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僕は異世界の君に恋をした。  作者: リアラフ
商業都市イスタリアム編
54/126

#54〜宿屋にてⅡ〜

<翌朝 ペルマールの宿屋2階の宿にて>



昨夜はあれから冒険者協会やこの都市周辺に情報収集へ向かおうとしたが、私が”神聖教団暗躍部隊”に日が落ちた夜を狙って襲撃を受けたという事もあって黒騎士様に夜遅くに出歩くのは危険だと止められ、私は焦る気持ちを堪えて踏み止まり今後の方針は明日決める事となりその日は眠りに付いた。

そして朝を迎え身支度をしていると部屋のノックがなりドアを開けると、ロロが私の部屋を訪ねて来た。



「きっ…昨日は……寝て…しまっていた……です…。ご…ごめんなさい…です…。」



どうやらロロは昨日寝落ちしてしまった事をかなり気にしているようだ。

私に怒られてしまうと思っているのか少し怯えているように見えた。



「半日も歩いて慣れない人混みの中に居ては身体が疲弊してしまうのも当然です。私は何も気にしておりませんよ、ロロ。それよりもぐっすりと寝て疲れは取れましたか?」


「はっ…はい…。よく寝れて…疲れとれた…です。それと…本当に怒って……ないです…か?」



ロロは心配性なのかもう一度私に怒っていないのかを確認して来た。

これ程気までに気にするという事は、ロロは過去に何か人の感情や目を気にするようになった出来事があったのでしょうか…。色々と気になる事はありますが…今は目の前で不安そうにしているロロの心を和らげる事が今の私にすべき事でしょう。



「私は怒っておりませんよロロ。だから安心して下さい。」



私はロロが怯えないようにできるだけ物腰柔らかく笑顔でそう告げた。

それを見たロロに私が怒っていないというのが少し伝わったって安心したのか、先程まで怯えていた表情が少し柔らかくなり私に笑顔を見せてくれた。



「ロッ…ローレン…様…。あっ…ありがとうございます……です。」


「いえ。」



今日はロロの師匠のお店に顔を出した後、ハルト様達とエレナ様の救出に向けて今後の方針について色々と話し合う予定になっている。黙っておくつもりはありませんでしたが、ロロにも私がなぜ商業都市イスタリアムに来たのかをそろそろ話すべきでしょう…。私はそう思い宿屋の下へ行く前に私のこれまでの経緯と商業都市イスタリアムに訪れた理由、そして私が探していた人物であるハルト様と昨日偶然にも出会った事についてロロに話した。



「ーーーっという訳でございます…。ですので私はハルト様達のお力を借りてエレナ様を救い出すのが当面の目的になります。黙っていた訳ではありませんが、ロロにはタイミングを見てお話ししようと思っておりました。」


「そっ…そうでしたか……分かりました……です。」



そう言うとロロは少し寂しそうな表情を浮かべながらも小さく頷いたのだった。

それから私とローレンは宿屋の1階へと降りると、既にそこにはハルト様達が朝食を召し上がっている姿があり、降りて来た私とロロに気付くとハルト様は爽やかな笑顔でこちらに手を振り招いてくれた。



「おはようございますローレンさん!それと…。」


「おはようございます皆様。こちらは昨日お話しした私の命を救って下さったロロです。」



やはりあまり人と接するのがロロは苦手なのだろう。

ロロはハルト様達に挨拶をしようとしているが緊張しているせいか喉から声が出ていない様子だった。



「あっ…そっ……の………。」



人付き合いが苦手なロロに無理をさせてしまった…。そう思った時だった、

ハルト様はロロの目線まで腰を下ろすとロロの緊張ををほぐすような柔らかい笑顔を見せ、緊張で少し震えているロロの手を優しく握るとロロに向けて自己紹介をした。



「初めましてロロちゃん、僕の名前はハルト。いきなりでビックリさせてしまってごめんね。」



ロロはその眩しい笑顔にどこかトキメキを感じさせるような表情を見せており、ハルト様の問いに勢いよく横に首を振ってみせた。それを見てハルト様も安心したのかロロにまた笑顔を見せると、今度は射止められたかのように顔を赤くして下を俯いたのだった。

そしてハルト様はロロにマーガレット様と黒騎士様、そして昨日は別室でお休みになられていたレヴィー様を私とロロに紹介し、改めて私達を優しく迎え入れてくれた。


それから私はとロロはハルト様とレヴィー様の間に入り、一緒に朝食を食べる事になったのだが…。

ロロの隣に座っているレヴィー様はスプーンを口に加えたままロロの方をずっと見ていた。



「………ッ。」



レヴィー様からの熱い視線が気になって仕方ないのかロロは食事に集中出来ずにいる様子だった。



「ロロち。」


「ロッ…ロロち…って……私…ですか?」


「うむ。うむ。ロロち可愛い!」



レヴィー様は興奮した様子で勢いよく頷くと、そのままロロの頬に自分の頬を当ててスリスリと擦り始めた。ロロはと突然の出来事に驚いた表情を浮かべながらその場で固まってしまい、レヴィー様にされるがままの状態となってしまった。



「やっぱ思った通り!ロロちのほっぺ柔らかい〜」


「あっ…えっ…えと……です……。」



ロロは固まりながらも何とか抵抗しようと見せるが、レヴィー様の圧倒的なスリスリ行為になす術無く諦めた様子だった。それを見兼ねたマーガレット様が2人の間に入ってロロからレヴィー様を引き離すと、ロロは少し安堵した表情を見せレヴィー様は少し不貞腐れた表情を見せていた。



「こら!レヴィー!!ロロさんが困っているじゃないですか!!」


「だってロロちのほっぺ凄く柔らかそうだったんだもん…。お姉ちゃんだって触ってみれば病みつきになるもん…。」


「またそんな事を言って…。」



そう言うとマーガレット様はロロの頬をチラリと見ると、

吸い込まれるようにロロの頬を人差し指で突っついた。



「柔らかい…。」


「でしょ!!お姉ちゃん!!ロロちのほっぺ柔らかいでしょ!!!」


「これは確かに病みつきになりますね…。」



唯一の救いであったマーガレット様もロロの頬に虜になってしまい、ロロは諦めた表情を見せしばらくの間2人に頬を堪能されたのだった。

それからしばらくしてハルト様が2人からロロを解放させると、ハルト様は優しくマーガレット様とレヴィー様を注意して2人に変わってロロに謝罪をしていた。



「ごめんねロロちゃん。2人も悪気があった訳じゃないんだ。」


「だっ…大丈夫……です…。」



ロロは頬を少し赤くさせながらハルト様にそう言った。

それから私達は食事を済ませると今後についての話し合いをする事になった。



「ローレンさん、僕達はこれから冒険者協会に行って”例の組織”について何か情報がないか聞きに行こうと思いますが…ローレンさんはどうしますか?」


「それでは、私はロロのお師匠様が経営しているお店へロロを届けた後、冒険者協会の方へ行ってハルト様達と合流させて頂きます。」


「ロロちゃんの師匠…のお店ですか?」


「はい。冒険者協会の近くに”パナケイア”というお店を経営しているようで、店内には魔道具やポーションなどの薬液が豊富に取り揃えておりました。ロロには命を救って頂いた恩がございます。それもロロのお師匠様がロロをここまで立派に育ててくれたからこそだと私は思っております。なので、ロロを送り届けるのと、お師匠様にご挨拶をと思いまして。」



エレナ様を一刻も早く救出したい気落ちもありますが…。

ロロには命を救って頂いた恩があります。それにロロが作ったあの”透き通った緑色をした回復ポーション”…。私の致命傷を治す程の効力を持ったポーションは、私が知る限りロロが作ったこのポーション以外この世界には存在しないでしょう…。信用してい無い訳ではありませんがロロの師匠が使用に値する人かを見極めねば…。そして何より、これは今の私が出来る精一杯のロロへの恩返しでもあるのですから。



「分かりました!!では僕達は先に冒険者協会へ行って情報を集めておきます!!」


「宜しくお願いしますハルト様、マーガレット様、黒騎士様、レヴィー様。」



私は感謝の気持ちを込めて深く頭を下げてハルト様達を見送った。

そして私とロロも身支度を済ませると、宿屋を後にしてロロの師匠が経営するお店、”パナケイア”へと向けて出発したのだった。

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