海リヴァイ幻獣アサンは瞳を開けると、そこには指一つ動かす事が出来ないレヴィーが額に汗を浮かべながら必死に身体を起こそうとするレヴィーの姿があった。



『レヴィー!!』



深海リヴァイ幻獣アサンが手を差し伸べようとするもレヴィーはそれを断り自力で起きあがろうとしていた。その瞳の中には希望が宿っており、その想いに応えるかのようにレヴィーの身体も少しずつ動いて行き、深海リヴァイ幻獣アサンに見守れながらレヴィーは自力で身体を起こす事に成功した。



『私も…ずっと前を向いて歩けたわけじゃないよ?目を背けた時だってあるし塞ぎ込んでた時もある……。この力…深海リヴァイ幻獣アサンの事を恨んだ事もあった…。だからこの力を使わないように心の深い奥底に閉じ込めてた。誰かを傷つけるくらいならって…。でもね?100年前にお姉ちゃん達に会って旅をして、それからまた100年経っておにーたんやロロち達に出会って…私変われた気がしたんだ。だからお姉ちゃんとロロちを守る為に力を解放したの…。結局負けちゃったけど…。』



起き上がることに余程力を使ったのかレヴィーの呼吸は少し乱れており、大きく深呼吸をして気持ちと息を整えるとレヴィーは会話の続きは話し始めた。



『ここで目が覚めてお姉ちゃんとロロちを助けてあげられなかった事、解放した力に徐々溺れて行った自分に怖くなって…二人を助ける事を諦めちゃったけど、深海リヴァイ幻獣アサンの話を聞いて少し安心したんだ…。怖いと思っていたのは自分だけじゃなかったんだって…深海リヴァイ幻獣アサンも私と同じ気持ちだったんだって。そしてね?今の私達二人ならお姉ちゃんとロロちを助ける事が出来る。そう思った。』



そう言うとレヴィーは自分の背丈以上ある深海リヴァイ幻獣アサンの指に触れると、希望に満ちた声で深海リヴァイ幻獣アサンにこう言った。



『だから力を貸して深海リヴァイ幻獣アサン!!お姉ちゃんとロロちを助ける為に力を貸して欲しい!!!お願いします!!!!』



深く頭を下げたレヴィーに深海リヴァイ幻獣アサンは顔を上げるように言うと、レヴィーに向けてこう伝えた。



『私も同じ気持ちだレヴィー。今の私達ならきっと力を正しく使いこなせるはずだ、今度こそ守ろう…!!二人で力を合わせて!!!』


『うん!!』



そしてレヴィーと深海リヴァイ幻獣アサンは互いに瞳を閉じて額を合わせると、額を合わせたところを中心に瑠璃色の優しい光が二人を包み込んでいった…。





「さて…。外もだいぶ騒がしくなって来た事だしサンプルも含めてさっさと回収して撤収するよ。」



コルアは教団のメンバーに回収と撤退の指示を出すと、触手の中で”濁った紫色の液体”を注入された項垂れているレヴィー方を見ると触手を動かし自身の元へ引き寄せた。



「ありがとね可愛子ちゃん…私に”神器持ち”の秘密を解き明かすチャンスを与えてくれて!!」



興奮じみた表情で頬を赤くしレヴィーの口元に口づけをしようとした時、突如レヴィーの額から瑠璃色の光が発し始めた。



「何なのこれ!!!」



額から発せられる瑠璃色の輝きによって、”無慈悲な叫び(インプルブレイモア)”の先端から放出している触手が”ギョキィィィ”と奇怪な叫びを上げながら蒸発して行く。そして触手から解放されたレヴィーは宙へと舞うと、瑠璃色の光はその輝きを増し牢獄内全体を包んで行きその中から詠唱が聞こえて来た。



「我、天地創造の神によって生み出されし生命の海を司る最強の子なり。深海の幻獣に宿し力をこの身に与えたまえ…。」



その詠唱と共に瑠璃色の輝きが解き放たれるとその中から一人の女性が現れた。

その女性は宝石のエメラルドのように輝く瞳をし瑠璃色を基調とした鎧とドレスを合わせよった衣装に身を包み、根元から毛先にかけて鮮やかな青色のグラデーションをした腰まである透き通った長い髪を靡かせていた。



「かっ…可愛子ちゃん…じゃない!?」


「いえ…私は私。でも前までの私じゃないわ」


「前の私じゃない…?」


「今の私は、深海リヴァイ幻獣アサンと同化し、その力をこの身に完全に宿した者…。アイヴィステイア・レヴィー!!」



そう言うとアイヴィステイア・レヴィーは、コルアに向けて力強い笑みを見せたのだった。

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