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僕は異世界の君に恋をした。  作者: リアラフ
商業都市イスタリアム編
42/126

#42〜目覚めた世界〜

『…レン…ローレン……』



どこからか私を呼ぶ声が聞こえる…。聞き覚えのある懐かしい声が…。

確か私は……そうだ…思い出した。 エレナ様とその母であるファナ様を私が仕えていたアラン様よりに託された後、王国を抜け出し”東の地にあるとされる”他種族国家トリミニオ”に向けて旅を…そしてその道中、襲撃に遭いファナ様を殺害されエレナ様も襲撃者に連れ去られ私も致命傷を負った。最後に見た記憶は影に消えて行く襲撃者の姿…。


それが私が覚えている最後の記憶だ。



『ローレン!ローレン!!』



それにしてもさっきから聞こえてくる私を呼ぶ声……どこか懐かしさを感じさせる………。



『ローレン!ローレン!!』



この声………まさか…?



『ローレン!!!!!」


『!?』



懐かしいその声で目が覚めた私の目の前に居たのは、エルフが住む”魔法国家ナリアティス”で私が執事としてお仕えしていたこの国の第二王子”アラン・ハイ・ナリアティス”様の姿だった…。そして私が居るこの場所は、”魔法国家ナリアティス”中央部に位置するこの国を治めし王とその御子息が住まわれている”ダーミアン宮殿”…。しかしなぜ私はここに………。



『ローレンどうしたんだ?体調でも悪いのか?先から何度も読んでるのに何も反応がないから心配したぞ…』


『アラン…様……』


『寝ぼけているかローレン?』


『いえ…少しボーッとしておりました…。お見苦しい姿をお見せしてしまい申し訳ありません。』


『あのローレンがボーッとするなんて珍しいな。明日は嵐か?』


『ハハッ、そうかもしれませんな…。』



第二王子アラン様は冗談混じりで私の身を案じながら何やら準備をなされていた。

果て…この光景は前にも見たような気が……。以前掴め無い自分の状況に戸惑いながら頭の中で一つずつ整理をしていると、アラン様は再び私に声をかけて来た。



『ローレン、服装の身なりはこれで大丈夫だろうか?父上から任せられた初の任務だから王族として恥じぬ一歩を踏み出したいと思ってな。変ではないか?』



アラン様を見る限り今ご試着されている服装は”魔法国家騎士団”の正装で、胸の部分にはエルフの始祖にして平和を愛する神”フレイ”の肖像画が描かれたエンブレムが付けられていた。



『いえ、とてもお似合いでございます。』


『そうか、ローレンが言うのなら間違いないな。それでは初任務の前に父上の元に行き挨拶を!ローレン一緒に来てくれるな?』


『もちろんでございます。アラン様』


『ありがとう。ローレンが一緒だと心強いな。』



そして私はアラン様と一緒にこの国の王である”ガルベルト・ハイ・ナリアティス”様の元へと向かった。

王の元へ行く道中、私は今の状況をできるけ整理してみた。まず私が今いるこの場所とこの状況は過去に私が経験している出来事だと言う事。そしてこの後、私とアラン様はガルベルト王の元へと向かい初任務に行く報告を済ませるとそのまま任務の目的地である”ダークエルフ”が住む郷へと赴くはず…。それにしてもこれは幻術か何か…それともこれは死に際に見ると言う走馬灯というやつなのか……。いずれにせよ今はアラン様に同行して職務を全うする事に専念するとしましょう。



そうこうしている内に私とアラン様はガルベルト王がいらせられる王の間へと続く門の前へと着いた。

アラン様の表情はどこか硬く少し緊張しているようだ…。



『緊張されていますか?アラン様。』


『あぁ…少しだけ。息子として父上と会うのでは無く、魔法国家騎士団の一員として父上…いや王と会うのだからな。それに今回は王から直々に与えられた任務…しかも私の初の任務だから余計にな…。』


『確かに騎士団に入って最初の任務が王が自ら与えた任務とあれば誰しも緊張するでしょう。しかし、アラン様なら大丈夫でございます。さぁいつものように一呼吸を。』


『ありがとうローレン。』



そう言うとアラン様は一呼吸し気持ちを落ち着かせ、扉をノックすると王の間に居るガルベルト王に向けて面会に来た事を知らせた。



『魔法国家騎士団 第七部隊所属 アラン・ハイ・ナリアティス、そして執事のローレン・ドミニカルを率いてこれから初の任務に行くにあたりガルベルト王にご挨拶したいと思いお伺いしました。』


『入るがよい。』



貫禄に満ちたガルベルト王の声で面会に来た事を承諾されると、王の間に続く扉が開きその先の玉座にこの国の王であるガルベルト王が深く腰を下ろしてこちらを見ていた。アラン様と私は玉座の前まで進むと跪き頭を深く下ろし王に忠誠を示した。



『頭を上げよ。』


『はっ、』


『アランよ、これから初任務だな。緊張しているか?』


『はい…。しかし父っ…王のご期待に添えるよう全身全霊で任務を遂行しご期待に応えたいと思います。』


『ふむ。思っているよりも緊張しているようだな。ローレン、息子の事をよろしく頼んだぞ。』


『かしこまりました。』



アラン様と私は改めて深く王に頭を下げるとダークエルフが住む郷に向けて出発したのだった。

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