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僕は異世界の君に恋をした。  作者: リアラフ
商業都市イスタリアム編
64/126

#64 〜白騎士〜

<時は少し遡り冒険者協会2階の会議室にて>



「うむ。では私は先に会議室を出る、2人とも…健闘を祈っているぞ。」



私はハルトとローレンにグッとポーズをして見せると、ローレンの精霊魔法”容姿変化チェンジシェイプでハルトとローレンに姿を変化させた騎士団の兵士二人を連れて会議室を後にした。ハルトは少し緊張していたが、ローレンが一緒にいるから問題無いだろう。私も自分の役目を全うしなくては。まずは受付の方へと向かい、マインにクエストは明日の昼前に出発する事を伝えるとしよう。


私は二人を”行動操作オペレーション”で操作しつつ、マインの居る受付へと向かった。



「あっ!黒騎士様!!もう話し合いは終わったのですか?」


「あぁ。クエストには明日の昼頃に出発する予定だ。」


「そうですか。かしこまりました!!冒険者に登録してからの初クエストで緊張するかもしれませんが、頑張って下さいね!!」


「うむ。それではまた。」


「はい!」



行動操作オペレーション”で二人が不自然じゃないように操作して振る舞いつつ、相手と会話をするのは少々難を要したが何とか場を凌ぐ事が出来た。

後はこのまま宿へと向かい二人を部屋で待機させ、それが終われば冒険者協会付近へと戻り、ハルト達の身に何かあった時の為に待機しておくだけだ。



「宿に戻るとするか…。」



冒険者協会を出ると外は既に日が沈み夜へと姿を変えていた。

ローレンと一緒に居たロロも宿に戻っている頃だろう。今頃は今朝のようにレヴィーに頬をスリスリとされて困っているのではないだろうか?

私はそんな事を考えながら宿へと足を運ばせたのだったーーー。





宿へ到着し中へ入ると、この宿の看板娘であるマキナが私を見るなり声を掛けてきた。



「あの〜…」


「どうした?」


「実はお仲間のマーガレット様より伝言を預かっておりまして…。」


「伝言?」


「はい。その伝言というのがーーー」



マーガレットが私に残した伝言というのは日が落ちてもロロが宿に戻って来ないので、ロロの師匠が経営する店パナケイアへと様子を見てくるというものだった。マーガレットはその事を宿の看板娘であるマキナに伝え、私が宿に戻って来たらこの事を伝えて欲しいと頼んだようだ。



「なるほどな…。」


「はい…。ロロちゃんの事ですから多分、ロロちゃんの師匠コルアさんのお手伝いをしているんだと思うんですけど…。」



確かにマキナの言う通り、単に師匠の手伝いをして帰りが遅くなっているだけという可能性もある。しかし、おそらくマーガレットとレヴィーは神聖教団の件もあって、ロロが日没前に帰って来ない事にいつも以上に心配になってしまったのだろう…。


まさかとは思うが…。

私は伝言を伝えてくれたマキナに礼を言うと、ハルトとローレンに容姿を変化させた騎士団の二人を部屋へ連れて行くとその場で待機させて宿を後にし、マーガレットとレヴィーの後を追ってロロの師匠が経営する店パナケイアへと向かった。


今回の件は思ってる以上に闇が深い…。

それにどこに教団が潜んでいるか分からない状況だ。そう考えると、この商業都市イスタリアムに安全な場所など存在しないと言ってもいいだろう…。

それに今回の作戦については、最新の注意を払って計画して行動していたつもりだが…まさか教団に情報が漏れた…?

確かにマキナの言う通り、普段の状況なら師匠の手伝いをしているという事でこの件はそこまで心配になる事も無いだろう。が、しかし今回は別だ。考えすぎと言われたらそれまでだが、あまりにもタイミングがよすぎる…。


そうこう考えている内に、私は冒険者協会エリアへと到着していた。

ローレンの話ではロロの師匠は経営する店パナケイアは、冒険者協会の近くにあると言っていたが…。周囲を見渡し目的の店を探していると、突如上空から膨大な魔力を感知した。

そして膨大な魔力を感知した上空を見上げた瞬間、魔力で作られた無数の魔剣が私目掛けて勢いよく放たれた。



「!?」



私は背中に背負っている大剣で次々と放たれる魔剣を防ぐが、その攻撃は止むことは無く、次第に押され始め周囲は魔剣による猛攻で煙幕で包まれ始めた。その魔剣による攻撃は数こそ多いものの、その一撃一撃は大した脅威にはならず薙ぎ払ってその魔剣を放っている者の所に行くことは可能だが、この場所には騒ぎを駆けつけた騎士団の兵士や一般人もいる。考えなしに攻撃を薙ぎ払ってしまえば、騎士団の兵士や一般人にその流れ弾が当たり被害が出る可能性もある。



「くっ…。」



おそらくこの魔剣を放った者は、その事を分かった上でこの攻撃を仕掛けて来ている。まるで私の事を知っているかのように…。



「相変わらずだなお前は…。」


「その声は!?」



聞き覚えのあるその声と共に魔剣による猛攻がピタリと止み、立ち込めていた煙幕が徐々に晴れ始める。そして薄れゆく暗幕の中から純白に輝く鎧が次第に見え始めた。


間違いない…。目の前に居るは……。



「白騎士!!!」



目の前に姿を現したのは、かつて私と共に戦場を駆け抜けた戦友でもあり家族でもあった人物、”白騎士”の姿だった。



「久しぶりだな黒騎士…。厄災ぶりか?」


「あの時、死んだはずじゃ…。まさか”死者の国(ヘルヘイム)”から蘇ったとでも言うのか!?」


「確かにあの時…俺はお前に殺され一度命を落とした…。”死者の国(ヘルヘイム)”でお前への復讐心…そして”あの目的”を達成したいという強い気持ちに”彼の方”が俺に手を差し伸べ、今こうして現世に蘇った…。」


「”彼の方”…?」



白騎士は私の問いに答える事も無く、背中に背負っている漆黒の大剣を手に取るとその刃先を私に向けこう言った。



「お前をここから先に通すわけには行かない…。」

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