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僕は異世界の君に恋をした。  作者: リアラフ
商業都市イスタリアム編
70/126

#70〜三人の重要人物〜

<冒険者協会エリアにて>


冒険者協会エリア内にて黒騎士と白騎士の交戦する音が、まるで何かの開幕を告げるかのように商業都市イスタリアム中に激しく響き渡り”ブロンズのタグ”を首に下げた黒い鎧を身に纏った冒険者が、白い鎧を纏った者と冒険者協会エリア内で交戦中と市民や騎士団の間で騒がれ始めていた。



「確かに100年前に比べて少し腕を上げたようだな黒騎士よ。まさか”幻想の指輪”を使って擬似空間を創り出すと同時に俺の視界を奪うとは…。さらに俺がお前の擬似空間に視界を奪われている間に何かしらの方法…。”行動操作オペレーション”か?それで周りに居た兵士やホムンクルスを被害が及ばない場所へと避難させるとは恐れ入った。」



流石白騎士…。

私が”幻想の指輪”を使用して疑似空間を創り出した事や、周囲に居た人々を”行動操作オペレーション”を使用して安全な場所に避難させた事を瞬時に見抜くとは…。



「まさかお前に褒められる日が来るとはな…白騎士…。」


「お前の性格や行動…それに”幻想の指輪”を見れば大体の予想はつく。だが、その術はもう俺には効かない…。例えその”幻想の指輪”が”あの魔術師”から貰った物だとしてもな。」



白騎士はそう言うと私目掛けて白銀に輝く大剣を振りかざして来た。

その一撃は今まで白騎士が振りかざした中でも最も重く、私は七色に輝く大剣で受け止めるもそのあまりの威力に後方へと追いやられてしまった。



「くっ…!! 相変わらずの馬鹿力だな。」


「ほう…。まさかお前が俺を褒めてくれるとはな。嬉しいぞ兄弟よ。」



白騎士が放った”白騎士の(ホワイトナイツ・)爆裂聖剣撃オブ・エクスプロージョン”から今振りかざした重い一撃といい、私は確実に冒険者協会から距離を離されて行っている。

やはりエレナや誘拐された人達は冒険者協会内に囚われている…そう思った時だった。白騎士の後方、冒険者協会付近の小さなショップから複数の人達が出て来るのが目に飛び込んできた。



「だっ…誰か!!助けて下さい!!!まだ…まだ中に…人が…!!!」


「!?」



中に人…!?それにあの様子からして急いでショップの中から外へと来たのだろう。ショップの中から出て来た人の中には、ショップの入り口付近で体力が尽きて倒れ込んでいる人の姿もあった。


しかし…私はその光景を見てある違和感を覚えた。もし私と白騎士の戦闘を耳にしているのならばもっと早めに避難しているはずだ…。それにあの小さなショップから急いで出て来た割には、ショップから出てきた人達は異様に大量を消耗しているように見える…。

それらのことを踏まえて私の脳内で”ある考え”が浮かんだ…。


これまで起きた一連の流れや、白騎士が私の前に現れた事でローレンを襲った襲撃者が言っていた”身の安全を保証された場所”というのは今の今まで冒険者協会内にあると思っていた。

だが、ロロが日が落ちても宿屋に帰って来てこない事やショップから複数の人達が出て助けを求めて来る様子からして、”身の安全を保証された場所”というのは恐らく…。



「コルアの奴は一体何を考えているんだ…。貴重なサンプルを外に逃すとは…。」



思った通り…。あのショップはロロの師匠が経営しているお店”パナケイア”だ。

店から助けを求めた人達は恐らく教団に誘拐された人達で、ロロの師匠が経営しているこのパナケイアこそ襲撃者が言っていた”身の安全を保証された場所”で間違い無い。

そしてあの中には、ロロの帰りを心配して様子を見に行ったマーガレットとレヴィーが…。っとなると教団の狙いはマーガレットとレヴィー?


それに貴重なサンプルとは一体…?



「随分と熱心に考え込んでいるな?黒騎士。その様子からして、ある程度の察しはついているんじゃないか?まぁ概ねその通りだ。」


「やはりあの中に…。」


「ここまで来たら喋ってしまっても構わんだろう…。」



そう言うと白騎士は手にしていた白銀の大剣を地面へと深く突き刺し、事の経緯を私に説明し始めた。



「今回の作戦の目的は重要人物三人の回収。その内の一人が、お前達が探し回っていたハイブリットエルフのエレナだ。そして二人の重要人物…それはコルアが弟子として育てて来た薬師の少女ロロだ。」


「ロロが!?」


「あぁ。今は全ての力を使いこなせている訳では無いが、彼女の能力は特別でハイブリットエルフのエレナに匹敵する程の力を宿している。親譲り…っと言ったとこか。」



まさかロロがそれ程の力を有しているとは…。

白騎士が意味深に言った”親譲り”という台詞から、ロロが持っている能力は親から何かしらの力を授かった…という事だろうか?



「本来ならこの二人だけの回収のはずだったが…。幾つかの問題が発生したおかげで対象者が一人増えた…っという事だ。この問題に関しては個人的には感謝している。こうしてお前と再び剣を交える事が出来たからな。」


「問題?」


「問題の一つが、ハイブリットエルフのエレナを守っていた執事のエルフが生きていたという事だ。だがこれは想定内の些細な問題でしかなかった。見つけ次第また対処すればいいからな。何よりも一番の問題なのは、お前達がこの商業都市イスタリアムに訪れたという事だ…。それにどういった経緯かは分からんが、執事のエルフとも繋がりを持ちハイブリットエルフの捜索まで手伝うと来た…。昔から察しの良いお前がいればすぐに見つけ出してしまう可能性がある…が、我々教団のメンバーの一人が、幸運な事にもお前と同行している者の中に”彼の方”が興味を示した人物が居た…。その人物こそが最後の重要人物だ。時が来たらお前にも分かると思うが…。その時にはもう手遅れだ…。」



私と同行していた人物となれば…。

ハルト、マーガレット、レヴィーの三人の内の誰か…。そしてマーガレットとレヴィーの二人はエレナが囚われており、襲撃者が”身の安全を保証された場所”の中に居る。

まさか二人の内のどちらかが…?いや…『Ω』の力を解放したハルトという線もある…。

どちらにせよこの状況を突破しなければ何も始まらない…。そして教団が私にこの状況を突破させないために送り込んだ刺客が白騎士という訳か…。



「何としてでもここを突破しなければ…」



焦りを見せ始める私に白騎士は地面へと突き刺した大剣を抜き取り、再び大剣に自身の魔力を注ぎ込み始めながら私に向けて刃先を向けるとこう言った。



「そういう訳だ黒騎士。”彼の方”の計画の為にも、お前をここから先に通す訳には行かない…。そしてあの時の絶望をお前にも味合わせてやる…。」



白騎士は、先ほど魔力を込めて放った”白騎士の(ホワイトナイツ・)爆裂聖剣撃オブ・エクスプロージョン”の時よりも更に膨大な魔力を白銀の大剣に注ぎ込んでいた。

間違い無い…。白騎士はもう一度”白騎士の”白騎士の(ホワイトナイツ・)爆裂聖剣撃オブ・エクスプロージョン”を放つつもりだ。それもさっき放った一撃よりも倍…いや、それ以上の一撃を…。



「この一撃を機に世界は俺達の存在を深く認識する…。神聖教団という存在を!!!」


「止めろ白騎士!!それをこの場所で放ってみろ!!!下手したらこの都市が吹き飛ぶぞ!!!」


「ならば止めてみろ黒騎士!!!」


「くっ!!!」



魔力を極限まで注ぎ込まれ凝視出来ない程の輝きを放った白銀の大剣を両手で力強く握りしめて天に翳すと、黒騎士目掛けて白騎士が叫んだ。



「”白騎士の(ホワイトナイツ・)爆裂聖剣撃オブ・エクスプロージョン”!!!!」



その言葉と共に膨大な魔力が蓄積された白銀の大剣を黒騎士目掛けて、白騎士は勢いよく振りかざしたのだった。

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