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僕は異世界の君に恋をした。  作者: リアラフ
商業都市イスタリアム編
73/126

#73〜邪の解放〜

<冒険者協会 最上階 騎士団長の間にて>


冒険者協会 最上階にある騎士団の間にて、

僕は自分と同じ転生者でもあり神聖教団のメンバーの一人と武器を交え交戦していた。

その男はまるで忍者のように素早い速さで騎士団長の間を縦横無尽に動き回り、影の中に潜る能力は使用せず隙を見ては身に纏っている鎧の隙間を狙って来るといった戦法で攻撃を仕掛けて来ていた。

僕はその素早い動きに翻弄され、数回に一度その攻撃を防ぐ事で精一杯だった。



「お前…あまり戦闘経験が無いだろ?」



仮に僕が戦闘経験を積んでいた状態だったとしても、この男との差は明らかなものだ…。

それに”影の中に潜る”能力をまだ一度も使用していない…。あの男にとって僕はその能力を使用する程の価値も無く容易く仕留める事が出来る。といったところか?



「だとしたら…?」



男は僕の返答にニヤリと不敵な笑みで返すと、ナイフをもう一つ取り出して体勢を低くしてナイフを逆手に持ち替え僕に向けて攻撃の構えをとるその姿は、まるでアニメや漫画の中に登場する忍者のようだった。

一瞬でも気を抜いてしまえば間違い無く僕はあの男に仕留められてしまう…。それに今までは”影の中に潜る”能力を使用していなかったが、不意を突いてその能力を使用して来る可能性もある…。思考を巡らせて対策を考えれば考える程、僕の心の中で焦りが積もって行く。



「これで終わりだあぁぁぁぁぁ!!!!」



男は叫ぶと目にも止まらぬ早さで正面でマテリアルウェポンを構えている僕に向かって勢いよく飛び出し、一瞬にして僕の間合いに入り込み手にしているナイフで切り掛かって来た。



「くっ!!」



僕はすかさず手にしているマテリアルウェポンでその男の攻撃を防ごうと防御の姿勢をとろうとした時、僕の視界からその男姿が突如消えた。



「ハルト様!!後ろです!!!」


「!!!」



ローレンさんのその一言に反応して後ろを振り返ろうとして時、自分の背中に”冷たい何か”が音もなくスッと入り込んで来るのを感じると同時に、その男の冷たい声が耳に入り込んで来た。



「もう遅いのよ…。」



その男の声と共に自分の背中に入り込んだ”冷たい何かが”スッと抜け出すと、その抜け出した箇所から生暖かい物が流れていくのを感じた。



「なっ………」


「お前の背中にこのナイフを刺した…。そしてこのナイフには”あのイカれ女”特製の毒を仕込んである…直にその毒が身体全身行き渡りお前は直ぐに動けなくなるはずだ…。」



頭の中では”影に潜る”能力を使ってくると予想はしていたが、焦る気持ちと攻撃を防ぐ事だけに集中してしまった結果、僕は一瞬の隙を突かれ背中に毒か何かを盛られたナイフを刺された。


それにイカれた女って誰だ…?マインさんの他にも誰か別の協力者が……?

ダメだ…視界が徐々にぼやけ足元がふらつきはじめて来た…。



「ハルト様!!」


「動かないで下さい!!」



ハルトの元へ向かおうとするローレンに、

マインは両手に展開した魔法陣から幾つも鎖を呼び出しローレンの身体に鎖を巻き付けると、身動きを封じた。



「鎖!?」


「ローレンさん。ハルトちゃんの元へ向かいたい気持ちは分かりますが…今はそこで大人しくしていて下さい。もし抵抗すれば今以上に悲惨な事になりますよ?」


「ッ…!!どこまでも卑劣な手を…。」



鎖…?あれがマインさんの能力…。

僕はふらつく身体を手にしているマテリアルウェポンで何とか支えているが、徐々に身体全体から感覚と力が抜けて行くのを感じ意識が少しづつ遠のいていく。



「ッ………」



このままじゃ…。何か…この状況を……突破する方法を…。



「今まで会ってきた転生者の中でもお前…ぶっちぎりで弱いわ〜。マジで雑魚キャラ過ぎて俺の記憶の中に殿堂入り決定〜。」


「………」



くそ…。反論する言葉も出て来ない…。


僕はこのまま……何も出来ずに…。


マーガレット…レヴィー……黒騎士さん…。


ローレンさんすみません…。



マテリアルウェポンで支えていた身体にも力が入らなくなり、僕はそのまま地面へと倒れ込んでしまった。

地面へと倒れ込んでしまった僕の身体からは殆ど感覚を感じる事は出来ず、辛うじて重い瞼を開き視界にうっすらとボヤけて映っているローレンさんとマインさんの姿を映していた。


『くそ……何とか…しな……っ…。』


自分の意志に反して重い瞼が徐々に閉じて視界が暗闇に包まれようとした時、薄れゆく意識の中でマインさんの言葉が最後に飛び込んできた。



「神によってこの世界に召喚された転生者の力もこの程度でしたか…。」



神…


召喚……


転生者………


力……………………


………………………


……………………


…………………


………………


…………


………


…。



「お前の言う通り、ちゃんと殺さずに仕留めてやったぞマイン」


「ありがとうございます!!これで私の”愛しの方”も喜びます!!!その前に少しだけ私もハルトちゃんと楽しんじゃおうかなぁ〜!!!」


「やっぱお前イカれてるわ〜。んで、後はそこの老いぼれだけだな〜。マインこの転生者の事はお前に任せる。」


「んふふふ!了解しました!!それではローレンさんまた〜」



マインはそう言うと地面に倒れ込んでいるハルトの元へ向かうと、両手に再度魔法陣を展開し鎖を召喚すると、その鎖がまるで意志を持っているかのように動かして倒れているハルトの身体に巻きついて持ち上げると騎士団長の間の奥へ消えていった。そして騎士団の間からマインが消えると同時にローレンに巻き付いていた鎖の召喚も解かれた。



「クククッ。また守る事が出来なかったなぁ〜」


「………。」


「あっ?無視かよ…。それとも何?図星すぎて何も言えねぇ〜ってか? クククッ…。」



その場で下を俯きながら立ち尽くしているローレンの姿を見て、その男はローレンの事を貶しながら高らかに笑っていた。

だがローレンは不覚にもその男の言葉に納得していた。ダークエルフの郷での悲劇や、エレナの母親を目の前で殺害された挙句にエレナまで誘拐され、今度は友人で仲間でもあるハルトまでもが教団の魔の手に落ち攫われてしまった…。

そして肝心な時に自分は何も出来ず、見ている事しか出来ない自分の不甲斐なさに心から怒りを覚えた。



ガシャン…



「ん?」



突然何かが地面に落ちる音が騎士団長の間に響き渡り、その男が音の鳴った方を見るとそこには身に纏っていた鎧を外しているローレンの姿があった。



「何だ?どうしたよ老いぼれ??その鎧を外しちまったら死に急ぐだけだと思うけど〜?」



ローレンはその男の挑発とも言える言葉に、鎧を外しながら深く呼吸をして気持ちを落ち着かせると口を開いた。



「私はある時を境に心の中に蠢く”邪”を封印して来ました…。それは大事な方達に危害を加えてしまう可能性がある事と…大切な方から”命”について学んだからです。どんな者でも母と父の愛を持って生まれた子であり、命は命だと…。」


「クククッ。急に語り出して笑える。あんたみたいな老いぼれって語りたがるんだよな〜。あっちの世界でもお前みたいな奴たくさんいたわ…。」


「それから私はその教えを胸に刻み守って来ました。ですが…私の甘さ故に今の現状と結果を招いてしまいました…。これは深く反省しなければいけません。」



そう言うとローレンは身に付けていた鎧を外し終わると首元の裾を緩め、今まで誰にも見せた事のない悪魔のような形相でその男に向けてこう言った。



「貴方達は私の大事な方達や罪の無い人々を多く傷つけ過ぎた…。その報いは受けてもらいます!!」


「へぇ〜。老いぼれのくせに良い顔するじゃん…。あの雑魚転生者よりも相手になりそうだわ…。」


「その余裕がいつまでも続くと思うなよ小童が…」


「んだとコラァァァァ!!!舐めた口聞きやがって!!!!」



その男はローレンの今までに無い荒々しい口調が癇に障ったのか、ハルトを仕留めた時と同じように身体の体勢を低くし目にも止まらぬ速さでローレンの元へと飛び出した。



「死ねぇぇぇぇぇ!!!!!老いぼれぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」



「………。」



ローレンはその男が飛び出したと同時に構えるでも無く、ただその場で立ちながら瞳をそっと閉じた。間合いに入った男は手にしていたナイフを構えると影の中へと潜り、ローレンの背後に回り込むと、手にているナイフでローレンに勢いよく切り掛かった。



「これで終わりーーーーー」



男が手にしたナイフがローレンの背中に刺さろうとした瞬間、ローレンは身体の重心を保ったまま上半身を流れるように横へと傾けると、今度は左足に身体の重心を預け右足を素早く胸元まで持ち上げると同時に身体を横に流した動作を利用して、胸元まで持ち上げた右足を後方にいるその男目掛けて勢いよく放った。



「グオワッフ!!」



ローレンが放った蹴りはその男の腹部へと深く入り、男はそのまま後方へと飛ばされた。

ローレンは体勢を戻すしそのまま後方へと飛ばされた男の元へと向かいこう言った。



「立て…小童……。」

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