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僕は異世界の君に恋をした。  作者: リアラフ
商業都市イスタリアム編
51/126

#51〜出会い〜

商業都市イスタリアムの中に入った私達は日が沈んできたこともあり、まず初めに寝床を確保するためロロが毎回お世話になっている宿屋”ペルマールの宿屋”へと向かった。それにどうやらロロは賑やかな場所があまり得意では無いようで、宿屋に向かう道中も人目を気にしながら歩いている様子だった。なのでイスタリアムに訪れた際は賑やかな場所から少し離れた場所にある”ペルマールの宿屋”に泊まるのだと私に教えてくれた。



「つ…着いた……です!」



ロロの案内でペルマールの宿屋に到着し中に入ると1人の少女が私達を出迎えてくれた。



「あっ!ロロちゃん!!久しぶり!!」


「ひっ…久しぶり…です…マキナ…さん。」


「あら?ロロちゃんが誰かと一緒だなんて珍しいね!こちらの方は…?」



マキナという少女の質問にロロは少し戸惑った表情を見せながら私の方をチラリと視線を送った。



「お初にお目に掛かりますマキナさん。私の名前はローレン…旅人でございます。魔物に襲われて瀕死の重傷を負っていたところをロロさんに助けて頂き命を救われました。私はこの商業都市に用がありまして丁度ロロさんも向かうとの事だったので、助けてもらったお礼に道中までの護衛を兼ねてこの宿を案内して頂いたんです。」



本当は魔物では無く”襲撃者”ですが…。ここでそれを言ってしまうとロロやこの宿屋にいる方々に迷惑をかけてしまう可能性もあるかもしれません。なので今は”魔物”に襲われたという事にしておきましょう。



「そうだったんですね!ロロちゃんの作った薬液は傷に効くと有名ですから!!それに誰かの役に立ちたいって昔からの願いが叶って良かったね!ロロちゃん!!」


「はい…です……。」



マキナさんのその言葉にロロは少し照れながら小さく頷いた。

それから私達は部屋を2部屋借りてそれぞれの部屋で荷ほどきをした後、私達はロロの師匠も元へと向かった。宿の外はすっかり日が沈んでおりイスタリアムの街並みは先程までの雰囲気とは違う姿になっていた。宿泊エリアの中心地はライトアップされており、催し物などで訪れた観光客達で賑わいを見せていたがロロはそのどれにも興味を示さず自分の師匠のお店に向かってただひたすら足を運んでいた。


それから私はロロの案内で宿泊エリアと中央エリアを抜けた先の冒険者協会エリアの一角にあるショップの前へと到着していた。



「こっ…ここが……師匠のお店…”パナケイア”…です…。」


「ほう…。ここがロロのお師匠が営んでいるお店ですか。」


「はっ…はい……です。」



そう言うとロロは店の中へと入って行き、私もその後に続いてロロの師匠が営むお店”パナケイア”へと入った。店の中には薬液や薬草の他にもスクロールなどといった魔道具も取り揃えられており、日が落ちたこの時間帯でも魔道具や薬液を求める人達で店の中は繁盛している様子だった。



「ロロのお師匠のお店は人気店のようですね。」


「はっ…はいです。師匠…はこの辺りでは……有名…な薬師…なので。」


「そうだったのですか。そんな有名な薬師を師匠に持つとは…ロロは凄いですね。」


「はっ…はい! 師匠…の弟子……になれて…私…嬉しい…です!」



どうやらロロは師匠の事を誇りに思っているようだ。

それにしてもロロの師匠のお店は思っていた以上の人気店のようで、薬液や魔道具を求めて多くの冒険者達が次から次へと来店し店の中は奥に行けば行く程混雑していた。ロロの師匠がどんな人物か確認しようと思ったが、今のこの状況ではそれは難しそうだ。それに人混みの中に居るせいかロロの表情には少しづつ疲れが見えて来ていた。



「ロロ、少し出直しますか?」



ロロは少し疲れた表情を浮かべながら小さく頷き、私ちは店を一旦出て出直す事にした。

それから私とロロは近くのベンチへと腰掛けると外の風に触れながら気持ちを落ち着かせつつ、ロロの師匠のお店がひと段落つくまで待つ事にした。


半日かけてパラマ村からこの商業都市に来た事もあってか、

ロロはそのまま疲れ果て私の肩にもたれ掛けながら深い眠りに付いてしまった。

店の方に目をやると徐々に人も減って来ているように見えるが、何度起こしてもロロは眠りから覚める事は無かった。



「また明日、出直すとしましょうか。」



私は眠っているロロは背中に背負うと”ペルマールの宿屋”に戻る事にした。





宿屋に着いた私は受付のマキナさんに事情を話してロロを部屋に送り届けると、後の事はマキナさんに任せて部屋を後にし宿屋の外に出て風に当たる事にした。

”ペルマールの宿屋”がある場所は宿泊エリアの中央付近から離れている事もあって、この辺りは静かで気持ちを落ち着かせるには最適な場所だった。



「エレナ様…。」



エレナ様は無事だろうか…。それに私達を襲った謎の襲撃者…確か”神聖教団暗躍部隊”…と言っていただろうか?彼らは一体何が目的でエレナ様を…それに一部の者しか知らないエレナ様の情報を知っていたという事は…。あまり疑いたくは無いがその事実を知っている者の中に”内通者”がいる可能性がある…。

そして私の過去の記憶の世界でファナ様が仰っていた”転生者ハルト”なる存在…そのハルトなる人物は既にこの商業都市イスタリアムに居るのだろうか?


明日、ロロの師匠の元へ挨拶に行った後にでもこの都市を散策して探すとしましょう。

そう思い宿屋に入ろうとした時、ある女性の声が私の耳に入って来た。



「今日は楽しかったですねハルト様!!」


「!?」



聞き間違い…だろうか…?


その声の方向に視線を送ると、そこには1組の男女がこちらに向かって歩いて来ていた。

私は悟られないようできるだけ自然にその男女の会話に耳を済ませると、その女性は間違い無く一緒に歩いている男性を『ハルト』と呼んでいた。


まさかこんなに早く出会える事だ出来るとは…。

私は意を決してその男性に声を掛ける事にした。



「夜分に突然すみません。少しお伺いしてもよろしいでしょうか?」



声をかけた1組の男女は少し驚いた表情を見せながらも私の問いに『はい』と答えてくれた。



「貴方は…転生者の”ハルト”…様でよろしいでしょうか…?」



その男性はなぜ自分の事を知っているのかと少し不思議そうにしており、

一緒に居た女性も先ほどまでの雰囲気とは変わって私の事を警戒していた。



「もし…そうだとしたら……?」


「私に…力を貸して頂けませんでしょうか?」


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