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僕は異世界の君に恋をした。  作者: リアラフ
商業都市イスタリアム編
40/126

#40〜商業都市イスタリアムに向けて〜

それから僕達は新たな目的地でもある”商業都市イスタリアム”に向けて出発した。

出口に向かってしばらく道なりに進んで行くと次第に道は荒々しくなっており、モンスターや魔物も数体出現したが先頭を歩いてくれている黒騎士さんのおかげで僕達が手を出すこと無く一瞬にして討伐してくれた。そしてこの森を抜けると目の前にはノルズの街から来た時と同じような広大な大地が広がっていた。



「途中から道も険しくなってモンスターや魔物も出現してこの森を抜けるのに苦労するかと思いましたが、黒騎士さんが先頭で道を案内してくれたのとモンスターや魔物を全て討伐してくれたおかげで意外とすぐ森を抜ける事が出来ました。ありがとうございます黒騎士さん。」


「気にするな。このドリュアス森林はノルズの街方面からは途中までの道が整備されているから何も心配する事は無いが、こっちの出口方面からは人が入る事はあまり無い。来るとしても討伐依頼や薬草の調達に来る冒険者達ぐらいだろう。入り口方面とは違って道が険しくなっているから下手をすれば道に迷って出られなくなってしまうからな。」



僕は黒騎士さんのその話を聞いて、いつかマーガレットから聞いた”帰らずの森”の話しを思い出した。初めてこの森に入った時は既に整備されていたから気にしていなかったが、本来は道も険しく魔物やモンスターも出現する危険な森だったという事を改めて実感した。



「おにーたん足疲れた…おんぶして。」


「こらレヴィアタン!!疲れているのはハルト様も一緒ですよ!!」


「疲れたのは疲れたもん。おにーたんお願い。」



僕の服の裾を小さな手で握りしめ上目遣いで”おんぶ”をお願いしてくる妹の姿…。

ごめんマーガレット…こんな天使でか弱い妹のお願いを断れる兄なんてこの世に存在しないんだ!

僕はレヴィアタンに背を向けて腰を下ろしおんぶの体制をとった。



「ハッ…ハルト様〜!!!」



レヴィアタンは悲鳴を上げるマーガレットの方を見てニヤリと笑みを浮かべると、その小さな身体を僕の背中へと預けた。僕はそれを確認すると後ろの方に手を回しレヴィアタンが下に落っこちないようにしかりと支えて腰を上げた。



「うぉ〜!!高い!!そしておにーたんの背中大きい!!」


「うぅ…私のハルト様なのに……ハルト様はレヴィアタンに甘すぎなんですよぉ〜!!!!」


「そっ…そうかな?」


「そうです!甘やかしすぎです!!私も本当は甘えたいんですから!!!」


「おにーたんに甘えられるのは妹の特権なのだぁ〜。」


「ん〜!!!!」



こんな可愛い2人の美女と幼…女の子に取り合ってもらって幸せなのは間違い無いのだが…。

いざ自分がこの状況の当事者になって初めてハーレム系の主人公の大変さが身に染みて分かった。これは嬉しいイベントであると同時に、自分の選択した行動や言動によって今後の物語の展開に大きく関わってしまう…まさに”リアル異世界恋愛シミュレーションRPG”といったところだ…。


僕はこの状況を打破する為に選択コマンドの1つでもある『黒騎士さんに助けを求める』を選択してみたが、その願いも虚しく黒騎士さんは『君も大変だな。』とモブキャラのような台詞を言っては、面倒ごとに巻き込まれたく無いのか『少し先に行って待ってるぞ』と言い残し1人先へと進んで行ったのだった。



「そんな…黒騎士さんまで…」



僕はそれから選択コマンド『2人に平等に接する』を選択しレヴィアタンを説得してマーガレットを1回おんぶした後、2人に右手でマーガレットと手を繋ぎ、反対の左手でレヴィアタンと手を繋いで歩くという提案をした。しぶしぶではあるがなんとか承諾を得る事ができ無事にその場を収める事に成功した。


”リアル異世界恋愛シミュレーションRPG”のイベントを乗り切った僕は少し先で待っていた黒騎士さんの元に無事に辿り着く事に成功した。僕の提案にしぶしぶ承諾したとはいえ、マーガレットとレヴィアタンも満更でもない笑みを浮かべて満足してくれたみたいだ。



「ご苦労だったな。」


「はい…ここ最近の出来事で1番疲れたかもしれません…。」


「ふっ…それぞまさに幸せ疲れというやつだな。今後パーティーに女性メンバーが増える事があればもっと大変になるかもしれんぞ?」


「黒騎士さんフラグ立てないで下さいよ…」


「フラグ?フラグとは何だ?」


「えぇ〜と…伏線というか布石というか…例えばさっき黒騎士さんが『今後パーティーに女性メンバーが増える事があればもっと大変になるかもしれんぞ?』って僕に言いましたよね?」


「あぁ。」


「黒騎士さんが言ったその一言が伏線となって、後にその一言が現実になる…といった感じですかね…。」


「ふむ…。何となくだが理解した。」


「まぁ僕も上手くは説明できないんですけどね…。その他にも”死亡フラグ”とか”生存フラグ”だったり色々ありますよ」


「ほう。それは興味深いな。特に”死亡フラグ”とやらについては今度時間がある時にでも聞かせて欲しいものだ」



まさか黒騎士さんが”フラグ”についてこんなに食いついてくるとは思わなかった。

正直自分の説明が正しいかどうかは分からないが、何となく伝わったのなら今回は良しとしよう。”死亡フラグ”に関しては、時間がある時にでも例文をまとめておけば今回よりも上手く説明できるかもしれない。それにこれを通して黒騎士さんとの関係も気付けるかもしれないし今回は”フラグ”に感謝だ。



「それで黒騎士さん、ここから”商業都市イスタリアム”まではどれくらいなんでしょうか?」


「そうだな…この調子で歩いて行けば3日といったところだろう。」


「歩いて3日ですか…」



特に急ぎの用事がある訳でも無いが、なるべく早く”商業都市イスタリアム”に着いてこの世界での常識や価値観、それに世界情勢について色々と情報が欲しいところだ。そうと決まれば”あれ”をクリエイティブする他選択肢は無いだろう。僕はバージョンアップも兼ねて頭の中でしっかりとイメージをして”あれ”を具現化する事に成功した。



「おぉ〜!おにーたんこれは何?初めて見る!!」


「これは”自転車”さ!!」


「ジーテーンシャ?」


「これは僕の居た世界で使われていた乗り物なんだ。それに今回はパーティーメンバーも増えたという事で、自転車の後ろには馬車のようなキャビンを設置!そして今回はジャバルさんに協力して作ってもらった”原石活用増幅装置”に”自動式電動モーター”の術式を組み込んだ物を自転車本体に設置している!!つまり!搭乗者がペダルを少し漕ぐだけで後は”原石活用増幅装置”に組み込まれた”自動式電動モーター”の術式が反応して自動で走行してくれるという優れ物なのだ!!!」


「おぉ〜!おにーたん凄〜い!!」


「流石ですハルト様!!」


「ふむ。よく分からないがその熱量から察するに、このジテンシャとやらが凄いという事だけは分かった。」



どうやらみんなに自転車の素晴らしさが伝わったようだ。



「さぁ!皆さん!!早速キャビンへ搭乗して下さい!これで行けば”商業都市イスタリアム”も1日か2日で着くでしょう!!!」



僕はマーガレットとレヴィアタンと黒騎士さんがキャビンに乗った事を確認すると、自転車に跨がり3人に向けてこう言った。



「いざ!”商業都市イスタリアム”へ!!」



そして僕達は”商業都市イスタリアム”に向けて出発したのだった。


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