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僕は異世界の君に恋をした。  作者: リアラフ
商業都市イスタリアム編
59/126

#59〜潜入前の一時〜

冒険者協会を後にした僕達はそのままペルマールの宿へ戻ると、先に宿に戻っていたマーガレットとレヴィーが出迎えてくれた。それから僕達は、作戦決行の日没まで目立たないようペルマールの宿でその時が来るまで静かにまったのだった。


そして日が落ち夕方に差し掛かった頃、僕と黒騎士さんとローレンさんは完全に日が落ちる前に冒険者協会へと向かう事になった。いよいよ作戦決行の時だ。



「気を付けて下さいね。皆さん。」


「大丈夫だよマーガレット。黒騎士さんとローレンさんが一緒だから。」


「それはそうですが…。」



神聖教団の件もあってマーガレットはより一層心配になっているようだ。



「何かあれば私が全力でハルト様をお守りしますのでご安心下さい。それとロロが日が落ちる前にはこの宿に戻ると言っておりましたので、どうかロロの事をよろしくお願いします。」


「ハルト様の事をよろしくお願いします、ローレンさん。それとロロさんの事はお任せ下さい。」



僕はマーガレットとレヴィーに『行ってきます』と伝えると、『行ってらっしゃい』と笑顔で僕達を見送ってくれた。


それにしても今回の作戦では、僕とローレンさんがイスタリアム騎士団の兵士の鎧を身に付けて協会内部に潜入する作戦になっているのだが…まだ僕はその鎧をクリエイティブしていない。黒騎士さんとローレンさんはその辺を一体どう考えているのだろうか?僕は焦る気持ちから黒騎士さんにそのことについて尋ねる事にした。



「黒騎士さん少し聞きたいーーー」


「ハルト。」



僕がその事について聞こうとした時、黒騎士さんが割って入り僕の名前を呼ぶと真剣な口調で続けて僕にこう言った。



「冒険者協会に入ってからの事だが、私が行う行動や言動に関して何も疑う事のないように振る舞う事を約束してくれ。それも今回の作戦を成功させる為の大事な事なのだ。」


「わっ…分かりました。」



黒騎士さんは冒険者協会で一体何をしようというのだろうか?

今回の作戦を成功…っと言ってるから騒ぎになるような事は何もしないと思うが…。

これから何が起こるのか考え込んでいるとローレンさんが僕の肩に優しく手を乗せると僕の目を見てこう言った。



「黒騎士様を信じましょうハルト様。」



ローレンさんのその瞳には決心に満ちた何かを僕は感じ取り、僕はローレンさんに向けて頷いて見せた。それから僕達はそれぞれの心に覚悟を決め、ついに今回の目的地である冒険者協会へと到着した。



「いよいよですね…。」


「はい。ここから先は黒騎士様、お任せしました。」


「うむ。では行くとしよう。」



そして僕達は冒険者協会内へと足を踏み入れたのだった。



=======



<時を同じくして商業都市イスタリアム 宿泊エリア内ペルマールの宿にて>



ハルト様達は無事に冒険者協会に辿り着けたでしょうか…。

神聖教団の件を聞いてからというものの、何処に教団の魔の手が潜んでいるのか分からないこの状況に私の心の中は落ち着く事なく騒ついていた。

何かあった時は近くに黒騎士さんが待機していますし、潜入の際はローレンさんが一緒なのでそこまで心配する事は無いとは思いますが…。



「お姉ちゃん…?」



私の騒ついた気持ちが伝わったのか、レヴィーが心配そうな表情で私の顔を覗き込んで来た。昔からこういったとこだけは人一倍敏感に察して声をかけてくれていた事をふと思い出す。私はレヴィーに心配をかけないよう、できるだけ平常心を保ってレヴィーの問いかけに反応した。



「どうしたのですかレヴィー?」


「おにーたんの事心配?」



どうやらレヴィーには私の心が筒抜けのようだ。

私はいくらローレンさんや黒騎士さんが一緒だとはいえ私はハルト様の剣だ。

信用していない訳では無いが、もしハルト様の身に万が一の事があったらと思うと心の落ち着きを保てなくなってしまう。それに危険な場所へと赴く想い人の身を案じない女が何処にいると言うのでしょうか…。



「そう…ですね…。私はハルト様の剣ですから離れていると余計に心配になってしまうのかもしれません…。」


「そっか…。レヴィーもお姉ちゃんと一緒で、おにーたんが心配…。」



そう言うとレヴィーはその小さな手で私の手を強く握って来た。



「レヴィー…。」


「でもね。きっと心配そうな顔を見せたら、おにーたんが心配すると思うから笑顔でいるの。そして帰って来たら、待ってたご褒美にたくさんスリスリするの!」



私はレヴィーのその一言を聞いてレヴィーはずっと良い子にしていたのだと気付いた。

思えば、皆んなで冒険者協会に教団の事について話を聞きに言った時も、レヴィーはいつもより大人しくしていた。いつもならハルト様に甘えてベッタリなはずなのに…。

きっと私が思ってる以上に、レヴィーも今の私達の状況を理解しているのだと私はレヴィーのその言葉で思った。



「ですね。笑顔でいないと逆にハルト様が心配しちゃいますね!」


「うん!」


「ハルト様が帰って来たら待ってた分たくさん甘えちゃいましょう!!」


「ロロ地も一緒になの!!」


「ですね!」



そして私達は宿屋でロロさんとハルト様達の帰りを笑顔で待つ事にしたのだった。

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