表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕は異世界の君に恋をした。  作者: リアラフ
商業都市イスタリアム編
52/126

#52〜明かされる悲劇〜

私達はそれから”ペルマールの宿屋”で私が借りた部屋へと場所を移し、彼らの冒険者仲間である黒騎士なる人物も交えてまず初めに私自身の事について話した。



「まずは話を聞いてくださる機会を作ってくださりありがとうございます。私の名前はローレン・ドミニカル。エルフ達が暮らす魔法国家ナリアティスにて、その国の第二王子”アラン・ハイ・ナリアティス”様に仕えていた執事でございます。どうぞローレンとお呼び下さい。」



私は彼らに自身の紹介をし深く頭を下げると、自分にかけていた精霊魔法”容姿変化チェンジシェイプ”を解いてエルフとして本来の姿を彼らに披露した。



「そしてこれが本来の私の姿でございます。」



転生者ハルトなる人物は初めてエルフを見たのか私を見て驚いた表情を見せていた。



「疑っていた訳ではありませんが…本当にエルフだったんですね。」


「エルフを見るのは初めてでしょうか?」


「はい、僕もこの世界に来て間もないものですから…。」



この世界に来て間もないという事は…やはりこの方は転生者という事で間違いないようですね。

そして転生者ハルトなる人物は続けて私に自身の紹介をしてくれた。



「紹介が遅くなりましたが、僕の名前はハルトといいます。ローレンさんが仰った通り僕は別の世界からこの世界に来た転生者です。そしてこちらが僕と一緒に旅をしているマーガレットと黒騎士さんです。」


「初めましてローレンさん。ハルト様から紹介があった通り一緒に旅をしておりますマーガレットと申します。」


「黒騎士だ。」



そう言うとハルト様達は私に丁寧に一礼し挨拶をしてくれた。



「それと別の部屋にもう1人、レヴィーっていう僕の妹…が居ます。」


「妹様も一緒にこの世界の転生を?」


「いえ…そうでは無いんですけど…。色々とありまして…。」



ハルト様はどこかマーガレット様の事を少し気にしているようで、その様子を見た私はハルト様が色々苦労されているのだと悟った。

互いの自己紹介が済んだ所で私はハルト様達に自身の今の状況…そして旅の道中にエレナ様が”神聖教団暗躍部隊”という謎の組織に拐われてしまった事やその時受けた致命傷をロロという少女に治療してもらいこの商業都市まで案内してくれた事、そしてなぜ私がハルト様を知っており探しているのかを嘘偽りなく説明した。



「信じ難い話しだとは思いますが…今話した事が全てでございます…。」


「そんな事が…。じゃあその”神聖教団暗躍部隊”という謎の組織がエレナさんを拐った理由は、エレナさんがハイエルフとダークエルフの間に生まれた存在だから…という事ですか?」


「ハルト様の仰るとおり今現時点でそれが1番の理由かと思われます。エレナ様がハイエルフとダークエルフの間に生まれた事はごく一部の限られた者しか知りません。恐らくはこの事実を知っている者の中に神聖教団に情報を流した内通者がいるのではないかと私は考えております。」


「内通者…ですか……。」


「はい。そしてその内通者は恐らく…エレナ様の祖父であり、魔法国家ナリアティスの国王である”ガルベルト・ハイ・ナリアティス”様だと私は考えております…。」


「なっ!?」



私も自分の故郷である国の王を疑いたくは無い…。

しかし、過去を遡って行くとそうとしか考える事が出来なかったのだ…。



「なぜエルフの国王が自分の孫を…?」


「先程お話しし通り、我々の国ではダークエルフとの間に子を成す事は硬く禁じられています。しかし王の息子である第二王子のアラン様はダークエルフの郷でファナ様と出会い恋をし愛を育まれ、2人の間にエレナ様が誕生なさいました…。しかしそれは国の掟に反する行為…もしこの事がガルベルト王の耳に入りでもすれば、きっとガルベルト王は存在してはならない者としてエレナ様の命を奪ってしまうはず…。そう考えたアラン様とファナ様はこの事をダークエルフの族長と他数名で話し合い、エレナ様をダークエルフの郷で誰にも見つからぬように育てる事にしましたが、現実はそう甘くはありませんでした…。」



私はハルト様達に話しながら当時の記憶が鮮明に蘇り今思い返すだけでも胸が痛くなった…。

これから起こる悲劇の事を考えてしまえば尚更…。



「そしてエレナ様がこの世に誕生してから12年の歳月が経ったある日…エルフの歴史上最悪の悲劇が起こりました…。」


「その悲劇とは…。」


「はい…。黒騎士様が今思ってらっしゃる事でございます。」


「ダークエルフの郷…”フォールクヴァング”の消滅事件か…。」



私は無言で頷き一呼吸して気持ちを落ち着かせた後、事の経緯を説明した。



「ダークエルフは私達ハイエルフよりも知識や技術に長け強大な魔力を有しておりました。ガルベルト王を含む一部の権力者達はそんな強大な力を持ったダークエルフを危険視しており、自分達にいつ牙を向けるかわからないダークエルフ達を1人残らず抹殺しようと考えておりました。そしてアラン様が初任務でダークエルフの郷に赴いた際、同行させた部下達に密かにダークエルフの魔法科学技術や現存する戦力を偵察させ情報を収集させていたのです。当時の私とアラン様は王に忠誠を誓った身…そのような事をしているとは思ってもいませんでした。それから私達はガルベルト王の命により表向きは友好関係の構築の為にと度々郷を訪れていましたが、その真の目的は郷の者に怪しまれないようダークエルフの郷の情報を入手し殲滅の機会を得るというものでした…。」


「じゃあ…ガルベルト王は実の息子のアラン様とローレンさんを利用していたって事ですか?」


「その通りでございます。」


「そんな…。」


「それからしばらくしてアラン様とファナ様との間にエレナ様が誕生し、先程話した通りダークエルフの郷で誰にも見つからぬように育てる事になりました。しかし、ガルベルト王は同行させた部下からこの情報を耳にしある計画を立てました。エルフは12の歳を迎えると己の中に眠っていた力が開花します。エレナ様はハイエルフとダークエルフの間に生まれた子…つまり両方の種族の力を有している事になります。ガルベルト王はエレナ様のその力を軍事利用しようと考え12の歳になるまで泳がせておいたのです。そしてエレナ様が12の歳を迎えた時、アラン様と私はガルベルト王に王の間へと呼ばれこう告げられました…。『エレナとはお前の子か?』と…。」



あの時見せたアラン様の表情が今でも私の脳裏に深く刻まれている。

そしてアラン様にそれを告げたガルベルト王の不適な笑みを浮かべた表情も…今だに…。



「ガルベルト王はアラン様からの言葉を待たずに続けてこう言い放ちました。『我が国の全勢力を持ってダークエルフの郷を殲滅し”罪の子”を捉えよ。』っと…。」


「まさか!?あの一件は突如現れた炎の魔獣による仕業ではないのか?」


「黒騎士さんの仰る通り炎の魔獣は確かに郷に出現していました。世間では突如出現した炎の魔獣によってダークエルフの郷が消滅したという事になっているでしょう…。しかし実際はその全てがガルベルト王によって仕組まれた茶番だったのです。表向きは突如現れた炎の魔獣が郷を襲った事にして、出陣した魔法国家ナリアティスの騎士団はダークエルフの郷を守る為に戦ったと…。」


「まさか…そのような事実があったとは…。」



黒騎士様の反応を見る限り、

どうやらこの事実はガルベルト王によって隠蔽されたのだと私は確信した。



「アラン様と私は急いでダークエルフの郷へと向かうと既に郷は火の海へと姿を変えていました…。そして郷の中では炎の魔獣と魔法国家ナリアティスの騎士団が手を取り合い郷に住むダークエルフ達を次々と殺めておりました…女性も子供もお年寄りも関係無く…。次々と…。私達は急いでエレナ様とファナ様がいる聖堂へと向かうと、そこには2人を守る為に戦い命を落としていったダークエルフ達の横たわる姿と白い軍服を纏い額に角の生やし拳も真っ赤に染めた1人の女性の姿がありました。」


「額に角のを生やし白い軍服を纏った女性……まさかその女性の名は!?」


「その女性は”堕炎の守護者ベリアル”と名乗っていました…。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ