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僕は異世界の君に恋をした。  作者: リアラフ
商業都市イスタリアム編
57/126

#57〜手がかり〜

「ここは一体…?」



私は気が付くとぼんやりと霧が立ち込めている不思議な空間に立っていた。周囲を見渡してもハルト様達の姿は見えず、周囲に立ち込めている霧がどこまでも続いていた。

あの時と同じようにここはまた私の過去の記憶の世界なのでしょうか…?しかしこのような霧が辺り一面を覆っている場所など今まで訪れた事はありません…。


確か私はハルト様達とエレナ様を救出する為に今後について話をしていたはず…。

そして私がファナ様から頂いたブローチを握りしめると、突然そのブローチが輝き始め気付くとこの場所に…。確かファナ様から頂いたこのブローチには、ファナ様の魔力が込められていると仰っていたような…。だとするとこれもファナ様の術か何かなのでしょうか…。


突然の出来事に少し動揺しながらも、今自分自身の身に起きている出来事をできるだけ冷静に考えていると、周囲に立ち込めていた霧が次第に晴れ始め今まで立ち込めていたその場所が見覚えのある場所へと変化して行った。



「この場所は…確か私とエレナ様が神聖教団暗躍部隊の襲撃者に襲われた…。」



徐々に見覚えのある景色が広がり立ち込めていた霧が完全に晴れると、そこには見覚えのある場面が広がっていた。



〜〜〜〜〜

『ロッ…ローレン…助けて……。』


『クククッ…良い声で泣くじゃね〜かよぉ〜、流石ハイブリットエルフだなぁ〜』

〜〜〜〜〜


「エレナ様!!」



そこにはエレナ様を救出しようとしている自分の姿と囚われているエレナ様、そして神聖教団暗躍部隊の姿があった。この光景は間違いなく襲撃者に襲われたあの日で間違いない。だとすればこれは私の過去の記憶の世界…っという事だろうか?以前私が過去の記憶の世界に居た時は、私は過去の自分となり行動していたのに対して、今は現在の私が過去の自分自身の姿を見ている…。



「エレナ様!エレナ様!!私です!ローレンです!!」



私は必死にエレナ様の名前を叫ぶもその声がエレナ様に届く事は無かった。

もしこの状況で過去を変えれる事が出来るのではないかと思い、私はエレナ様の元へ駆け付けようとするもどれだけ走ってもその距離が縮まる事は無く、エレナ様の元へ辿り着く事は無かった。

そして気付くとエレナ様は、神聖教団暗躍部隊の1人に担がれながら魔法陣で展開されたゲートの中へと姿を消して行った。



「エレナ様…。」



エレナ様を救う事が出来なかったこの光景をまた見る事になるとは…。

その事に一体何の意味があるというのだろうか…。私は何をここで何をすれば…。

絶望に打ちひしがれ次に自分の視線に入り込んできたのは、神聖教団の襲撃者の1人にこの空間にいるもう1人の私が背後から背中を切り裂けれている光景だった。背中を切り裂かれたもう1人の私は、薄れゆく意識の中で襲撃者に力を振り絞って問いただしていた。



〜〜〜〜〜

『おっ…お前は……お前達は一体………。』


『冥土の土産に教えてやるよ。俺達は”神聖教団暗躍部隊…『影』《シャドー》だ』

〜〜〜〜〜



「!?」


今あの襲撃者は自分達の事を神聖教団暗躍部隊『シャドー』っと名乗った。

私の覚えている限りの記憶では”神聖教団暗躍部隊”までしか記憶には無かった…。

おそらく『シャドー』というのはあの襲撃者達の部隊名か何かだろう。これは有力な情報だ。



〜〜〜〜〜

「シッ…シンセイ……キョ………ウ…ダン…………」


「お前にとどめは刺さない…。大事なハイブリットエルフを守りきれなかった事を後悔しながら息絶えるんだな!!!」


「ッ………」


「あっ?もう口聞けなくなっちゃたかぁ〜。」

〜〜〜〜〜



そう言うとその襲撃者は月明かりに照らされて出来た自身の影の中へと足を入れて行き、そのまま階段を降りるかのように自分の胸元まで影の中に入って行った。



〜〜〜〜〜

「じゃあな、大事な物を守りきれなかった哀れな老いぼれエルフさぁ〜ん」

〜〜〜〜〜



瀕死の傷を負って倒れている私に向かってそう告げると、その襲撃者はそのまま自身の影の中へと完全に入り込み自身の影と共に完全にその場から姿を消した。今思い返してみれば、あの襲撃者は瞬時に姿を表したり消したりしていた…。そしてさっきの光景を見る限り相手は影を使って移動する能力を持っているようだ。



……


………



「まさか!?」



この状況に関して私の中にある考えが浮かんだ。

過去の記憶の世界でファナ様はこのブローチに自身の魔力を込めたと仰っておられた…。そして『この先何かの役に立つ時が来る」と…。つまりこの光景は、ファナ様が千里眼のスキルで見た光景をこのブローチを通し私に見せているのではないか…という事だ。



「だとすれば……。」



次の瞬間、私の予想は的中した。

先程まで私の視界に広がっていた光景が一瞬にして霧に包まれると、先ほどと同じように次第に霧が晴れて行き、今度はどこかの牢獄のような場所が目の前に姿を現した。その牢獄のような場所を見渡すと、そこには年齢を問わず数名の人達が囚われている姿が見受けられた。おそらくここに居る人達は、ハルト様が言っていた誘拐された人達で間違いないでしょう。


そんな事を考えているとこの牢獄の中央付近に見覚えのあるゲートが出現し、その中から神聖教団暗躍部隊のメンバー数名と意識を失って担がれているエレナ様の姿があり、エレナ様は意識を失ったまま牢獄の中へと監禁され、教団のメンバーはそのままエレナ様が監禁されている牢獄の前で待機していた。どうやらこの場所が神聖教団暗躍部隊の潜伏場所で間違い無いようだ。


そしてしばらくすると教団メンバー1人の影の中から、私に致命傷をを負わせた襲撃者がが姿を現した。



〜〜〜〜〜

『いくらここが安全を約束されている場所だとはいえ、油断はするなよ。』


『はっ!』


『俺は別件で少しの間この商業都市を離れる…。もし何かあれば”あいつら”に報告しろ。それと、例の件がもし成功すればもう1人重要な奴がここに運ばれてくるはずだ。そのハイブリットエルフと後から来る奴だけな何としてでも死守しろ。」

〜〜〜〜〜



黒騎士様の読みどうり、エレナ様が監禁されているこの場所は今私たちが居る商業都市イスタリアムで間違い無い。それに影を自由に移動する能力を持ったあの襲撃者は”もう1人”と言っていた…。何とかしこれ以上被害が出ないようにしなければ…。



「エレナ様…必ず助けに向かいますのでもうしばらくの辛抱を…。」



そして次第に周囲に霧が立ち込め始め、視界から徐々にエレナ様の姿が霧の中へと消えて行くと同時に私の視界も徐々にぼやけて行った…。




……


………


…………


……………


「……さん!」


「ーレンさん!!」


「ローレンさん!!!」


「!?」



意識が戻ると私の目の前にはハルト様達の姿があった。

辺りを見渡すとそれほど時間も経っていないようにも見える…。



「ローレンさん大丈夫ですか?」


「えっ…えぇ…。特に何も問題ありません…。」


「それならいいんですけど…。急にローレンさんのブローチが光輝き出してローレンさんを包み込んだと思ったら、その光はすぐに消えてしばらくの間ローレンさんは立ったまま気を失っていたのでビックリしましたよ。」



どうやら私は現実の世界でしばらく気を失っていたようだ。

しかし、今はそれよりも私が見た事をハルト様達にお伝えしなくては。



「細かい話しは後にして、エレナ様や他の誘拐された方達のある程の居場所が分かりました。」


「その居場所っていうのは…?」


「黒騎士様の読み通りこの商業都市イスタリアムです。」

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